AIアバターが専門家の知見をもとにインタラクティブにフィードバック
富士通株式会社(注1)(以下、富士通)、学校法人東洋大学(注2)(以下、東洋大学)と一般社団法人ココロバランス研究所(注3)(以下、ココロバランス研究所)は、社会課題として深刻化するカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)への対応力の向上を目指し、AIや犯罪心理学に精神保健学を融合した「カスタマーハラスメント対応教育プログラム」の開発に向けた実証実験を2024年12月3日より開始しました。
本プログラムでは、富士通の生成AI技術と行動変容支援技術、および東洋大学の犯罪心理学の知見を融合して開発を進めてきたカスタマーハラスメント体験AIツールに、AIアバターとのやりとりが可能なインタラクティブフィードバック機能を新たに加えたものを提供し、体験者のカスハラ対応力を向上させるための行動を明確にします。また、体験者への教育効果の評価のため、ココロバランス研究所の精神保健学の知見を活かし、顧客対応力やストレスマネジメント力といったカスハラへの対応力を測る心理尺度を新たに開発します。これにより、適切なカスハラ対応の習得を支援し、その効果を定量的に評価できるプログラムの実現を目指します。
また、三者は本実証実験を、富士通コミュニケーションサービス株式会社(以下、CSL)のコールセンターの従業員を対象に行い、体験者の顧客対応力やストレスマネジメント力、エンゲージメントや主観的生産性の変化を分析することで、科学的根拠のあるプログラムの開発を進めていきます。
今後三者は、本実証実験を踏まえて改善を加えながら、2025年度の本教育プログラムのサービス実用化を目指します。顧客対応業務に従事する方々がカスハラに遭遇した場合の対応策を事前に把握し、心理的負担が軽減されることで、安心して働くことができる社会づくりに貢献していきます。
背景
近年カスハラは、深刻な社会課題となっており、サービス業従事者のうち直近2年以内でカスハラ被害にあった方は46.8%、そのうちの半数近くが、心身に持続的な悪影響を感じています(注4)。
こうした状況を受けて、厚生労働省は2023年9月に、カスハラによる精神障害を労災認定基準に追加しました。また2024年10月には、東京都議会で全国初となるカスハラ防止条例が可決されました。国や自治体でカスハラ対策が強化される中、組織でも従業員を守る取り組みが求められています。
実証実験の期間
2024年12月3日(火曜日)から2025年3月31日(月曜日)まで
三者の役割
富士通:カスタマーハラスメント体験AIツールの設計開発、実証実験の実施およびデータ収集分析
カスタマーハラスメント体験AIツールは、生成AI技術によりカスハラの疑似体験を実現し、体験者の心拍や呼吸などのバイタルデータや発話データをリアルタイムに観測して個人の特性を特定することで、体験者に合わせた評価や改善点を、AIアバターがフィードバックするものです。本ツールは2024年6月に発表しましたが(注5)、カスハラ対応の現場においては、より納得性の高いフィードバックが求められていることがわかりました。このほど、行動変容支援技術として新たに、AIアバターとのやりとりが可能なインタラクティブフィードバック機能を組み込みます。体験者の疑似体験結果に基づいて、体験者が重点的に成長すべきポイントをAIアバターが見極め、専門家の知見を参考にして対応の改善方法を提案します(注6)。さらに、AIアバターが質問をなげかけるなどの柔軟でインタラクティブなやりとりを通して、体験者の納得感の高い行動への落とし込みを支援することで、体験者のカスハラ対応力を効果的に向上させます。
東洋大学:実証実験の設計、体験シナリオの設計、フィードバックの設計
犯罪心理学に基づくカスハラ分析を活用し、カスハラ客の特徴を組み込んだカスタマーハラスメント体験AIツールのシナリオ設計や、体験者の特性を踏まえて適切な対応を伝えるフィードバック方法の選定、実証実験の設計を行います。
ココロバランス研究所:教育効果評価指標としての心理尺度の開発と設計、カスハラ対応教育プログラムの指導マニュアルの検討
既存の心理尺度では一般的な対人関係スキルの計測に留まり不十分であったため、カスハラ対応で重要となる、状況に応じた冷静な対応やストレスを溜め込まない心構えとなる顧客対応力・ストレスマネジメント力を計測する心理尺度の新規開発を主導します。これらに加えて、ストレスやエンゲージメント、主観的生産性といった心理尺度を組み合わせ、カスタマーハラスメント体験AIツールが業務に与える効果とその範囲を評価・分析します。これらの結果に基づき、実証実験の評価・改善と、より効果的な教育プログラムの展開に繋げます。
実証実験のイメージ図富士通コミュニケーションサービス(CSL)における実証実験について
三者はCSLのコールセンターにおいて、現役オペレーター(十数名)を協力者とし、「カスタマーハラスメント対応教育プログラム」の実証実験を行います。各協力者はカスタマーハラスメント体験AIツールを利用し、カスハラの疑似体験とそれに対する評価・改善点のフィードバックを受けて、自身のカスハラ対応力の向上を図ります。また、体験前後や体験後の一定期間を経た後に心理尺度を含むアンケートに回答します。アンケートには、ストレス、エンゲージメント、主観的生産性などの心理尺度に加え、今回新規開発した心理尺度を使用します。三者は協力者の教育プログラムを受ける前後の回答の変化を測定することで、実験効果を評価します。
今後について
三者は、本実証実験の協力者の体験中における観測データとアンケート回答を用いて、本教育プログラムの効果を分析し、より効果の高いカスタマーハラスメント体験AIツールに向けた改善を行います。科学的効果が実証された「カスタマーハラスメント対応教育プログラム」を構築・提供することで、マニュアル策定や相談窓口の設置などに加わる、よりよい組織づくりのための新たな選択肢を提案し、従業員や職員が安心して働くことができる社会づくりに貢献していきます。
富士通株式会社 富士通研究所 コンバージングテクノロジー研究所 所長 山田亜紀子のコメント
我々は、最先端のデジタルテクノロジーと人文・社会科学などの分野の知見を融合することで、さまざまな社会課題を解決するコンバージングテクノロジーの研究を進めてきました。今回新たに、生成AI技術と行動変容支援技術、犯罪心理学、精神保健学の知見を融合することにより、カスハラという大きな社会課題に挑戦し、企業の方々の心身を守ることに貢献していきます。
東洋大学 社会学部 学部長 桐生正幸のコメント
これまで開発を重ねてきたカスタマーハラスメント体験AIツールに、カスハラに関する心理尺度やストレスなどの測定指標を加えることで、実践的で効果が期待できる接客対応者のための「カスタマーハラスメント対応教育プログラム」が構築されることは、現在のカスハラ問題解決に応える大きな成果となると考えます。コンバージングテクノロジーによる新たな社会貢献が、この実証実験にて生まれることを大いに期待するところです。
一般社団法人ココロバランス研究所 代表理事 島田恭子のコメント
一部の従業員にとって、深い心の傷となりうるカスハラ。撲滅はできなくとも、組織のチカラで被害を減らすことができます。本研究は、従業員のメンタルや対応力にアプローチすることで、組織の底力を上げていく取り組みです。世界的に用いられている心理尺度・実効性を見据えた評価軸を用いることで、このプログラムを科学的根拠のある、従業員にとって真に役立つ・使えるものにしていきたいと考えています。
商標について
記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
注釈
注1
富士通株式会社:
本店 神奈川県川崎市中原区、代表取締役社長 時田 隆仁
注2
学校法人東洋大学:
所在地 東京都文京区、理事長 安齋 隆
注3
一般社団法人ココロバランス研究所:
所在地 東京都渋谷区、代表理事 島田 恭子
注4
出典:UAゼンセン 「カスタマーハラスメント対策アンケート調査結果」記者レクチャー資料 2024.
注5
犯罪心理学と生成AIの融合によるカスタマーハラスメント体験AIツールを開発(2024年6月3日 Updates from FUJITSU)
注6
専門家の知見を参考に提案するものであり、専門家による判断と同等の性能を保証するものではありません。
本件に関するお問い合わせ
富士通株式会社
学校法人東洋大学
東洋大学総務部広報課
TEL:03-3945-7571 受付時間: 9:00~18:00(土・日・祝日・大学指定の休業日を除く)
E-mail:mlkoho@toyo.jp
一般社団法人ココロバランス研究所
研究支援担当課
E-mail:info@kokorobalance.jp
プレスリリースに記載された製品の価格、仕様、サービス内容などは発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。あらかじめご了承ください。
AI化身基于专家的见解进行互动反馈
富士通株式会社(注1)(以下称为富士通)、学校法人东洋大学(注2)(以下称为东洋大学)以及一般社团法人心灵平衡研究所(注3)(以下称为心灵平衡研究所)为提高应对日益严重的顾客骚扰(以下简称为骚扰)的能力,于2024年12月3日开始进行结合AI和犯罪心理学与精神健康学的“顾客骚扰应对教育项目”的开发实证实验。
该项目将富士通的生成AI技术与行为改变支持技术,以及东洋大学在犯罪心理学方面的见解融为一体,开发出可以与AI化身进行互动反馈的新型顾客骚扰体验AI工具,以明确体验者的骚扰应对能力。此外,为了评估对体验者的教育效果,将运用心灵平衡研究所的精神健康学知识,开发新的心理量表以衡量顾客应对能力和压力管理能力等骚扰应对能力。通过这一方法,支持适当的骚扰应对的掌握,并力求实现能够定量评估效果的项目。
此外,三方将在富士通通信服务株式会社(以下简称为CSL)的呼叫中心员工中进行本次实证实验,通过分析体验者的顾客应对能力、压力管理能力、参与度及主观生产力的变化,推动科学依据的项目开发。
未来三方将依据本次实证实验进行改进,力争在2025年度实现该教育项目的服务实用化。使从事顾客应对工作的人员能够事先掌握遭遇骚扰时的应对措施,从而减轻心理负担,推动建设能够安心工作的社会。
背景
近年来,骚扰已成为严重的社会问题,在服务行业从业者中,最近2年内遭受骚扰的人数为46.8%,其中近一半的人感到身心有持续性的负面影响(注4)。
针对这种情况,厚生劳动省于2023年9月将因骚扰引发的精神障碍纳入工伤认定标准。此外,2024年10月,东京都议会通过了全国首个骚扰防止条例。在国家和地方政府加强骚扰对策的背景下,组织对保护员工的举措也提出了要求。
实证实验的期间
从2024年12月3日(星期二)到2025年3月31日(星期一)
三者的角色
富士通:客户骚扰体验AI工具的设计开发、实证实验的实施以及数据收集分析
客户骚扰体验AI工具通过生成AI技术实现骚扰的模拟体验,实时观察体验者的心率、呼吸等生命体征数据和言语数据,以确定个人特性,从而由AI化身反馈与体验者相匹配的评价和改进点。本工具于2024年6月发布(注5),但在骚扰应对现场,发现需要更具说服力的反馈。近期,作为行为转变支持技术,新增了与AI化身互动的互动反馈功能。根据体验者的模拟体验结果,AI化身识别体验者需重点成长的积分,并参考专家的见解提出应对的改进方法(注6)。此外,通过AI化身提出问题等灵活而互动的交流,支持体验者高认可感的行为落地,有效提高体验者的骚扰应对能力。
东洋大学:实证实验的设计、体验场景的设计、反馈的设计
基于犯罪心理学的骚扰分析,进行包含骚扰客户特征的客户骚扰体验AI工具场景设计,以及针对体验者特性传达适当应对的反馈方法选择和实证实验的设计。
心灵平衡研究所:作为教育效果评价因子的心理尺度的开发和设计,以及骚扰应对教育程序的指导手册的审查
由于现有的心理尺度仅限于对一般人际关系技能的测量而显得不足,因此我将主导新心理尺度的开发,以测量在应对客户骚扰时重要的基于情境的冷静应对能力和不积累压力的心态,如顾客应对能力和压力管理能力。除此之外,还将结合压力、参与度、主观生产力等心理尺度,评估和分析客户骚扰体验AI工具对业务的影响及其范围。基于这些结果,将进行实证实验的评估和改进,并推动更有效的内地教育股项目的开展。

实证实验的概念图
关于富士通通信服务(CSL)进行的实证实验
三方将在CSL的呼叫中心中,与十余名现役运营商合作,进行“客户骚扰应对教育项目”的实证实验。每位合作伙伴都将使用客户骚扰体验AI工具,接受骚扰的模拟体验,并就其评价和改进点进行反馈,以提升自身的客户骚扰应对能力。此外,在体验前后及体验后的一段时间后,还将回答包含心理尺度的问卷。问卷将使用此次新开发的心理尺度,除了压力、参与度、主观生产力等心理尺度。三方将通过测量合作伙伴在教育项目前后的回答变化来评估实验效果。
关于未来
三方将利用在本实证实验中的合作伙伴体验中获取的观察数据和问卷回答,分析本教育项目的效果,并进行针对更高效的客户骚扰体验AI工具的改进。通过构建和提供科学效果已得到验证的“客户骚扰应对教育项目”,我们将为制定手册、设置咨询窗口等提供更好的组织建设新选择,贡献于员工和职员能够安心工作的社会建设。
富士通株式会社 富士通研究所 convergence科技研究所 所长 山田亜纪子的评论
我们通过融合最前沿的数字科技与人文、社会科学等领域的见解,推进解决各种社会问题的融合科技研究。这次,我们将生成AI技术、行为变化支持技术、犯罪心理学和精神健康学的见解融合在一起,挑战大规模社会问题的“骚扰”,并致力于保护企业员工的身心健康。
东洋大学 社会学部 部长 桐生正幸的评论
通过在一直以来开发的客户骚扰体验AI工具中加入与骚扰相关的心理量表和压力等测量指标,可以构建实用且有效的服务人员的“客户骚扰应对教育程序”。我认为这将成为回应当前骚扰问题解决的大成果。期待通过这次实证实验,融合科技带来的新的社会贡献。
一般社团法人心灵平衡研究所 代表理事 岸田恭子的评论
对一些员工来说,骚扰可能成为深深的心灵创伤。尽管无法彻底根除,但可以通过组织的力量减少受害。本研究通过关注员工的心理和应对能力,致力于提升组织的底蕴。希望利用在全球范围内使用的心理量表和实效性评估框架,使这个程序具备科学依据,成为真正对员工有帮助的可用工具。
关于商标
文中提到的产品名称等专有名词均为各公司的商标或注册商标。
注释
注1
富士通株式会社:
本店 神奈川县川崎市中原区,代表董事社长 时田 隆仁
注2
学校法人东洋高校:
所在地 东京都文京区,理事长 安斋 隆
注3
一般社团法人心灵平衡研究所:
所在地 东京都渋谷区、代表理事 岛田恭子
注4
出处:UAゼンセン "客户骚扰对策问卷调查结果"记者讲解资料 2024.
注5
通过犯罪心理学与生成AI的融合开发的客户骚扰体验AI工具(2024年6月3日 富士通更新)
注6
该提案参考了专家的见解,并不保证与专家的判断具备同等的性能。
有关本件的咨询
富士通株式会社
学校法人东洋高校
东洋高校总务部宣传课
电话:03-3945-7571 接待时间: 9:00~18:00(周六、周日、节假日及高校指定的休业日除外)
电子邮件:mlkoho@toyo.jp
一般社团法人心灵混合型研究所
研究支持担当课
电子邮件:info@kokorobalance.jp
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