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未曾有のIT大惨事で「泣く銘柄・笑う銘柄」!?クラウドストライク、マイクロソフト、パロアルト

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ビットバレー投資家 コラムを発表しました · 2024/07/22 17:18
7月19日に発生した大規模システム障害は世界中で大混乱を巻き起こした。皮肉なことに、今回の障害はサイバー攻撃によるものではなく、サイバー攻撃から企業を守るサービスを提供するセキュリティ会社によって引き起こされた。業界大手の $クラウドストライク・ホールディングス クラスA (CRWD.US)$だ。同社による「Windows」ホスト向けのソフトウェア更新の不都合が世界的なIT障害につながった。

クラウドストライク株は19日に11%急落し、Windowsソフトを開発・販売する $マイクロソフト (MSFT.US)$一時2%安に。一方、クラウドストライクの競合である $パロアルト・ネットワークス (PANW.US)$2%上昇、小型株の $センチネルワン (S.US)$8%上昇した。今回は未曾有ののIT大惨事で「泣く銘柄・笑う銘柄」について、その影響や見通しをチェックする。
サイバーセキュリティ大手。世界トップ銀行20行のうち15行、フォーチュン100社のうち65社が同社の製品・サービスを利用している。調査会社ガートナーによると、セキュリティソフトウェア市場(2023年、売上高ベース)における同社のシェアは15%(2023年)で、首位のマイクロソフト(40%)に次いで2位となっている。同社はサイバーセキュリティにAIも活用しており、今年3月にエヌビディアと戦略的パートナシップを発表。6月4日に予想を上回る好決算を発表したばかり。
◆事件の経緯
7月19日、クラウドストライクがWindowsシステムのセンサー構成アップデートをリリースしたが、エラーによりシステムクラッシュなどが発生。マイクロソフトによると、Windows搭載の端末約850万台が影響を受けた。クラウドストライクのCEOは声明文で、「これはセキュリティ・インジデントでもサイバー攻撃でもない。問題は特定され、隔離され、修正プログラムが配給された」と述べた。システム・クラッシュの原因となったセンサー構成の更新は、約1時間半後に修正された。21日には影響を受けた端末850万台の大部分が復旧した。

◆事件の影響
1)賠償などによるキャッシュフローや業績への影響
今回の事件は航空や銀行システムなどに影響を与えた。たとえば、航空は2万便余りに遅延が生じたとされている。今後、同社宛てに経済損失の賠償が請求される可能性があるかもしれない。

2)一部の企業はしばらく同社製品の使用をためらう可能性
たとえば、テスラのイーロン・マスクCEOは7月20日にソーシャルメディアのXに、「我々は、全てのシステムからクラウドストライクを削除したところだ」と投稿した。すべての企業が追随するとは思わないが、同様な措置を取る企業が増えた場合、短中期的な業績に影響を与える可能性がある。

3)ブランド力に影響を与える可能性
今回の事件はサイバー攻撃ではなく、自社のソフトウェア更新時に起きた問題であるため、同社がこれまで築かれてきたブランド・イメージに悪影響を及ぼす可能性がある。
◆投資家の動向
7月19日の下落率(11%)と出来高の急増からすると、投資家はパニック売りの様子だった。一方、一部の投資家は押し目買いを実施。「米ハイテク株の女王」キャシー・ウッドが率いるETFは19日にクラウドストライク株を購入した。19日時点のクラウドストライクの保有比率はアーク次世代インターネットETF(ARKW)が1.67%、アーク・フィンテックETF(ARKF)は1.02%だった。Bloomberg端末で確認できる機関投資家の売買動向からは、19日は積極的な売買は見られず、一部のファンドが小幅にポジションを調整した。
◆アナリストたちの評価
事件後、3人のアナリストが同社の投資判断を引き下げ、7人は目標株価を引き下げた。ただ、それに基づく平均目標株価の引き下げ率は2.3%にとどまっている。また、15人のアナリストは従来の目標株価を維持した(いずれも7月22日時点)。
総じてみると、事件による業績への影響はある程度想定されるものの、現時点でそれを数値化することは難しく、機関投資家やアナリストは今後の進展を見極めたいとの思惑が強いようだ。キャシー・ウッド氏のような押し目買いは中長期的な投資戦略として有効かもしれないが、短期的には事件による業績への影響を見極めたうえで投資行動を取った方がいいかもしれない。当面、株価は2021年秋ごろの上値抵抗線、その後2024年初めに下値支持線に転じている株価水準(下記のグラフ参照)が、今回も下値支持線として機能するかどうかが注目される。なお、投機筋の動きを表すオプション市場では、同社株が1カ月後に360ドルに回復することに賭けているオプションの方が優勢のようだ。
未曾有のIT大惨事で「泣く銘柄・笑う銘柄」!?クラウドストライク、マイクロソフト、パロアルト
$マイクロソフト (MSFT.US)$
◆事件後のマイクロソフトの対応や発表文
7月19日、会社側は事件を受けて下記のリリースを発表。「これはマイクロソフトのインシデントではないが、エコシステムへの影響を考慮し、お客様に対し、修復およびサポートするためにクラウドストライクなどと講じた手順に関する最新情報を提供する」。その後、会社側はIT問題の根本的な原因は解決したと報告し、影響受けたデバイスは全体の1%未満だと明かした。

◆事件の影響
上記からすると、今回の事件によるマイクロソフトへの影響は限定的とみられる。

7月19日にマイクロソフトの株価が一時的に2%安になった後、下げ幅を縮め、終値ベースで0.7%安にとどまった。事件後、4人のアナリストが従来の投資判断(買い)と目標株価を維持すると表明。その他のアナリスト(約60名)は「特に何もせず」、つまり、マイクロソフトへの悪影響は見込んでいないようだ。機関投資家の売買動向を確認してみると、19日にマイクロソフトのポジションを増やしたファンドが多かった。機関投資家は押し目買いを実施したもよう。
未曾有のIT大惨事で「泣く銘柄・笑う銘柄」!?クラウドストライク、マイクロソフト、パロアルト
ネットワーク用セキュリティソリューションのプロバイダー。同社の「Prisma SASE」は業界で最も包括的なSASEソリューションで、AI搭載SASEでは業界をリードしている。SASEはセキュリティとネットワークを一体化して提供するサービス。エンドポイント・セキュリティ市場ではクラウドストライクの競合会社。

◆事件の影響
今回の事件で、パロアルトが恩恵を受けると期待されているのは、顧客が代替のセキュリティソリューションを求める可能性があるためだ。エンドポイント・セキュリティ市場でクラウドストライクと競合している同社にとって有利になる可能性がある。

7月19日に同社株は2%上昇し、逆行高となった。株価上昇率が2%にとどまったのは、事件の前日に1人のアナリストが投資判断と目標株価を引き下げた(事件と無関係)ことが影響している。事件後は1人のアナリストのみが反応。パロアルトに対する従来の投資判断(買い)と目標株価を維持した。なお、機関投資家の売買動向を確認してみると、7月19日にいくつのファンドが同社株を買い増した。
未曾有のIT大惨事で「泣く銘柄・笑う銘柄」!?クラウドストライク、マイクロソフト、パロアルト
24年7月22日 マーケットアナリスト Amelia
出所:会社資料およびBloombergよりmoomoo証券作成
免責事項:このコンテンツは、Moomoo Technologies Incが情報交換及び教育目的でのみ提供するものです。 さらに詳しい情報
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