TikTok、スペインとアイルランドでeコマース・ショップの立ち上げを計画、EUでの復活を目指す

ByteDance（BDNCE）傘下のTikTokは、早ければ10月にもスペインとアイルランドでアプリ内ショッピング・プラットフォームを開始する意向だとBloomberg Newsが報じた。

この動きは、停滞していたヨーロッパでの事業拡大を再開することを目的としている。同社はここ数週間で、加盟店やクリエイター・エージェンシーを含むパートナーに対し、欧州2カ国でのTikTok Shop開始に備えるよう通達したと、同報道は関係者の話を引用して付け加えた。

この立ち上げは、以前の予想よりも小規模なものになるだろう。しかし、来年には欧州の他の国でも同プラットフォームを展開する準備が進んでいるという。

TikTokの広報担当者の話として、同社は、ビジネスをサポートし、コミュニティが製品に関与することを実現するために、この新しい商取引の機会で実験を続けるつもりである、と同報道は付け加えた。

TikTok Shopはスペインで約40人のスタッフを雇用しており、同社にとってヨーロッパ最大級のEコマース部門となる。同社はマドリードとロンドンでも、ショップの物流、コンプライアンス、戦略などの職務に就くスペイン語を話せる人材を募集している。

ヨーロッパで小規模の立ち上げを計画していることは、同社がEU当局からのさらなる監視を受けることなく、リーチを広げようとしていることを示唆しているのかもしれない。

先週、EUの一般裁判所は、TikTokの親会社をゲートキーパーに指定した欧州委員会の決定に対してByteDance（BDNCE）が起こした訴訟を却下した。2023年9月、欧州委員会は、デジタル市場法（DMA）に基づき、中国のハイテク大手バイトダンスを含む6つのゲートキーパーを初めて指定した。DMAは、大規模なオンライン・プラットフォームを「ゲートキーパー」として認定し、オンライン上で公正に振る舞い、競争可能な余地を残すことを保証するための一連の客観的基準を定めた法律である。

TikTok Shopは、SheinやPDDのTemuなどのライバルと競合する可能性がある。

5月、TikTokはヨーロッパのいくつかの市場でeコマース事業を展開する計画を中止し、代わりに米国での成長に集中することを目指したと報じられた。

米国は依然としてTikTokにとって最も重要な市場であり、毎月1億7,000万人のユーザーを抱えている。同社は今年、米国の商品取扱高を10倍の約175億ドルに成長させることを目指している。

しかし、TikTokは米国政府と法的な係争中である。4月、ジョー・バイデン米大統領は、中国の親会社ByteDanceが約1年以内にアプリから手を引かない限り、TikTokを米国で禁止する法案に署名した。これに対し、TikTokとByteDanceは米国政府を提訴した。