ヴィストラ： 急成長を遂げる隠れたAI ：TIPRANKS

ビストラVST +1.05% ▲同社は3月1日、オハイオ州を拠点とする原子力発電所運営会社エナジー・ハーバーの買収を完了し、投資家お気に入りの「隠れたAI」銘柄となった。株価は過去12ヶ月で161％以上急騰し、まだ現実的な上昇余地がある。

エネルギー・ハーバー買収によるシナジー効果で、ビストラは米国最大級の独立系発電事業者・小売電気事業者であり続けることになる。同社は、原子力、太陽光、石炭、天然ガス、そしてバッテリー蓄電施設など、多様な資産ポートフォリオを有している。

私がビストラ社に強気なのは、原子力を中心とした多様な資産ポートフォリオ、資本配分の巧みさ、そして同社が人工知能やデータセンターによる良好な電力需要トレンドをまだ活かせていないという事実による。

ビストラは過去にも見事な資本配分の手腕を発揮した。2017年、競争の激しいテキサス州電力信頼性評議会（ERCOT）市場で自然エネルギーが台頭し始めたとき、ビストラは不採算の石炭発電所をいくつか閉鎖した。これらの発電所は、自然エネルギーの供給過剰と卸電力価格の低下により、困難に直面していた。

私は、前述の例のように不採算プロジェクトを停止し、余剰キャッシュフローを資本還元に回すことで将来の成長を推進する経営陣の資本配分能力に自信を持っている。2018年6月30日以降、ビストラは50億ドルを超える自社株買いを行っている。また、2024年第1四半期までにビストラは46億ドルを投資家に還元したが、そのうち39億ドルは自社株買いによるもので、すべて77.5億ドルという大規模な資本還元プログラムの下で行われた。

2024年から2025年にかけて、経営陣は22.5億ドル相当の自社株買戻しを計画している。同社のバランスシートは依然として強固で、資産94億ドル、負債87億ドルである。その結果、同社が自社株買いの目標を達成できない理由は見当たらない。

ビストラの資本配分の巧みさについて語るには、34億3,000万ドルを投じて原子力発電市場に戦略的に参入し、米国で2番目に大きな原子力発電所を運営するエナジー・ハーバーを買収したことを抜きにしては語れないだろう。この買収により、ビストラ社は4,000メガワットの原子力発電容量と100万人の顧客を小売電力事業に追加した。

原子力は24時間365日低炭素電力を供給する有力な手段として浮上しており、アマゾンAMZN +1.47%▲やマイクロソフトMSFT +1.64%▲を含むハイパースケーラー企業は、データセンター用の電力を購入するために原子力発電事業者と契約を結んでいる。データセンターにおける電力需要のトップドライバーのひとつは、ChatGPTのような大規模な言語モデルの背後にある、電力を大量に消費する技術である生成型人工知能である。

ゴールドマン・サックス・リサーチ GS +1.49% ▲の試算によると、ChatGPTのクエリは2.9ワット時の電力を消費し、Google検索が消費する電力（0.3ワット時）の約10倍である。AIは2030年までにデータセンターの電力需要を160％増加させると予想されている。現在、データセンターが世界の電力消費に占める割合は1％～2％程度だが、2030年末には3％～4％に上昇すると予想されている。

ChatGPTのようなジェネレーティブAIアプリケーションの台頭により、電力需要は急増すると予想される。ゴールドマン・サックス・リサーチは、2023年から2030年にかけて、AI主導の電力消費が年間およそ200テラワット時増加すると予測している。

データセンターの中心地であるテキサスを拠点とする企業にとって、これらのことは何を意味するのだろうか？ビストラは、アマゾンとタレン・エナジー社（TLN +4.21%）▲やマイクロソフト社とヘリオン・エナジー社（Helion Energy）との間で結ばれているような、データセンターの電力に関する長期的な電力購入契約を、大手ハイテク企業と結ぶことになるだろう。

7月初め、ジム・バーク最高経営責任者（CEO）はCNBCテレビの独占インタビューに応じ、大規模データセンター用の電力を必要とする「大口顧客」がビストラに集まってきているとコメントした。プロジェクト獲得についての公式発表はまだないが、そう遠くはないと思う。

ビストラの株価は魅力的な水準にあると思う。今年の予想利益の14.8倍で、セクターに対して11.5％のディスカウントである。同社は、天然ガスと原子力の多様な資産ポートフォリオを有し、より広範な電化やデータセンターによる長期的な電力需要動向を活用する上で理想的なポジションにある。ビストラが大手ハイパースケーラーからプロジェクトを獲得すれば、同社の株価は月まで上昇する可能性がある。