米経済のゆくえ
2024年10月4日に発表された米国失業率は4.1%と市場を衝撃を与えました。
米経済は予想以上に好調だと言うことを再認識させられたからです。
1つだけ肝に銘じたいのは失業率が上昇し景気後退入りするとき、1度上がって下がり再上昇して株価急落は何度かあった。
と言うことです。
ソフトランディングに向かうときと景気後退入りに向かうときは瓜二つ(うりふたつ)で判別が難しいというのが本音です。
過去に学べば良いと簡単に言いますが、すでに私たちはニュースやSNSによってバイアスにおかされて冷静さを欠いています。
人間とは多くの解釈を持っているため、データ1つ提示されても、どう読み解くかは人間によって変わってきます。
正しい判断ができれば良いですが、人は思い込みの生き物です。思い込みができなければ決断はできません。
決断ができなければ、投資するか、しないかを決めることはできません。
全ての可能性を加味してしまえば優柔不断となり何もできない人間になります。
投資をする上で大切なのは人間は間違える。これが重要です。
なぜなら人は思い込みの生き物だからです。
米経済の重しになっている1つがインフレです。
物価がなかなか下がらない。以前に比べればマシですが、まだ高いと言えます。
この物価高の影響で、たびたび賃上げストライキが発生し、給料が上昇。
給料上昇のコストを穴埋めするために商品価格が上昇してインフレ沈静化を鈍らせています。
株価の上昇は起きにくい状態になっていると言えます。
ケース・シラー住宅価格指数は6月から下落傾向あります。
これは良い兆候です。
住宅価格が下がれば住宅購入者が増加して家賃を下げる効果が見込めるからです。
CPIが下がったことでインフレ沈静化が近いと錯覚しますが住宅価格は未だに高い状態です。
米国は完全な車社会で治安も日本よりも悪いです。
日本の感覚で米経済を捉えようとすると苦労します。
アメリカは治安の良い所に住もうとするとおのずと住宅価格・賃料は値上がります。
安いところに住めば良いと日本人は考えますが、それは難しいのが米国です。
コストが高くても住まなければ命が危ないのがアメリカです。
小さい子供をもつ家庭は治安の悪いところに住めません。
住宅価格・賃料が下がるのか?ここが株価上昇に大きく寄与してきます。
今後も賃上げストライキが乱発することが想定されます。
これは1970年代のスタグフレーション局面に似たシチュエーションです。
物価が高い!給料を上げろ!とやってしまうと、他の労働者も同じ事をするため、永久的に物価が上昇し続けます。
最終的には賃上げストライキをしても物価が上昇してしまうことを労働者当人たちに理解してもらうことで解決しました。
インフレの粘着性は私たちの想像よりも遥か上をいきます。
車の販売価格が上昇し、それに付随して車両保険料も上がっています。
車社会である米国にとって、この問題は深刻です。
この理由からもソフトランディングが確実視されるのは、かなり先であることを認識できると思います。
米国株以外に有望な投資対象が見当たらない場合、緩やかに上昇する可能性は否めません。
米国株は暴落する可能性は低く、現在の環境下では、やや上昇する可能性はあります。
これは米国株が優れているからではなく、1番マシな投資対象だからです。
金利が下がり始めたと言っても、金利が高い期間が続いたことには変わりありません。
すでに銀行3行が破綻、FTXの破産、ナンバーホールディングス破綻、エクスプレス破綻、ビックロッツ破綻。
金融・民間企業が破綻しています。
これは一見、暗いニュースに思えますがインフレ沈静化に寄与します。
企業が倒産すると言うことは、それだけ消費者の購買欲は落ちている、インフレ沈静化に向かっていると言えます。
コロナウイルス蔓延によって消費者のマインド自体が変化して既存の店舗運営がうまくいかなくなっている事実もあります。
ネットショッピングがコロナ禍で台頭し、それが定着したことが倒産ラッシュの要因の1つです。
今後もコロナ禍の余波と高金利の余波のダブルパンチで倒産する企業が増加する可能性があります。
粉飾決算をしている企業がいる可能性もあります。株価の乱高下で一喜一憂しないことが大切です。
1990年代にマイクロソフトがwindowsを世の中に送り出し、良い意味でデフレを作り出したようにAIがどの程度、デフレに寄与するかも注目です。
テクノロジーの進歩は短期的に生産コストを下げるため、インフレ沈静化に寄与します。
windowsが台頭しパソコンが身近になりました。
例えば昔は求人を探すとき、本屋さんに行って求人誌で探すのが基本で、とても非効率で履歴書も1枚1枚、手書きでした。
今はネットで求人検索が出来て、履歴書はPDFで簡単に送信できます。
ネットが台頭する前は紙媒体が主流で、印刷と配送の手前・コストがかかっていました。
ネットが主体の現代では印刷・配送のコストがカットされています。
AIのような新技術はコストカットに寄与してインフレ沈静化を助長します。
短期的にはAIの台頭・私企業の倒産によって失業率が上昇しても物価高に苦しむ米国にとっては結果的に好材料となります。
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Kimihiko : 大統領選挙スタッフの急増との見解も
Bull・Bear : 素晴らしい分析力です
Kimihiko Bull・Bear : 季節調節は月次は有りますが、年次は有りません。