ログアウト
donwloadimg

アプリをダウンロード

ログイン後利用可能
トップに戻る

半導体株に激震!ASMLの受注急減は何を示唆?エヌビディアやAI半導体株への影響をチェック

avatar
ビットバレー投資家 コラムを発表しました · 10/16 03:22
半導体株に激震が走った。露光措置大手のASMLが公表した7-9月期の受注額は、市場予想の半分以下にとどまった。ASMLは2025年の業績見通しも下方修正し、10月15日に16%急落した。半導体製造措置メーカーだけなくエヌビディアも連れ安し、SOX指数は5%下落した。
ASMLの決算内容や主要顧客の動向から、ASMLショックが示唆するものや、エヌビディアおよびAI半導体株への影響を探る。今後の注目点も併せて確認する。
ASMLの決算、予想を大幅に下振る
$ASMLホールディング (ASML.US)$ は10月16日に決算を発表する予定だったが、決算資料は会社側の”技術的なミス”で10月15日にウェブサイトに掲載された。しかもその決算内容で以下2点がネガティブ・サプライズとなり、株価急落を招いた。
1)7-9月期の受注額が市場予想の半分以下
ASMLの7-9月期の受注額は26億ユーロとなり、市場予想の54億ドルの半分以下となった。(※市場予想はBloommberg集計のコンセンサス)
半導体株に激震!ASMLの受注急減は何を示唆?エヌビディアやAI半導体株への影響をチェック
2)2025年の業績見通しを下方修正
会社側は2025年の売上高見通しについて、従来の300億~400億ユーロから300億~350億ユーロへと、上限を引き下げた。
ASMLの業績内容を受け、アナリストたちによる目標株価の引き下げが目立った。ただ、平均目標株価の引き下げ率は現時点で5%となっており、株価の下落率(16%)に比べるとやや控えのようだ。
ASML経営陣の説明
15日に公表した決算資料で経営陣は、下記のように説明した。
AI分野には引き続き、力強い発展と上向きの可能性が存在しているが、他の分野は回復に時間がかかっている。現在、回復は以前の予想よりも緩やかであるようだ。これは2025年も続くと予想されており、これが顧客の慎重姿勢につながっている。
ロジック半導体に関しては、ファウンドリの競争力学により特定の顧客での新規ノードの増加が遅くなり、いくつかのファブの撤退につながっている。その結果、とりわけEUV(極端紫外線)などの露光措置需要のタイミングが変化した。
半導体メモリに関しては、全体の容量の追加は限定的。HBMおよびDDR5 AI関連の需要をサポートするテクノロジーの移行に引き続き、焦点が当てられている。
ASMLの決算内容や経営陣の説明が示唆するもの
1)AI分野は堅調、それ以外は回復が予想より遅い
経営陣の説明からすると、ASMLの受注減などはAI半導体分野の需要減退によるものではなく、それ以外の分野が予想より回復が遅れていることに起因している。半導体メモリ部分のコメントからも、AI半導体に不可欠なメモリ「HBM」(高帯域幅メモリ)や「DDR5 AI」の需要は堅調だと示された。
なお、9月11日のGoldman Sachs Communacopia+TechnologyカンファレンスでASMLの経営陣は、「今年これまでの回復と成長は主にAI関連だ。他のより伝統的な分野、たとえばPCやスマートフォン、自動車産業は回復が遅い」と説明した。
2)受注急減や見通し下方修正は、主要顧客の”ばらつき”を反映か
CPUに搭載するロジック半導体に関する経営陣のコメントからすると、ASMLの軟調さは主要顧客の”ばらつき”を反映しているかもしれない。つまり、最大顧客であるファウンドリ世界最大手の $台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSM.US)$ より、TSMC追撃を目指している $インテル (INTC.US)$ の不振が響いている可能性が高いとみられる。CPU王者のインテルは再建戦略の一環としてファウンドリ事業に注力してきたが、期待通りの進展がみられず、足元ではファウンドリ事業の売却観測が流れている。「ファウンドリの競争力学」からは、TSMCの優位性は崩れていないことが示唆されている。
(Bloommbergは10月15日に、「 $クアルコム (QCOM.US)$ は、同業のインテルの買収提案を実行に移すかどうかの判断を、11月の米大統領選挙の後に持ち越す可能性が高い」と報じた。)
半導体株に激震!ASMLの受注急減は何を示唆?エヌビディアやAI半導体株への影響をチェック
半導体株に激震!ASMLの受注急減は何を示唆?エヌビディアやAI半導体株への影響をチェック
AI半導体株への影響は
●15日はほぼ全面安
ASMLショックを受け、10月15日は半導体株がそろって売られた。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)構成銘柄の騰落率は下記の通りとなった。
半導体株に激震!ASMLの受注急減は何を示唆?エヌビディアやAI半導体株への影響をチェック
●10%以上下落した銘柄
最も下落率が大きかったのは言うまでもなく、ASMLだった。次いで、 $ケーエルエー・コーポレーション (KLAC.US)$ $ラム・リサーチ (LRCX.US)$ $アプライド・マテリアルズ (AMAT.US)$ などの半導体製造装置メーカーがともに10%以上下落した。ASMLのような受注急減が製造装置業界全体に及ぶ可能性を警戒した。半導体設計大手の $アーム・ホールディングス (ARM.US)$ も7%近く下落したが、アーム特有の浮動株比率の低さやボラティリティの高さが影響したとみられる。
●下落率が限定的(3%以下)の銘柄
下落率が比較的限定的だった銘柄は、 $台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSM.US)$ $クアルコム (QCOM.US)$ $コヒレント (COHR.US)$ などだ。10%以上下落した銘柄と比較した際、これらの銘柄の共通点は、AI半導体銘柄でありながら、製造装置メーカーではない点だ。ASMLの軟調さはAI半導体よりそれ以外の分野に起因しているためかもしれない。半導体製造装置メーカーは通常、ASMLと同様、AI半導体以外の分野の売上高比率も比較的高い傾向がある。
●エヌビディアは4.7%下落
AI半導体王者の $エヌビディア (NVDA.US)$ は4.7%下落し、TSMCなどよりは下げがきつい。ASMLショック以外に、下記2つが響いたとみられる。
1)「エヌビディア製などAI導体、米政府が国別輸出規制を検討」報道
米政府がAI半導体についてすでに中国をはじめ多くの国に対して制限を課している。さらに国別輸出規制を強化しようとする動きは、「中国に流用される不安が背景にある」とされている。なお、15日は同報道を受け、 $アドバンスト・マイクロ・デバイシズ (AMD.US)$ も5.2%下落した。AI半導体が他の国・地域経由で中国に流れている可能性もある点を考えると、規制強化の場合はエヌビディアやAMDにある程度影響が及ぼす可能性があるかもしれない。
他方、エヌビディアの国・地域別売上高構成比の推移を確認してみると、中国およびその他の国・地域の比率は低下している。一方、米国の比率が急激に拡大している。エヌビディアのAI半導体需要は、主に米国のテック大手が支えているためと考えられる。総合的にみると、エヌビディアの業績見通しをめぐっては、中国を含む海外の影響度が低下しており、むしろ重要度が増しているのは米国国内でのAI需要と言えよう。
半導体株に激震!ASMLの受注急減は何を示唆?エヌビディアやAI半導体株への影響をチェック
2)史上最高値更新という節目の時に悪材料
エヌビディア株は10月14日までに上昇トレンドが続き、14日は6月20日付けた高値を試す展開となっていた。節目に差し掛かった時に悪材料が出たことで、いったん利益確定売りの動きにつながったとみられる。
半導体株に激震!ASMLの受注急減は何を示唆?エヌビディアやAI半導体株への影響をチェック
Bloommberg端末が示す機関投資家の売買動向をみると、15日は売り買いが交錯した。アナリストたちの反応を確認してみると、15日はBNP Paribasの担当アナリストが投資判断「アウトパフォーム」、目標株価155ドル維持を表明。16日はモルガンスタンレーが投資判断「オーバーウェイト」、目標株価150ドル維持を表明した。
なお、10月15日に $デル・テクノロジーズ (DELL.US)$ のインフラストラクチャー部門のプレジデントがBloommbergインタビューで、エヌビディアのBlackwell搭載のAIサーバーについて語った。それによると、Blackwell搭載のAIサーバーは来月から特定の顧客向けに出荷され、2025年の初めには一般への販売も開始する予定だ。Bloommberg記事は、「Blackwellの製造は予定通りの工程に戻ったことが裏付けられた」と記した。AI半導体をめぐる需要の堅調さを踏まえると、15日の大幅下落はやや「過剰反応」と言えるかもしれない。
●マーベルは逆行高
$マーベル・テクノロジー・グループ (MRVL.US)$ は15日に逆行高となった。会長兼CEOが10月14日に株式を取得したことが明らかになり、買い材料となった。同氏は約一カ月前はより低い株価で売却を実施したが、買いに転じたことからすると、「強気のようにみえる」とバロンズ誌が指摘した。
今後の注目点
ASMLは10月16日に決算を発表する予定だったが、会社側の”技術的なミス”により、決算資料は10月15日にウェブサイトに掲載された。そのため、決算説明会と1日のタイムラグが発生した。通常、決算説明会からはより具体的な説明が含まれているため、決算資料よりも重要な場合もある。15日のASMLの16%の下落は、最大要因は決算内容の弱さにあるが、”技術的なミス”がもたらした不透明感も下げ幅を助長したとみられる。
したがって、まずは、ASMLの決算説明会が注目される。特に受注急減の要因や2025年の売上高見通し引き下げに関して、経営陣からのより具体的な説明が注目される。次いで、AI半導体においてより重要な企業であるTSMCの決算発表(10月17日)が注目される。TSMCが10月9日に公表した7-9月期の売上高はAI半導体をめぐる需要は好調だと示した。
ASMLショックを受けて特に注目したいのは、TSMCの設備投資計画だ。その後は、AI半導体に莫大な投資を行っているマイクロソフトやメタ 、アルファベットの設備投資計画がより重要になってくるだろう。 $アルファベット クラスA (GOOGL.US)$ は10月29日、 $マイクロソフト (MSFT.US)$ $メタ・プラットフォームズ (META.US)$ は10月30日に決算発表を行う予定となっている。
AI半導体サプライチェーンにおいて重要な位置にあるこれらの企業が決算で堅調なAI需要見通しを示した場合、市場に安堵が広がりそうだ。他方、前回の決算シーズンのように予想下振れの企業が多い場合はさらなる売りにつながる可能性があり、警戒も必要かもしれない。
関連記事:(【決算プレビュー】TSMC、旺盛な需要が成長に拍車 時価総額「1兆ドルクラブ」に復帰する可能性?(なお、マイクロソフトやメタ、アルファベットなどについてもmoomoo証券から「決算プレビュー」が出される予定となっている。)
24年10月16日作成 マーケットアナリスト Julie
出所:Bloommbergよりmoomoo証券作成
免責事項:このコンテンツは、Moomoo Technologies Incが情報交換及び教育目的でのみ提供するものです。 さらに詳しい情報
28
2
+0
翻訳
報告
80K 回閲覧
コメント
サインインコメントをする