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熊本大学による研究論文発表のお知らせ~5-ALAによるパーキンソン病などのシヌクレイノパチー発症機序の調節~

SBIホールディングス ·  11/26 23:00

2024年11月27日
SBIファーマ株式会社

SBIホールディングス株式会社の子会社で5-アミノレブリン酸(5-ALA)(※1)を利用した医薬品等の研究・開発等を行っているSBIファーマ株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役執行役員社長:北尾吉孝、以下SBIファーマ)は、国立大学法人 熊本大学発生医学研究所の塩田倫史教授、矢吹悌准教授および松尾和哉助教らの研究グループ(以下、熊本大学研究グループ)によるシヌクレイノパチー(※2)の発症機序を新たに解明した論文「RNAのグアニン四重鎖(G4)構造体は、神経病理学的なαシヌクレインの凝集を促進する足場を形成する」(日本語訳)が2024年10月18日に米国科学誌「Cell」に掲載されましたことを、以下の通り、お知らせいたします。
なお、本論文は、SBIファーマと熊本大学研究グループの共同研究の内容を一部含むものです。

掲載誌Cell
表題RNA G-quadruplexes form scaffolds that promote neuropathological α-synuclein aggregation
著者熊本大学発生医学研究所塩田倫史教授、矢吹悌准教授および松尾和哉助教ら
doi10.1016/j.cell.2024.09.037
URL
概要 シヌクレイノパチーは、神経細胞内に「αシヌクレイン」と呼ばれるタンパク質の凝集を起因とする神経変性疾患の総称であり、主な疾患にパーキンソン病などが知られています。しかし、このαシヌクレインの凝集メカニズムは解明されていませんでした。
本研究グループは、細胞等を用いた実験からRNA高次構造のひとつである「グアニン四重鎖(G-quadruplex;G4)(※3)」の集積がαシヌクレイン凝集の足場となることを発見しました。さらに神経変性の引き金となるのは、細胞ストレスによる細胞内カルシウムイオンの濃度上昇に伴う「G4の集積」であり、かつαシヌクレインはG4と直接結合し、凝集性のある形状に構造変換することを発見しました。
実際に、パーキンソン病患者の剖検脳におけるαシヌクレイン凝集体の約90%にG4が集積していました。そこで、G4の集積を抑制する物質の前駆体である「5-アミノレブリン酸(5-ALA)塩酸塩」をシヌクレイノパチーモデルマウスに経口投与したところ、αシヌクレインの凝集が阻害され、進行性の運動機能の低下を予防しました。5-ALAの代謝産物がG4と結合して「G4の集積」を抑制することにより、αシヌクレイン凝集が阻害され、神経機能の低下を防ぐことが推測されました。
本結果は、「G4の集積抑制」によって神経変性疾患を予防できる可能性を示しています。
(※1) 5-アミノレブリン酸とは、体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸です。ヘムやシトクロムと呼ばれるエネルギー生産に関与するタンパク質の原料となる重要な物質ですが、加齢に伴い生産性が低下することが知られています。
(※2)シヌクレイノパチーは、パーキンソン病、レビー小体型認知症を含む進行性の神経変性疾患の総称です。シヌクレイノパチーでは、「αシヌクレイン」と呼ばれるタンパク質が神経細胞内に凝集して神経障害を引き起こします。しかしながら、「αシヌクレイン」がどのように細胞内で凝縮するかは未解明でした。
(※3) グアニン四重鎖(G4)とは、DNAおよびRNAの高次構造の一種です。4つのグアニンが四量体を作った面(G-カルテット)が2面以上重なった構造体です。本論文では、RNAで形成されるG4の集積がαシヌクレイン凝集の足場となることを示しました。

本プレスリリースは論文の紹介であり、未承認薬の使用を推奨するものではございません。

以上

これらの内容は、情報提供及び投資家教育のためのものであり、いかなる個別株や投資方法を推奨するものではありません。 更に詳しい情報
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