■会社概要
1. 会社概要
ドリーム・アーツ<4811>は、「協創する喜びにあふれる人と組織と社会の発展に貢献する」というミッションを掲げ、企業の生産性を向上し、創造的な働き方を実現する大企業向けSaaSプロダクト(ノーコード開発ツール「SmartDB」、社内ポータル構築ツール「InsuiteX」、チェーンストア向け情報共有ツール「Shopらん」)及び特定顧客向け開発運用一体型クラウドサービス「DCR(DX Custom Resolution)」を提供するクラウドサービスベンダーである。東京、広島の2本社体制で、沖縄、中国大連にも拠点を置いている。さらに、沖縄県石垣市には24時間365日稼働のクラウド監視センターがある。同社グループは、同社及び連結子会社である夢創信息(大連)有限公司で構成され、夢創信息(大連)は同社製品の開発・テスト・サポート業務を行う開発拠点の1つと位置付けている。
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)は年々進展しているが、DXのシステム開発はITベンダーの受託開発に依存した状況にあり、IT人材もITベンダーに偏在している。IT人材が不足するなか、大半の日本企業ではシステムの内製化は進んでいない。技術力やノウハウが蓄積されないまま、ERP※1などの基幹系システムはブラックボックス化し、思い描くようなデータ活用は難しいのが現状だ。同社の提供するSaaSプロダクト「SmartDB」はノーコード開発ツールで、非IT人材でもアプリケーション開発が可能である。同社は「デジタルの民主化」をコンセプトに掲げ、「市民開発」※2を実現するための「SmartDB」を成長ドライバーと位置付けている。
※1 ERP:Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略。企業の持つ資金や人材、設備、資材、情報など様々な資源を統合的に管理・配分し、業務の効率化や経営の全体最適を目指す手法。また、そのために導入・利用される業務横断型の業務ソフトウェアパッケージを指す。企業経営の中核をなすため基幹系システムと呼ばれることもある。「会計業務」「人事業務」「生産業務」「物流業務」などのコンポーネントに分かれていることが多い。
※2 市民開発:プログラミングなしにアプリケーションを開発できるツールの導入を前提とし、ITの専門知識がない現場部門の従業員が主導して業務デジタル化を推進する開発スタイルのこと。当該スタイルで開発する従業員を市民開発者(シチズンディベロッパー)と呼ぶ。
同社は1999年から、独立系ソフトウェアベンダーとして自社開発パッケージソフトウェア「INSUITE」「SmartDB」の販売を行ってきた。近年になり、大企業でのクラウド利用が進展してきたため、2017年に「INSUITE」「SmartDB」及びクラウド基盤上で提供するDCS(Dreamarts Cloud Service)の提供を開始した。2018年にはパッケージソフトウェアの新規販売を停止し、クラウドサービスベンダーへビジネスモデルの転換を図った。これに伴い、収益モデルを、ソフトウェアを販売した時点で全額一括計上する方式から、毎月一定額を回収する月額利用料方式に変更し、成長は一時的に鈍化することとなった。一方、プロダクトをSaaS型に適合させるための開発や、顧客への導入支援及び利活用推進を図るためのカスタマーサクセスチームの新設などが必要となり、コストの増加を招いた。そのため、移行期に当たる2020年12月期から2021年12月期は損失を計上したが、短期間でSaaS比率を向上させることに成功し、2022年12月期に黒字転換した。2023年10月には東京証券取引所(以下、東証)グロース市場へ上場し、現在に至る。大企業との取り引きが長く、(株)三菱UFJ銀行、大和ハウス工業<1925>、KDDI<9433>、日本航空<9201>、(株)日本経済新聞社、ブリヂストン<5108>、日本通運(株)など各業界のリーディングカンパニーの多くを顧客基盤としている。
2. 沿革
同社は1996年12月に設立され、1999年2月に中小企業向けグループウェア「INSUITE(R)99」をリリースした。その後、2002年7月に大企業向け情報ポータル「INSUITE Enterprise」をリリースした。ターゲットを大企業に絞り込み、2005年11月にWebデータベース「SmartDB」をリリースし、「INSUITE」とのセット販売を開始した。2007年8月には、中国大連の大学生を新卒採用した経緯もあり、同地に100%子会社の夢創信息(大連)有限公司を設立した。2008年1月には(株)ネクスウェイとの共同事業でチェーンストア向けSaaS「店舗matic(R)」(以下、「店舗matic」)をリリースし、クラウドサービスベンダーへのビジネス転換を開始した。2010年11月からは、「店舗matic」と自社ブランド「Shopらん」とのダブルブランドで販売している。
2012年1月には(株)インデックス沖縄の株式を51%取得し子会社化、名称を(株)ドリーム・アーツ沖縄に変更した。2014年5月には沖縄県石垣市にクラウド監視センターを設立した。なお、ドリーム・アーツ沖縄については、株式追加取得により100%子会社とし2021年7月に吸収合併した。
2014年10月には「SmartDB」のAPI※を公開し、アプリケーションの開発基盤としての展開を開始した。その後、クラウド基盤の整備が進展し、2017年9月より「INSUITE」及び「SmartDB」をクラウド基盤上で提供する「DCS」の販売を開始した。そして、大企業におけるクラウド利用の進展を受け、2018年12月に新規顧客へのパッケージソフトウェアの販売を停止し、クラウドサービスベンダーへのビジネスモデル変革に踏み出した。
※ API:Application Programming Interfaceの略。ソフトウェア同士が互いに情報をやり取りする際に使用するインターフェイスの仕様。この仕様を介することで、他のソフトウェアとの機能連携が可能となり、利便性が高まる。
2019年11月には「DCS」を対象としてISMSクラウドセキュリティ認証を取得、2020年8月には「マイクロソフトジャパン・パートナー オブ ザ イヤー」を2年連続で受賞した(2019年「Retail アワード」、2020年「Social Responsibility アワード」)。同年11月には、大企業向け情報ポータル「INSUITE Enterprise」の後継プロダクトとして、最新クラウドアーキテクチャをベースに全面刷新した「InsuiteX」をリリースし、2021年11月には「SmartDB」にノーコードツールとして世界初※1のダイナミックブランチ機能を実装した。2023年12月には米国Fortanix社と技術提携し、BYOK※2を実現するクラウドセキュリティソリューションの提供を開始した。このサービスで、機密性が高く、厳しいセキュリティ要件が求められる業務にも「SmartDB」を利用することが可能となった。
※1 同社調べ。
※2 BYOK:Bring Your Own Keyの略。利用者がクラウドサービスを利用する際に、自身で用意した鍵を適用してデータを暗号化して保存する仕組み。この仕組みによりクラウドサービス事業者及びサービスのインフラ基盤を提供する電気通信事業者はデータの読み取りが不可能となり、利用者のみが閲覧可能な状態を実現できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
■公司資料
1. 公司資料
ドリーム·藝術<4811>以"與充滿協同創作樂趣的人和組織一起爲社會發展做貢獻"爲任務中心,旨在提高企業生產力,實現創造性工作方式,向大型企業提供saas產品(無代碼開發工具"SmartDB"、內部門戶建設工具"InsuiteX"、連鎖店信息共享工具"Shopr")以及特定客戶的集成開發運營雲服務"DCR(DX自定義分辨率)"。其作爲雲服務供應商在東京和廣島設有兩個總部,並在沖繩、中國大連設有分支機構。此外,石垣市沖繩設有24小時全年無休的雲監控中心。該集團由夢創信息(大連)有限公司組成,夢創信息(大連)位於同公司及子公司,被定位爲執行同公司產品開發、測試、支援業務的開發點之一。
企業的數字轉型(DX)不斷髮展,但DX的系統開發依賴於IT廠商的外包開發,同時IT人才也主要集中在IT廠商。在IT人才短缺的情況下,大部分日本企業尚未實現系統的內部開發。技術和知識尚未積累,例如ERP※1等核心系統變得不透明,所描繪的數據利用目標實現困難。該公司提供的SaaS產品"SmartDB"是一種無代碼開發工具,即使非IT人員也可以進行應用程序開發。該公司提倡"數字民主化"的理念,將"SmartDB"定位爲實現"市民開發"※2的增長驅動力。
※1 ERP:Enterprise Resource Planning(企業資源規劃)的簡稱。是一種管理方法,旨在綜合管理和分配企業擁有的各種資源,包括資金、人員、設備、原材料、信息等,以實現業務的效率化和管理的整體優化。此外,也指導入和使用業務橫跨的業務軟件包,以實現企業經營的核心,也被稱爲基幹系統。通常被分爲"財務業務"、"人事業務"、"生產業務"和"物流業務"等組件。
※2 市民開發:這是一種開發風格,前提是引入無需編程即可開發應用程序的工具,非IT領域員工推動業務數字化,缺乏IT專業知識。這種開發風格下的員工被稱爲市民開發者。
從1999年開始,該公司作爲獨立軟件廠商銷售自家開發的軟件包"INSUITE"和"SmartDB"。近年來,隨着大公司對雲的使用不斷增加,因此,該公司於2017年開始提供基於雲基礎設施的"INSUITE"、"SmartDB"和DCS(Dreamarts雲服務)。2018年停止了軟件包的新銷售,以便將業務模式轉換爲雲服務供應商。伴隨着這一變化,收入模式由銷售軟件時一次性結算全部款項轉變爲每月收取固定金額的月度使用費方式,增加了開支。因此,雖然2020年12月至2021年12月這一過渡期會計年度出現虧損,但成功在短期內提高SaaS佔比,使2022年12月度實現了盈利。2023年10月在東京券交易所(以下簡稱"東交所")成長市場上市,迄今爲止。與大型企業的業務往來長久,客戶基礎包括三菱UFJ銀行、大和房建<1925>、kddi<9433>、日本航空<9201>、日本經濟新聞社、普利司通<5108>、日本通運株式會社等各行業的領先公司。
2. 發展歷程
該公司成立於1996年12月,並於1999年2月發佈了面向中小企業的群件「INSUITE(R)99」。之後,於2002年7月發佈了面向大企業的信息門戶「INSUITE Enterprise」。將重點放在大企業上,於2005年11月發佈了Web數據庫「SmartDB」,並開始與「INSUITE」捆綁銷售。2007年8月,由於招聘了中國大連的大學生畢業生,因此在該地成立了100%子公司Dream Information(Dalian)有限公司。2008年1月,在與Nexway株式會社的合作中發佈了連鎖店SaaS「店鋪matic(R)」(以下簡稱「店鋪matic」),並開始向雲服務供應商轉型。從2010年11月起,以雙品牌「店鋪matic」和自有品牌「Shoplan」銷售。
2012年1月,收購了Okinawa索引公司51%的股份併成爲子公司,將其名稱更改爲Dream Arts Okinawa公司。2014年5月,在沖繩縣石垣市成立了雲監控中心。關於Dream Arts Okinawa,通過增持股份使其成爲100%子公司,並於2021年7月進行了合併。
2014年10月,公開了「SmartDB」的API*,開始作爲應用程序的開發基礎。隨後,隨着雲基礎設施的完善,從2017年9月開始在雲基礎上提供「INSUITE」和「SmartDB」的DCS銷售。由於大企業中雲的應用不斷髮展,從2018年12月停止向新客戶銷售包裝軟件,開始轉型爲雲服務供應商。
API:應用程序編程接口的縮寫。是兩個軟件之間進行信息交流時使用的接口規範。通過這種規範,可以實現與其他軟件的功能協作,提高便利性。
2019年11月,獲得了DCS的信息安全管理制度(ISMS)雲安全認證,2020年8月連續兩年獲得了「Microsoft Partner of the Year」獎項(2019年「Retail Award」,2020年Social Responsibility Award”)。同年11月,作爲大企業信息門戶「INSUITE Enterprise」的繼任產品,推出了基於最新雲架構的全新「InsuiteX」,並在2021年11月實現了「SmartDB」的世界首創無代碼工具功能。2023年12月,與美國Fortanix公司達成技術合作,開始提供實現BYOK的雲安全解決方案,通過該服務,可以在涉密業務中使用「SmartDB」,其中具有高度機密性且需要嚴格的安全要求。
1 該公司調查。
2 BYOK:Bring Your Own Key的縮寫。在使用雲服務時,用戶可以使用自己準備的密鑰對數據進行加密和保存的機制。通過這種機制,雲服務提供商以及提供服務的基礎設施的電信業者無法讀取數據,僅用戶才能查看數據。
(編寫:Fisco客戶體驗分析師Matsumoto Akira)