脱デフレへ！出遅れ不動産株４銘柄　割安修正に号砲　上昇期待・高配当銘柄もチェック

3月中旬の日本銀行によるマイナス金利政策解除決定以降、不動産株の強含みが目立つ。想定よりも金利上昇がゆるやかになるとの見通しが広がり、割安修正への動きが優勢となった。脱デフレが意識される中で不動産のインフレ耐性の見直しも進み、不動産関連銘柄で構成されるTOPIX不動産株指数は３月以降、TOPIXをアウトパフォームしている。24年の公示地価が大幅に伸びたことも強い支えとなりそうだ。 $三菱地所(8802.JP)$、 $三井不動産(8801.JP)$、 $霞ヶ関キャピタル(3498.JP)$といった流動性の高い大型銘柄は年初から30％以上株価が上昇しており、すでにアナリストらの平均目標株価を超えている。

▲TOPIX不動産株指数（白線）はTOPIX（青線）を3月からアウトパフォーム

不動産関連の「出遅れ」優良銘柄は？
【スクリーニング条件】
・不動産関連株で時価総額500億円以上
・年初来騰落率が10％以下
・資金効率を示す前期ROE（自己資本利益率）が10％以上（二桁台）
・PER（株価収益率）がTOPIX不動産株指数2年平均の13.3倍以下

◆ $大和ハウス工業(1925.JP)$
賃貸住宅、商業施設、物流など事業施設の３本柱。戸建てや都市開発も。四季報は増配を示唆。24年3月期連結業績予想は増収減益だが、前期発生の退職給付に関する特殊要因を除いた数値では、売上高は4.4％増、純利益は9.5％増となる見込み。前期ROEは14.33％、年初来騰落率は3.68％。予想配当利回りは3.2％。4月3日終値からアナリスト平均目標株価までの乖離率は5.42％。

▲年初からの株価推移

◆ $日本エスコン(8892.JP)$
総合不動産。マンション分譲から商業施設や物流施設開発など。決算期変更のため、24年3月期の対前期増減は短信未記載。ROEは14.24％。年初来騰落率は7.41％。予想配当利回りは3.8％。アナリスト平均目標株価データなし。

▲年初からの株価推移

◆ $ヒューリック(3003.JP)$

都区内の駅近接ビル中心に好物件を所有する。不動産売却が業績をけん引している。資産入れ替えの推進で売却益が拡大。500億円の海外投資枠を設定し、米国高齢者住宅に投資。純利益過去最高更新中。24年12月期連結純利益予想は3.5％増の980億円。売上高予想は市況に大きく左右されるとして公表していない。ROEは13.03％。年初来騰落率は1.15％。予想配当利回りは3.5％。4月３日終値からアナリスト平均目標株価までの乖離率は11.4％。

▲年初からの株価推移

◆ $エスリード(8877.JP)$

関西地盤のマンションデベロッパー。森トラストの連結子会社。近畿圏での供給戸数はトップ級。24年3月期連結売上高予想は15.1％増の920億円、純利益予想は15.5％増の71億円。ROEは10.54％。年初来騰落率は0％。予想配当利回りは3.5％。アナリスト平均目標株価データなし。

▲年初からの株価推移

株価上昇が期待できそうな銘柄は？
上記スクリーニング条件には該当しなかったが、有効データがある銘柄のうち、現在株価からアナリストの平均目標株価までの差が大きく、上昇期待のある銘柄はホテルニューオータニ系の大谷家が経営するビル賃貸業の $テーオーシー(8841.JP)$で、乖離は50％を超えた。戸建て中古再生事業を全国展開する $カチタス(8919.JP)$（約36％）、 $スターツコーポレーション(8850.JP)$（約16％）も、目標株価までの乖離が大きかった。