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円高急進で日銀どう動く?7月利上げ圧力低下、見送りなら日本株にポジティブ!【日銀会合プレビュー】

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moomooニュース日本株 コラムを発表しました · 11 時間前
日本銀行は30~31日に金融政策決定会合を開く。31日昼頃に決定内容を公表し、午後に植田和男総裁の記者会見が行われる予定。
前回の6月会合では、長期国債の買い入れ額の減額方針を決めたものの減額規模などは示さず、今回の7月会合で今後1~2年の具体的な減額スケジュールを公表するとした。
今回の7月会合では、国債買い入れの減額ペースがどの程度になるかに加えて、追加利上げの是非が最大の焦点になる。事前の見通しでは、金利水準の急激な上昇につながるハイペースな国債買い入れ減額も、利上げも行われない公算が大きく、株式市場にとって大きなネガティブ要素にはならなそうだ。足元の急激な円高により、日銀への利上げ圧力が低下していることも背景にある。逆に、国債買い入れ減額のペースが想定より遅いと市場が判断すれば、円安に振れる株式市場にポジティブなサプライズが起こる可能性もある。
急激な金利上昇回避への配慮は株式市場にプラス
これまで国債の最大の買い手となっていた日銀が長期国債の買い入れを減額すると、国債の価格が下落し、「利回り=金利」の上昇につながる。一般的に、金利の上昇は株式市場にとっても景気にとってもマイナス要素とされている。
長期国債の買い入れ減額について、植田総裁は6月の会合後の記者会見で「減額する以上、相当の規模となる」と語ったものの、7月会合での公表内容が株式市場に大きなネガティブインパクトを与える可能性は低そうだ。
日銀は7月9、10日の両日に「債券市場参加者会合」を行い、市場関係者から実務面での意見をヒアリングした。買い入れ額はこれまで月6兆円程度としていたのに対し、22日付のブルームバーグは「2年後に月間3兆円程度に縮小されるとの見方が市場の一つの目安になっていることを、日銀も認識している」と報じている。さらに、関係者の指摘として、「長期金利が急激に上昇した場合、日銀が引き続き市場に介入することが見込まれる」としており、急激な金利上昇で株式市場が混乱することは避けられる見通しだ。
逆に、市場の見通しよりも減額ペースが遅いと判断された場合、「金利低下 → 円安 → 株高」という流れのポジティブサプライズが起こる可能性もある。
市場関係者の大半が7月は「利上げなし」と予想
もう1つの焦点である7月会合での追加利上げについても、市場では見送られるとの見方が強く、株式市場にはフォローの風になる公算が大きい。
日経QUICKが7月12~17日に実施した日銀ウォッチャー調査では、7月には利上げしないとの回答が27人中18人と、7割近くを占めた。利上げ時期は10月との予想が10人で最も多く、7月が9人、9月が5人となった(18日付日本経済新聞)。
ブルームバーグによる17~22日のエコノミストへの調査でも、7月利上げの予想は48人のうち29%にとどまり、前回の6月会合後の33%から低下した。最も多かったのは10月で35%、9月は27%となっている(24日付ブルームバーグ)。
また、18日付の日本経済新聞は、変動金利と固定金利を交換するスワップ市場の動きから市場が織り込む利上げ確率を算出。それによると、6月末の時点では7月利上げの見方が5割近くまで高まったが、7月18日には約32%まで低下した。9月会合までの利上げ確率は67%、10月会合まででは100%を超えているという。
足元の円高で岸田政権からの利上げ“圧力”低下か
日銀に利上げを促す要因の1つが“政治”だ。岸田政権からは、円安是正のために早期の追加利上げを求める声が上がっている。河野太郎デジタル相は17日付のブルームバーグでのインタビューで、「円は安過ぎる。価値を戻す必要がある」「日銀は政策金利を上げる必要がある」などと語った。
河野大臣は19日の会見で「金融政策は日銀が決めることだ」と発言を修正した(19日付朝日新聞)ものの、同じく19日には岸田文雄首相が経団連夏季フォーラムで、「金融政策の正常化が経済ステージの移行を後押しする」「日銀とも経済の大局観を共有しつつ、緊密に連携していく」と述べた(20日付日本経済新聞)。
さらに自民党の茂木敏充幹事長も22日に都内の講演で、日銀について「段階的な利上げの検討も含めて金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」「(金融引き締めは)日本企業の経営からいって基本的に十分対応できる」との発言が報じられた(22日付日本経済新聞)。
岸田政権から円安是正のために日銀に対して利上げを求める声が強まっている背景には、円安に伴って原油や原材料などの輸入価格が高騰して物価が上昇(いわゆる輸入インフレ)する一方で、実質賃金が上がらないため国民の購買力が低下する状況が続けば、支持率低下に拍車がかかるとの懸念があるためだ。岸田政権の思惑としては、現状を
利上げ → 円高 → 輸入インフレの抑制 → 国民の購買力の改善 → 支持率低下に歯止め
という流れに変えたい思惑がある。円高に誘導するために、財務省は11、12日の両日の夜に、計5兆円規模の介入を行ったとみられている。
ただ、足元では米FRBによる早期利下げ観測の高まりや、トランプ前大統領の円安批判などを受けて円高が進んだことで、円安是正を目的とした利上げの圧力は弱まることが想定される。
利上げ見送りを支持する材料
これに対し、足元の経済指標は、利上げ見送りを支持する材料が目立っている。
総務省が7月19日に発表した6月の消費者物価指数に基づく物価(生鮮食品を除くコアCPI)は、前年同月比2.6%の上昇となり、物価上昇率は10カ月連続で2%を上回っているが、26日に発表した7月の都区部の消費者物価指数では、生鮮食品およびエネルギーを除いた消費者物価(コアコアCPI)が前年同月比1.5%の上昇にとどまり、物価上昇にはエネルギーに代表される輸入インフレの側面が顕著にみられた。
また、厚生労働省が8日に発表した5月の毎月勤労統計調査によると、物価上昇を考慮した実質賃金は‐1.4%で、過去最長となる26カ月連続のマイナスとなった。さらに、総務省の家計調査に基づく5月の2人世帯以上の実質的な消費支出は、前年同月比で1.8%減少している。
今回の7月会合では、新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)も議論される。22日付のブルームバーグは、「26年度の消費者物価は、目標の2%近辺で推移するとの見方が維持される公算が大きい」ものの、「24年度の実質成長率見通しは従来の0.8%から0.5%程度に引き下げる見通し」と報じている。建設総合統計の大幅修正に伴って7月1日に、1~3月のGDP成長率を年率-1.9%から-2.8%に引き下げたことも理由としている。
日銀が利上げに慎重になる理由
つまり、日銀が利上げに踏み切るシナリオと、実際の経済指標の間に、次のようなギャップがあることが考えられる。
(日銀のシナリオ)
輸入インフレ → 輸入インフレを上回る広範な価格転嫁 → 企業の収益増加 → 賃上げ → 安定的・持続的な物価上昇 → 利上げ → 円高
(実際の経済の動き)
輸入インフレ → 輸入インフレを上回る広範な価格転嫁(一部の企業) → 収益増加(一部の企業)  実質賃金の低下 → 消費の減少 → 経済成長の鈍化
植田総裁は、このギャップがないことを確認するために、慎重な姿勢をとっているとみられる。
また、日銀が想定する「利上げ → 円高」のシナリオについても、3月のマイナス金利解除の際には想定に反する動きとなった。米国での利下げが遅れる観測の高まりに飲み込まれる形で、逆に円安が進んだためだ。
日銀は為替の動向に引っ張られずに利上げ時期を判断しやすく
岸田政権や日銀による円安対応への苦慮を尻目に、前述した米国での2つの動きが状況を一気に変えつつある。
米国で経済の過熱の鈍化を示唆する指標が相次いでいることを受け、FRBが9月にも利下げを行うとの観測が高まっていることがある。そしてもう1つが、トランプ大統領が円安を批判する発言をしたことだ。
これを受けて足元では円高基調に転じており、日銀に対する為替面での利上げ圧力は低下している。日銀は為替の動向に引っ張られずに利上げのタイミングを検討できる環境が整ってきたとの見方もできる。
ーmoomooニュースMark
出所:日本経済新聞、Bloomberg、朝日新聞、東京新聞、moomoo
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  • スマイリー山川 : まだ円高になって購買力が上がるとか思ってるの、ほんとおめでたい頭してるよな

    こうなります
    利上げ → 円高 → 輸入インフレの抑制 → 値下げはしないので企業は最高益 → 家賃等は上昇→ →可処分所得減少 → 支持率低下に歯止めかからず