9月の利下げは本当か？ 利下げ幅は？世界市場、パウエル議長の発言に注目【Jackson Holeプレビュー】

景気後退懸念が世界を覆い、世界の中央銀行が政策の転換点を迎えている中、恒例のジャクソンホール会議が今週金曜日に開催される予定。

パウエル議長は、日本時間8月23日（金）夜11時からジャクソンホール会議で講演する予定。会議のテーマは、「金融政策の有効性とトランスミッションの再評価（Reassessing the Effectiveness and Transmission of Monetary Policy）」である。

近年、ジャクソンホール会議は米連邦準備制度理事会（FRB）の金融政策の風見鶏となっている。したがって、市場はジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言に注目することになるだろう。 市場参加者は、労働市場やインフレに関するパウエル議長の見解を、米国の金融政策の方向性を判断する材料として分析すると予想される。

投資家は、近年はジャクソンホール会議でパウエルが講演する前後に米国株式市場が急変動する傾向があることに注意すべきである。例えば2022年、パウエル議長の演説は米国市場を恐怖に陥れた。 わずか9分間で、同氏の演説内容が米国の3大株価指数の同日3～4％の大幅下落に直撃した。また、2023年パウエル演説の前日（木曜日）、ダウは過去5カ月で最大の下げ幅を記録し、ナスダックも2％近く下落した。

一方、長期的な視点で見ると、ジャクソンホール会議は、上記の2つの会議を除いて、米国株式市場にプラスの影響を与える傾向がある。1998年以来、ジャクソンホール会議でのFRB議長講演の翌週、S&P500種指数は中央値で0.6％の上昇を記録しており、70％の年に上昇を記録している。

9月利下げ？
FRBは9月17-18日に開催される次回会合で利下げに踏み切るとの見方が市場では一般的だが、利下げ幅については意見が分かれている。 大半のエコノミストは25bpの利下げを予想しているが、シティやJPモルガンなど一部の予想筋はFRBが50bpの利下げを行うと予想している。

今回の会議は、7月と9月のFRB政策決定会合の間に、米国経済の軌道と金融政策の見通しについて最新の評価を行う機会をパウエル議長に提供した。 パウエル議長は、ジャクソンホールで開催される年次会合の開幕演説で、金融政策の手がかりを示すとの見方が強い。

エコノミストたちによると、パウエル議長は来週のジャクソンホール会合で9月の利下げに向けた布石を打つが、実際の利下げ幅はその1週間後に予定されている8月の雇用統計によって決まる。

Evercore ISIのKrishna Guha副会長は、利下げは「受動的」ではなく「能動的」になる傾向があるとして、パウエル議長が今後の金融緩和の基調を決めるだろうと述べた。 具体的な内容は、9月6日に発表される8月の雇用統計の結果を待たねばならない。 連邦準備制度理事会（FRB）は現在、インフレ・データよりも雇用データを優先しており、今後の雇用データによって、連邦準備制度理事会（FRB）がどのように積極的に利下げを推進するかが決まるという。

一方、バンク・オブ・アメリカは、FRBはジャクソンホール中央銀行年次総会で金融政策を更新する意向を繰り返し市場や世間に示してきたと述べた。 とはいえ、FRBが柔軟な平均インフレ目標を導入したコロナの時期のように、長期的な枠組みを議論するにはこの場が適している。

同行は、今回パウエルが最もやりやすいのは、7月のFOMCで行ったように、今日の経済状況を概説することだろうと考えている。7月のFOMCの文言の変遷は、FOMCが緩和の変節点に「非常に近い」あるいは「近づいている」ことを示唆している。 パウエル議長が、労働市場で「予期せぬ弱さ」が発生した場合に単に反応するのではなく、それを回避したいというFRBの意向をより強く主張するかどうかが、さらなるシグナルとなる可能性がある。