バフェット氏、守り固めながらも逆張り！現金積み増し、ドミノ・ピザには新規投資！その狙いは？

”投資の神様”バフェット氏の最新ポートフォリオと新たな「お気に入り銘柄」が明らかになった。ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが開示した13F報告書によると、バフェット氏は7-9月期にアップル（AAPL）などテクノロジー株の売却を進め、手元現金を過去最高水準に積み増した。一方、ドミノ・ピザ（DPZ）など2銘柄を新規取得した。

「トランプトレード」が足元で一服の様相を呈している中、バフェット氏の慎重スタンスと新規投資は注目に値する。バフェット氏の最新ポートフォリオと新規取得銘柄の特徴を確認したうえ、その狙いを探る。

バフェット氏の最新ポートフォリオ
◇手元現金が過去最高水準
$バークシャー・ハサウェイ クラスB (BRK.B.US)$（以下、バークシャー）は7-9月期に360億ドル相当の株式を売却した一方、15億ドル相当の株式を購入した。その結果、手元現金は過去最高水準の3252億ドルに達した。大型株では長期保有していた $アップル (AAPL.US)$と $バンク・オブ・アメリカ (BAC.US)$ の売却を継続した。

◇業種別ではテクノロジー圧縮、生活必需品は上昇
4-6月期と比較した際、業種別ではテクノロジーとエネルギーの比率が低下した一方、生活必需品や金融、ヘルスケアの比率は上昇した。

バフェット氏の最新売買動向
◇売却銘柄
アップルとバンク・オブ・アメリカの他に、バークシャーは4-6月期に取得した化粧品小売 $アルタ (ULTA.US)$の保有株を大幅に縮小した。それを受け、アルタ・ビューティー株は11月14日の時間外取引で2.4％下落した。その他、一部保有株を売却した銘柄は $チャーター・コミュニケーションズ クラスA (CHTR.US)$ 、 $ヌー・ホールディングス (NU.US)$ などとなっている。 $フロア・アンド・デコア・ホールディングス クラスA (FND.US)$については完全売却した。

◇取得銘柄
新規取得した銘柄は、宅配ピザ会社 $ドミノ･ピザ (DPZ.US)$とプール用品販売会社 $プール (POOL.US)$の2銘柄となった。航空機器メーカーの $ハイコ (HEI.US)$については少しポジションを追加した。

バフェット氏の最新”お気に入り”銘柄
バフェット氏が新規取得したドミノ・ピザおよびプールと追加売却したアップルおよびバンク・オブ・アメリカを比較してみると、新規取得銘柄には以下2つの特徴があると言える。

◇特徴1：中小型バリュー株
バフェット氏が新規取得したドミノ・ピザとプールは中小型バリュー株であるのに対し、追加売却したアップルとバンク・オブ・アメリカは大型株でバリュエーションが高くなっている。

たとえば、12カ月先予想PER（株価収益率）と過去5年平均PERの乖離率を確認してみると、アップルとバンク・オブ・アメリカはいずれも10％を超えている（過去より割高）が、ドミノ・ピザとプールは5％を下回る。ドミノ・ピザの場合はマイナスとなっており、過去5年平均よりおよそ1割程割引いたバリュエーション（割安）で取引されている。

◇特徴2：業績懸念で株価パフォーマンスさえず
ドミノ・ピザとプールの年初来騰落率はそれぞれ5.8％と-10.3％となっており、S&P500指数の24.7％に比べて出遅れ感が鮮明になっている。ドミノ・ピザ株は低所得層消費者による支出圧力の影響、プールは裁量的支出が慎重になっている環境下でプール需要の低迷による影響を受けている。

総合的にみると、7-9月期の売買動向からは、バフェット氏がみんなが楽観的なときは慎重スタンスを取っており、守りを固めながらも比較的割安な銘柄を逆張りしていること伺える。これぞバフェット流投資術の極意かもしれない。

● $ドミノ･ピザ (DPZ.US)$
宅配ピザ会社。会社所有とフランチャイズのドミノ・ピザ店を米国をはじめ世界各国で運営する。

● $プール (POOL.US)$
プール用品販売会社。建設資材や交換部品、フェンス、プールの補修用品、スパ用品などを提供する。世界で事業を展開する。