2030年に1ビットコイン150万ドル？！現物ETFが注目される理由と背景

米証券取引委員会（SEC）は現地10日、米国史上初となるビットコイン現物ETF（上場投資信託）の上場を承認した。承認された11本のビットコン現物ETFは日本時間11日夜に取引が可能となった。暗号資産取引所でなく米主要取引所を通じてビットコイン現物に投資する道が開かれたのだ。これはビットコインおよび仮想通貨市場の歴史において、画期的な一歩を踏み出した。

権威のある規制機関が仮想通貨のETFを発行することを認めた場合、その価値は市場「コンセンサス」の強化とともに急上昇する。では、この仮想通貨ETFの発行とは何か？仮想通貨市場には具体的にどのような影響を与えるだろうか？

仮想通貨ETFの発行

●ビットコイン現物ETFとは何か？
ビットコイン現物ETFは、ビットコインを基礎資産とする上場投資信託であり、インデックスファンドでもある。現物ETFにより、従来の株式市場の投資家が実際の暗号通貨（または派生資産）の調査、購入、保管を行うことなく、ビットコインおよび関連資産の所有権を得ることが可能となる。言い換えると、現物ETFを購入した後、投資家は間接的に一定比率のビットコインを保有することになる。実際、ビットコイン現物ETFが承認される前に、複数のビットコイン先物ETFがすでに米国で上場した。

●現物ETFと先物ETFとの違いは？
ビットコイン先物契約を購入して保有する先物ETFとは違い、現物ETFはビットコイン自体を基礎資産とする。価格変動の視点から見ると、現物ETFと先物ETFは非常に似ており、どちらもビットコインの価格を正確に追跡し、投資家に価格変動へのエクスポージャーを実現させることを目的としている。しかし、先物ETFと比較して、現物ETFの運用がより簡単になり、手数料も低くなっている。

簡単に言えば、「先物」を基礎資産とする先物ETFは、契約のロールオーバー（異なる限月の先物契約は価格差があるため、先物価格は現物価格の価値と一致しない）による長期的な損失に直面する。この損失は極端な場合にどれほど大きくなるのか？数年前の「原油宝」巨額損失事件は、近年で最も極端なケース。当時、パンデミックの影響で世界の原油需要が低下し、原油先物価格が急落し、WTI原油先物価格は一時的にマイナス40ドルという歴史的な低水準にまで下落した。

同様に、ビットコインの先物ETFと現物ETFに投資することの違いは、現物ETFの方が価格変動をより正確に追跡できること。それも、市場はSECができるだけ早くビットコイン現物ETFを承認することを期待していた理由。今回、ついに承認された現物ETFは仮想通貨投資家にとって、明らかにより安全な取引ツールとなる。

現物ETFの承認がビットコイン市場に与える影響は？

明らかに、市場コンセンサスの強化は、ビットコインの資金増加にプラスの影響を与え、ビットコインの取引量と流動性を大幅に増加させる。Coinglassの1月10日時点のデータによると、主要20ヶ所の仮想通貨取引所のウォレットにあるビットコイン残高は189万で、4万6000ドルの価格時点で総額が約869億ドルになる。

出所：Coinglass

GalaxyDigitalの計算によると、米国のウェルスマネジメント市場全体の規模に基づき、各資産運用チャンネル（証券会社、銀行、投資顧問）の利用可能な資産総額の10％をビットコインが占め、平均配分比率が1％だと仮定すると、ビットコインETFが発行されてから最初の1年間で、推定で140億ドル以上の資金が流入する。

出所：GalaxyDigital

ビットコインの現物取引に基づく投機が相場を押し上げ、相場変動を引き起こす可能性があるが、新たな資金が大量に流入するには時間がかかるため、短期的には現物ETFがビットコイン価格に与える影響は限定的。中長期的から見ると、より多くの資金がビットコイン市場に流入するにつれて、ビットコイン価格にとって追い風となり、将来的に他の関連するデリバティブの立ち上げの可能性をもたらすかもしれない。

資産運用大手アーク・インベストのキャシー・ウッドCEOは11日、ビットコインは強気シナリオでは2030年までに150万ドルに達する可能性があるとCNBCで語り、以前の予想の100万ドルから予測を50％上昇させた。

「今回のSECによる承認で、強気シナリオの可能性は高まったと考えている。青信号だ」

ビットコイン現物ETFの承認による短期的な投機トレンドは、ビットコイン関連のコンセプトセクター（取引所を除く）に投資機会をもたらす。長期的には、以下の4種類の関連上場企業にもプラスな影響を与える。

・ビットコインを大量保有する企業にプラスな影響。
・ビットコインのマイニング事業を行うコンピューティングパワーを保有・保管するマイニング企業にプラスな影響。
・マイニングマシンを開発・製造・販売するマイニングマシンメーカーにプラスな影響。
・仮想通貨の取引、保管、および資産管理サービスを提供する仮想通貨取引所にとっては、短期的にはマイナスな影響だが、長期的にはプラスな影響。