■成長戦略
1. 成長戦略
クリアル<2998>では全体の成長を「CREAL」がけん引していることから、積極的なマーケティングとIT投資を継続する方針である。また、SBIホールディングスとの提携が業績拡大に大きな効果を与えている状況を踏まえ、中期目標として2027年3月期に年間GMV800億円、累計投資家数18万人の達成を掲げた。目標に向け優良なアセットマネジメント収益を確保するため、2024年5月にホテル運営事業への参入を決定したほか、有力他社との業務提携を進めている。
同社の競争優位性は、リピート投資率すなわちロイヤリティの高いユーザーをオンラインで累計8万人以上抱えていることにあり、その資産を最大限に活用することが成長のカギとなる。具体的には、まず成長原資となる投資経験層の「CREAL」ユーザー数をSBI証券との提携で拡大する。次に、「CREAL」をより大きなプラットフォームへ成長させるため、投資未経験層(投資エントリー層)の獲得に向け、有用なマス広告に注力する。富裕層や機関投資家などの大型投資家の取り込みについては、不特法に基づく3号及び4号事業者のライセンス取得から始める。ライセンス取得により、SPCを利用したクラウドファンディングでの案件組成が可能となり、原則的に物件のオフバランス、アップフロントフィー等の各種手数料の即時売上計上が可能となるため、同社の貸借対照表の軽量化、倒産隔離などが実現できる。これにより投資対象としての適格性が向上し、個人投資家に加えて金融機関や機関投資家などの参画が促進され、投資主体の幅と投資額が大きく拡大すると見込まれる。ほかにも、ノンリコースローンによるレバレッジ効果によって「CREAL」の投資家の利回りが向上し、同社の収益性向上も期待できる。同社はこのライセンス取得を経営上の最優先課題として取り組んでいる。
一方で、対面での取り組みにも注力している。これは「CREAL」で組成するファンドの対象物件をバルクで機関投資家に一括販売し、同社は引き続きアセットマネージャーとして関与することで、収益機会を継続させ「CREAL PRO」の売上高を増加させる。また、オンライン投資家のためにより長期的な資産形成としての商品を「CREAL」の顧客に提案(クロスセル)し、「CREAL PB」の売上高の増加につなげる。SBIホールディングスとの提携により、同社のサービスが法人の投資対象として注目を集めていることから、法人向けの対応に注力する。
このように同社の特長である「CREAL」のプラットフォームを最大限に活用して、各サービスの増収増益を図る。将来的には、投資エントリー層、投資経験層、資産形成層、富裕層、機関投資家といったあらゆる顧客層の投資家ニーズに応える資産運用会社として、DXプラットフォームを通じて効率的に提供・運営を行い、不動産を中心としたオルタナティブアセット全般を資産運用のニーズに応える形で顧客に提供する考えだ。
また、同社では会員基盤の拡大、物件の発掘とオペレーション力の強化に加えて、海外での事業展開もにらみ、M&Aについても積極的に検討している。以上のような取り組みによって経営基盤の拡大を強力に推進できると弊社では見ている。
2. ホテル運営事業「CREAL HOTELS」が始動
同社は2024年5月14日にホテル運営事業「CREAL HOTELS」への参入を発表し、同年7月19日にクリアルホテルズを設立した。同社の成長継続にはGMVの伸長が不可欠であり、それには優良なアセットが必要とされる。急速なインバウンド拡大でホテル需要の急増に加えて、日本政府が2030年訪日外国人旅行者数6,000万人、消費額15兆円を目標に掲げていることも後押しし、ホテル需要の一層の高まりが予想される。インバウンドニーズを的確に捉えたホテルは少ないため、同社は第4の柱になりうるとして、ホテル運営事業に参入した。「限定的/セルフ型×中~高価格帯」をターゲットに強みのDXを生かし、斬新で自由な顧客体験価値を重視した、ハイグレードなアパートメントホテルやサービスアパートメント、観光地型ヴィラ等の展開を計画している。
2024年11月13日には第1弾として、インバウンドニーズの高い沖縄・那覇エリアにて、新ブランド「LACER」による2物件の運営受託を発表した。「LACER OKINAWA NAHA MIEBASHI」「LACER OKINAWA NAHA TOMARIPORT」の2施設で、2025年1月下旬の同時開業を予定している。いずれも既存のホテルを取得して「LACER」にリブランドしたもので、訪日外国人客が好む多人数宿泊への対応として、1室当たりのベッド数を増やすなどバリューアップした。ほかにも8件のプロジェクトを進めているが、これらの運営実績を踏まえて、将来的にはより高価格帯のホテルブランドの展開も検討している。
ホテル運営事業では2つのソーシング(物件調達)パターンを取り扱い、既存サービスとのシナジーを追求する。1つ目は既存ホテルを購入し、インバウンド向けに部屋を拡張するなどリノベーションを実施する。この場合は「CREAL」によるファンドとして組成しGMVを拡大させ、エグジットによる収益化後もホテル運営事業を継続し、定期的なフィーを獲得する。2つ目は、土地を調達してホテルを建設する。こちらは「CREAL PRO」においてプロの投資家向けにファンドを組成し、投資家と共同運営しながら機会を見てエグジットする。その後のホテル運営の受託も想定している。インバウンド需要が年々増加するなか、ホテル物件投資スキームに興味を持つ機関投資家等のプロ投資家は今後増えると考えられ、同社の認知度向上と相まって、サービスへのニーズは今後高まることが期待される。
3. TATとの業務提携
2024年11月14日、TATとの業務提携及びTATを同年12月に同社の持分法適用関連会社とする旨を発表した。TATはホテル運営事業のほか、不動産開発・企画・設計をメインの事業としているが、特に同社のホテル運営事業が目指すインバウンド向けの長期滞在型アパートメントホテルの開発・運営実績を数多く有する。TATは次世代に対応した斬新なコンセプトとブランド戦略により、経済合理性や顧客の成長戦略を考慮した企画・設計・運営の一体開発に強みを持つことから、同社のホテル運営事業においても力強いパートナーとなることが期待される。
同社はこの業務提携に対して、既存事業との大きなシナジーを期待している。ファンド組成においてTATが運営する既存ホテルのほか新規ホテルのソーシングでTATから有効なサポートが期待でき、収益性の向上が望めるからである。特に「CREAL PRO」においては有力な機関投資家と組むことで、TATと共同で組成するファンド数の増加や規模の拡大のほか、ファンド運用中及びエグジット後のホテル運営事業でTATからの強力なバックアップが期待できそうだ。「CREAL HOTELS」においても同社の目指すインバウンド向けホテルの充実・拡大と、ホテル事業運営能力の向上、運営候補先ホテルの相互融通などファンド組成時の協力体制が期待できる。TATとの提携を通じてホテル運営事業のノウハウを高め、既存事業とのシナジーを積極的に追求し、収益基盤を拡大してさらなる成長を目指す。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
■增长战略
1. 成长战略
由于整体的增长由"CREAL"驱动,该公司方针是持续进行积极的市场营销和IT投资。同时,考虑到与SBI控股的合作对业绩扩张的巨大影响,设定了2027年3月期的中期目标,即年度GMV达到800亿日元,累计投资者数量达到18万。为了确保向目标迈进的优质资产管理收益,该公司决定在2024年5月进入酒店经营业务,并推进与有力其他公司的业务合作。
该公司的竞争优势在于,在线上拥有8万以上回报投资率高的用户,这些用户的忠诚度很高,充分利用这些资产将是增长的关键。具体来说,首要通过与SBI证券的合作,扩大作为成长原资的投资经验层"CREAL"用户数量。接下来,为了将"CREAL"成长为更大的平台,重点获取投资未经验层(投资入门层),强化有效的大众广告。关于富裕层和机构等大型投资者的引入,将从基于不特法的3号和4号经营者的许可获取开始。通过获得许可,可以利用SPC进行众筹项目的组成,原则上能够实现物业的离表、前期费用等各种手续费的即时收入确认,从而实现公司的资产负债表的轻量化、破产隔离等。这将提升投资对象的合格性,促进个人投资者以及金融机构和机构投资者的参与,预计投资主体的范围和投资金额将大幅扩大。此外,通过非追索权贷款的杠杆效应,"CREAL"投资者的收益率提高,公司的盈利能力也可望提升。该公司将这一许可的获取视为经营上的最优先课题进行努力。
另一方面,该公司也致力于面对面的合作。这是将"CREAL"所组成的基金的目标物业以批量方式一口气出售给机构投资者,公司将继续作为资产经理参与,以保持收益机会,增加"CREAL PRO"的营业收入。此外,为了在线投资者,为"CREAL"的客户提供更为长期的资产形成产品(交叉销售),以促进"CREAL PB"的营业收入增长。由于与SBI控股的合作,该公司的服务受到法人投资对象的关注,因此将重点应对法人客户。
如此,通过最大限度地利用公司特有的"CREAL"平台,致力于各项服务的增收增益。未来,公司将成为全面满足投资入门层、投资经验层、资产形成层、富裕层、机构投资者等各类客户层的投资者需求的资产管理公司,借助DX平台有效提供和经营,期望以房地产为核心的各种替代资产的形式满足资产管理的需求。
此外,公司还积极考虑M&A,以扩大会员基础,增强物业的发掘和运营能力,并瞄准境外业务扩展。我们认为通过以上举措将有力推动经营基础的扩展。
2. 酒店经营业务"CREAL HOTELS"已启动
该公司于2024年5月14日宣布将参入酒店运营业务「CREAL HOTELS」,并于同年7月19日成立了クリアルホテルズ。公司持续增长需要GMV的提升,而这需要优质的资产。受高速增长的入境游客需求和日本政府2030年外国游客数量6000万、消费额15万亿日元目标的推动,预计酒店需求将进一步上升。能够准确把握入境需求的酒店数量不多,因此公司选择进入酒店运营业务,作为第四大支柱。以「有限/自助型×中高价位」为靶材,充分发挥其在DX方面的优势,重视创新和自由的客户体验价值,计划展现高档公寓酒店、服务式公寓、度假别墅等。
2024年11月13日作为第一波,在入境需求高的冲绳·那霸地区,宣布由新品牌「LACER」管理的两个项目。「LACER OKINAWA NAHA MIEBASHI」和「LACER OKINAWA NAHA TOMARIPORT」这两个设施,计划于2025年1月下旬同时开业。两者都是通过收购现有酒店并重新命名为「LACER」,以更好地满足入境外国游客偏好的多人住宿的需求,通过增加每间房的床位数来提升价值。此外,正在进行8个其他项目,但根据这些运营业绩,未来也在考虑推出更高价格区间的酒店品牌。
在酒店运营业务中,处理两种采购(项目获取)模式,以追求与现有服务的协同效应。第一种是收购现有酒店,并针对入境游客进行房间扩展等翻新。在这种情况下,作为「CREAL」的基金进行组合,扩大GMV,并在退出后继续酒店运营业务,获得定期费用。第二种是采购土地并进行酒店施工。在这里,公司将在「CREAL PRO」中针对专业投资者组建基金,与投资者共同经营,同时寻找机会进行退出。后续的酒店运营也预见到可以委托给公司。随着入境需求逐年增长,预计对酒店物业投资方案感兴趣的机构等专业投资者将增加,伴随着公司的知名度提升,对服务的需求也将持续上升。
3. 与TAT的业务合作
2024年11月14日,宣布与TAT的业务合作,并在同年12月将TAT变为本公司的权益法适用关联公司。TAT除了酒店运营业务外,其主要业务为房地产开发、策划和设计,其中尤其在公司目标的入境长期住宿型公寓酒店的开发与运营方面有丰富的经验。TAT凭借其针对次世代的创新理念和品牌战略,在经济合理性及客户成长战略方面,具备一体化开发的优势,因此预期将成为公司酒店运营业务的强大合作伙伴。
公司对这一业务合作抱有较大协同效应的期望。在基金的组合中,除了TAT运营的现有酒店外,TAT的新酒店采购也能提供有效的支撑,进而期望提升收益性。尤其在「CREAL PRO」中,与有力的机构投资者的合作,不仅可以增加与TAT共同组建的基金数量和规模,还能在基金运营期间及退出后的酒店运营中得到TAT的强力支持。在「CREAL HOTELS」中,也期待能在公司在入境酒店方面目标的丰富与扩展、提升酒店业务运营能力以及运营候选酒店的相互联系等方面建立合作体系。通过与TAT的合作,提升酒店运营业务的经验,积极追求与现有业务的协同效应,扩大收益基础,目标实现进一步增长。
(编辑:FISCO分析师村瀬智一)