猛烈上昇の3銘柄！8月暴落は”かすり傷”？フジクラは年初から株価3.7倍に

「令和のブラックマンデー」ともされる8月5日の東京株式市場大暴落から３週間が経過した。5日から23日までにTOPIXは20.5％反発。東証33業種で最も反発した業種は「非鉄金属」で、「保険業」「証券・商品先物取引業」が続いた。「非鉄金属」の上昇は光ファイバーや電線を手掛ける $フジクラ (5803.JP)$が寄与した。フジクラは $住友電気工業 (5802.JP)$ 、 $古河電気工業 (5801.JP)$と並び「電線御三家」の一角とされる。データセンター向け光ファイバーが好調であることが好感され、同期間で株価は81.8％高に、年初来では3.7倍に急伸した。

フジクラは８日、25年３月期通期業績を収益ともに上方修正、営業利益予想は従来から27％引き上げた。AIデータセンター向け需要の拡大が継続する見通し。年間配当予想も引き上げ、65円（従来予想は55円）とした。同日発表した１Q営業利益は前年同期比94.5％増の244億円と大幅に伸びた。独自開発の「SWR」「WTC」と呼ばれる軽量光ケーブルの引き合いが強い。データセンターで必要とされるCPU・GPU冷却デバイスも手掛ける。

ブルームバーグデータでは最も関係サイズの大きい販売先が $アップル (AAPL.US)$となっている。その他販売先は $トヨタ自動車 (7203.JP)$など主な自動車メーカーや $日本電信電話 (9432.JP)$のほか、 $東京電力ホールディングス (9501.JP)$や $九州電力 (9508.JP)$といった大手電力会社、電気通信工事大手でデータセンターも手掛ける $コムシスホールディングス (1721.JP)$などの名もみられる。

株価は急騰しているようにみえるが、過熱感を示すテクニカル指標のRSI（相対力指数14日線）は70以下で買われすぎとされる水準には達しておらず、PER（株価収益率）も18.78倍と電線御三家のほかの２社（住友電工は10.27倍、古河電工は19.7倍）と比べて特別に割高というわけでもない。フジクラの注目度が高まり、電線・ケーブル関連は、住友電気工業、古河電気工業のほか $SWCC (5805.JP)$も連れ高となった。

◆ $住友ファーマ (4506.JP)$
5日から23日までに株価は65.85％上昇。住友化学傘下の医薬品準大手。23年3月期から赤字に転落、構造改革を進めてきた。来期26年3月期に黒字転換するとの見方が強まっている。基幹製品は過活動膀胱治療薬「ジェムテサ」、前立腺がん治療薬「オルゴビクス」、子宮筋腫治療薬「マイフェンブリー」。7月31日に発表した25年3月期１Q業績が大幅に改善したこと、国内事業の構造改革として約700人の早期退職者募集を発表したことが好感され買いが強まった。特に米国での「オルゴビクス」の販売上振れが期待されている。月初の東京市場暴落のダメージは小さかった。8月7日にシティが「売り」から「中立」にレーティング変更、15日にはJPモルガン、21日にはSMBC日興がレーティングを引き上げた。

◆ $日本製鋼所 (5631.JP)$
5日から23日までに株価は47.95％上昇。8月5日引け後に25年３月期１Q決算を発表。営業利益が市場予想を上回った。産業機械事業、素形材・エンジニアリング事業ともに受注高が減少したが、防衛関連の受注が好調だった。1Q中では防衛装備庁から電気エネルギーを利用して弾丸を発射する兵器「レールガン」の236億円の受注契約を獲得した。20日、岩井コスモは目標株価を4800円から5100円に引き上げた。