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AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!

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ビットバレー投資家 コラムを発表しました · 07/19 03:47
AI半導体株が暴落に見舞われている。米国政府による対中半導体規制の厳格化に関する報道トランプ氏の台湾をめぐる発言が売りにつながった。2つのニュースが重なった7月17日、エヌビディア株が6.6%下落し、TSMCは8.0%下落した。同日の決算発表でAIブームで受注残高の急増が明らかになったASMLも12.7%下落した。対中輸出規制強化の報道で同社が取り上げられたためだ。

振り返ってみると、半導体株をめぐっては「対中輸出規制」VS「AIブーム」の構図が続いている。7月17日の急落は、足元では前者に対する懸念が後者による恩恵期待を勝ったことを示す。この動きは短期的なのか、それともAIブームの終焉を示唆するのか過去の経験や直近の業績動向から今後の見通しを考察する。両者のいずれかの勢いが勝るときに恩恵が及ぶ「棚ぼた3選」と「押し目買い3選」もピックアップした。
半導体株をめぐる「対中輸出規制」VS「AIブーム」
短期: 「対中輸出規制」>「AIブーム」か
Bloombergは7月17日に、米国政府が対中半導体規制の厳格化を検討していると報じた。それによると、「バイデン米政権は、半導体製造装置大手の東京エレクトロンやオランダのASMLなどの企業が先端半導体技術へのアクセスを中国に提供し続ける場合、利用可能な最も厳しい貿易制限措置の利用を検討していると同盟国に伝えた」という。それを受け、17日は $東京エレクトロン (8035.JP)$が7.5%下落、 $ASMLホールディング (ASML.US)$は12.7%下落した。AI半導体の代表格である $エヌビディア (NVDA.US)$も6.6%下落し、SOX指数(フィラデルフィア半導体株価指数)の構成銘柄はほぼ全面安となった。
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
ASMLは7月17日に決算発表を行った。決算内容は総じて市場予想を上回ったが、株価は地政学リスクをより警戒した。

ASMLの決算:総じて堅調
◆ASMLの第2四半期(2Q)の売上高は前四半期比で18%増、受注残高は同54%増となり、いずれも市場予想を上回った。特に受注残高が市場予想を大幅に上振れた。3Qの売上高ガイダンスは67億ユーロ~73億ユーロで、市場予想の74.6億ユーロをやや下回った。

◆同社CEOは決算説明会で、「AIの力強い発展が業界の回復と成長の大部分を牽引するとみており、2024年は転換の年になるだろう」と述べ、今後のついて前向きな見通しを示した。
17日のASML株の急落について、地政学リスクと3Q売上高ガイダンスの予想下振れが要因だと指摘されている。一方、アナリストたちがより重視するのは、中長期の業績見通しを示す受注残高だ。ASMLがAIブームの恩恵で予想を上回る受注残高を発表した後、数人のアナリストは同社株の目標株価を引き上げた。地政学リスクを考慮すると、目標株価を引き下げるアナリストがいても不思議ではないが、その数は「ゼロ」だった。
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
半導体株をめぐる過去の「対中輸出規制」VS「AIブーム」のバトルからは、アナリストたちの判断が理にかなっていることを示唆している。過去の経験からすると、「対中輸出規制」>「AIブーム」のよる調整は短期で済む場合が多く、中長期的には「AIブーム」>「対中輸出規制」の構図により半導体株は上昇トレードを取り戻している。

中長期: 「AIブーム」>「対中輸出規制」か
SOXの推移を確認してみると、米国の対中輸出規制の強化や台湾をめぐる半導体産業の地政学リスクを受け、半導体株は調整する場面もあったが、いずれも一時的なものにとどまっている。半導体市況の底打ちや2022年末から始まった生成AIブームによる恩恵で、エヌビディアを筆頭とする半導体株の業績が拡大したためだ。

つまり、「対中輸出規制」が導入されてからの動向を確認してみると、「対中輸出規制」による業績への悪影響と、「AIブーム」による業績押し上げ効果を比較した際、後者が圧倒的に大きかった。たとえば、SOX指数の1株当たり利益(EPS)は2022年11月に「ChatGPT」が公開された後、急拡大している。SOX指数の最大構成銘柄であるエヌビディアの貢献が突出して大きいのは言うまでもない。
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
したがって、中長期を見通すうえで重要なのは、「対中輸出規制」よりも「AIブーム」の持続性であり、その結果として現れる予想EPSの動向となる。上記のグラフの一番右側に示してあるSOX指数の予想EPSを確認してみると、今後、上昇トレンドは続く見通しだ。

7月18日の $台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSM.US)$の決算内容も「AIブーム」は続いていることを示唆している。AI半導体の生産においてほぼ独占的立場にあるTSMCの業績は、「エヌビディアの次」と思わせるような内容だった。つまり、すでに高い市場期待に対して、会社側はそれを上回る実績と見通しを示している。

TSMCの決算:AIブームで好調
◆4-6月期(2Q)の売上高は前年同期比40%増、純利益は同36%増となり、いずれも市場予想を上回った。3Q売上高ガイダンスも市場予想を上振れた。

◆2024年度通期については、売上高成長率見通しを従来の20%台半ばから20%台後半に上方修正し、設備投資額を従来の280億ドル~320億ドルから300億ドル~320億ドルへと下限を引き上げた。

◆同社CEOは決算説明会で、「過去3カ月間、3カ月前と比較した際、顧客からのAIおよびハイエンドスマートフォン関連の需要が高まっており、2024年後半には最先端の3nmおよび5nmプロセステクノロジーの稼働率は上昇する見込みだ。2024年はTSMCにとって力強い成長の年になると予想する」と説明。AI半導体をめぐる需要について質問された際、「需要が非常に高い」としたうえ、「供給はおそらく2025年まで非常にひっ迫したままだ」とコメント。強い需要は当面、続くことを示唆した。
業績発表後、数人のアナリストがTSMCの目標株価を引き上げた
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
総合的にみると、半導体株にとって「対中輸出規制」はリスク要因だが、「AIブーム」の恩恵がそれを十分相殺できれば、株価調整は短期にとどまる可能性が高いと言えよう。AI半導体市場において重要な立場にあるTSMCとASMLの直近の決算からも「AIブーム」による恩恵はまだ続くことが示唆されている。他方、今回は11月に米大統領選が控えており、選挙までバイデン氏(あるいは他の民主党候補)もトランプ氏も対中強硬派姿勢を示す可能性があり、半導体株の上値を押させるかもしれない。

上記を踏まえて、「対中輸出規制」VS「AIブーム」の構図において、「対中輸出規制」が厳格化された場合に恩恵がおよぶ「棚ぼた3選」と、「対中輸出規制」の悪影響よりも「AIブーム」の恩恵がはるかに大きいにもかかわらず、つれ安した「押し目買い3選」をピックアップした。

「棚ぼた3選」★
バイデン政権の対中半導体輸出規制やトランプ氏の台湾をめぐる発言は、11月の選挙に向けた対中強硬姿勢の表明という側面がある。他方、中長期的には米国の半導体生産の「国内回帰」を加速させようとする政府として狙いが根底にある。そこで「棚ぼた3選」については、米国内に半導体製造能力を持ち、「国内回帰」の恩恵が期待できる3社を選んだ。
◆垂直統合型デバイスメーカー(IDM)。多くの米半導体企業が工場を持たないファブレスであるのに対し、インテルはIDMとして設計から製造まで一貫して行う。

◆微細化の遅れで同業他社にシェアを奪われているインテルだが、挽回を図るために2年前に復活計画を打ち出した。その一環として「ファウンドリー事業」の強化が含まれている。ファンドリー事業においてはマイクロソフトが最初の顧客となり、一定の成果を出し始めている。ファウンドリー事業では最先端市場をほぼ独占しているTSMCからシェアを奪うのは難しいかもしれないが、非最先端分野では「国内回帰」の恩恵が受けられるとみられる。

◆米政府は今年3月に、同社に最大85億ドルの補助金を支給すると発表。米商務省によると、今回の資金提供は同社がアリゾナ州とオハイオ州の大規模工場で先端半導体を生産する計画などを支援する。

◆業績低迷とAI分野での出遅れにより、株価の低迷が続いたため、ある程度の悪材料は株価に織り込んでいる可能性がある。今後は好材料により反応しやすくなるかもしれない。
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
◆米ファンドリー最大手。世界ファンドリー市場では1位のTSMCと2位のサムスン電子に次いで世界3位。電子機器や携帯電話、自動車など向けの半導体のほか、宇宙・防衛向け製品も製造している。主要顧客にはゼネラル・モーターズやロッキード・マーティンなどがある。

◆米政府は今年2月に国内での半導体製造強化策の一環として、同社に15億ドルを供与する計画を公表。同社はその資金を用いて新たな製造施設や既存施設の拡張を行う予定。政府支援のもと、米国内における生産能力を拡大する計画。ただ経営陣は、必要以上の生産能力を追加することはせず、業界の真の需要に合わせて生産能力を拡大していく意向を示した。

◆5月の決算発表では実績とガイダンスともに市場予想を上振れした。同社は収益が最も集中している自動車とスマートフォン・デバイスの2つの分野について、四半期ごとに成長が続くだろうとみている。
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
◆半導体メモリー大手。AI半導体メモリー市場では市場シェア3位。

◆同社は生産の大半は日本やシンガポール、台湾で行われているが、2030年までに400億ドルを投じて米国に半導体製造拠点を構築する計画を明らかにしている。米政府は今年4月に、同社に最大61億ドルの補助金を支給すると発表。国内での半導体工場の建設に充てられる予定。

◆半導体生産の「国内回帰」の恩恵だけでなく、「AIブーム」にも乗っているユニークな米半導体メーカー。AI半導体メモリー市場ではシェア1位と2位のSKハイニックスやサムスン電子に後れを取っているが、急速に追い上げを図っている。今年2月にエヌビディアの最新AI半導体向けの「HBM(広帯域メモリー)3E」の量産を開始。AI半導体の需要拡大の恩恵で業績回復が続く見通し。
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
★「押し目買い3選」★
今回の半導体株売りでは「対中輸出規制」の影響が高くない銘柄まで売られた。中には「AIブーム」の恩恵の方がはるかに大きいにもかかわらず、つれ安した銘柄もある。そこで、中国の売上高構成比が低下しており、かつAI関連の売上高増加が見込まれる銘柄を「押し目買い3選」としてピックアップした。

$エヌビディア (NVDA.US)$
◆AI半導体市場のシェアは8割強。「対中輸出規制」の影響で先端半導体の中国向け輸出は禁止になっており、中国の売上構成比は2017年1月期の36.8%、2022年1月期の32%から2024年1月期は22%に低下した。一方、その間、業績拡大は続いている。米テック大手によるAI半導体に対する需要急拡大の恩恵が「対中輸出規制」による悪影響よりはるかに大きかったためだ。

◆TSMCの好調な業績見通しからすると、同社のAI半導体に対する需要の好調さは続く可能性が高い。TSMCはAI半導体の受託生産においてほぼ独占的な立場にあり、エヌビディアはアップルに次いでTSMCの主要顧客であるためだ。つまり、TSMCのAI半導体をめぐる見通しの大部分はエヌビディア製品に対する需要動向を反映していると言える。
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
◆事業内容は半導体ソリューションとインフラストラクチャー・ソフトウェア(クラウドサービス含む)の二本柱。クラウドサービスは2022年に買収したVMwareが担う。AIブームの恩恵を受ける2つの事業を抱えている点は、同業他社の中でもユニークと言える。

◆「中国の売上構成比は2017年11月期の53.6%、2021年11月期の35.5%から2023年11月期は32.2%に低下した。

◆半導体事業ではAMDのようにエヌビディアと直接対決しているわけではないが、エヌビディアの主要顧客であるハイパースケーラー向けにカスタム半導体を作っている。6月の決算発表ではAI関連半導体の売上高予想について、需要好調を反映し、従来の100億ドルから110億ドルに上方修正した。7月18日に、同社が「ChatGPT」を開発したOpen AI向けにAI用半導体を製造することを協議していると報じられた。事実なら、エヌビディアの競合製品となる可能性があり、同社にとってポジティブ材料となる。
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
◆電力ソリューション会社。半導体ベースの電力および電力ソリューションを提供。顧客は産業機器や通信インフラ、クラウドコンピューティング、自動車、コンシューマ機器メーカーなど。AI事業ではエヌビディアが顧客の1社。

◆中国の売上高構成比は比較的高いが、2020年12月期の61.2%から2023年12月期の51.3%に低下している。中国では主にEV(電気自動車)向けに電力ソリューションを提供している。

◆半導体不況時にも安定的な業績を出しており、ここ数年はAIブームの恩恵による需要拡大で成長が加速している。エヌビディアの最新AI半導体のHopperやBlackwellのプラットフォームの電力分野では同社のシェアが8割と高い。エヌビディアの最新AI半導体が年後半から本格的に出荷が始まることを踏まえると、同社の業績に対しても恩恵が期待できると予想される。
AI半導体暴落! 棚ぼた・押し目の特選6銘柄! 「対中輸出規制」でも「AIブーム」不滅?!
24年7月19日 マーケットアナリスト Amelia
出所:会社資料およびBloombergよりmoomoo証券作成
免責事項:このコンテンツは、Moomoo Technologies Incが情報交換及び教育目的でのみ提供するものです。 さらに詳しい情報
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  • 181301798 : 毎回、対中規制、規制って取り上げられてるやないか、AIが破綻したら、そこに莫大な投資続けてきたアメリカのハイテク企業が破綻するわ、そんなわけ、あるわけないやろ、だいたいAIをブームって言う人間は目先の動きしか見れてないだけやろ
    、これからもっと人間が思ってる以上にAIは進化して行くし、AIと共存した世の中に変わって行くぞ‼️

  • トクリン : AIってブームなの?
    これから欠かせないものだよね。
    世界的に人が減ってきてる今、AIを駆使して人の代わりを作らないとあらゆる産業が沈下してしまう。
    多少AIと連呼し続けた事は事実だが、この産業が沈めば、ほとんどの他の産業も沈むのではないかと思う。
    トランプは商売人なので選挙前のパフォーマンスであんなことを言っているが、台湾がダメなら今度はアメリカンファーストで、国内に需要を作るだろう。
    だから悲観する事なくホールドしていきたいと思っています。

  • Akatonbo33 : 何だかんだ言ったところで軍事産業に非常に有効な技術を見過ごせるはずがない。

  • kazusawa 181301798 : おっしゃるとおり!

  • kazusawa トクリン : そのとおり!