【決算プレビュー】トヨタ、営業利益5兆円が視野に!円安効果で再度の上方修正あるか
● $トヨタ自動車 (7203.JP)$は2月6日に2024年3月期第3四半期(4-12月)決算を発表予定。
●2024年3月期の連結業績予想は、売上高が前年度比15.7%増の43兆円、営業利益が65.1%増の4兆5000億円、純利益が61.1%増の3兆9500億円。EPSは292円2銭。足元の第3四半期(10-12月)の市場予想(1/29時点)では、売上高は11兆1880億円、1株当たり純利益は84円16銭、EBITは1兆3530億円。
●想定為替レートは、通期業績見通しを上方修正した中間決算発表時に1ドル=125円から1ドル=141円へ変更した。しかし、第3四半期中は一時的に円高に振れたタイミングを除き、総じて想定レートより円安で推移しており、業績のさらなる上振れ余地がありそう。
●傘下のダイハツ工業、 $日野自動車 (7205.JP)$を加えた第3四半期まで(4-12月)累計のグローバル販売台数は前年同期比8.6%増の856万4077台となり、1138万台の通期販売見通しに対して75.3%の進捗率となっている。このうちEVの販売台数は8万6545台。中間決算発表時に通期販売見通しを20万2000台から12万3000台へ下方修正したが、修正後の7割程度にとどまっている。
●傘下の日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機が2022年3月から24年1月にかけて、それぞれ国の認証取得に関する試験で不正が行われていたことを発表。日野自動車に対して海外で複数の訴訟が提起されているほか、23年12月20日に全てのダイハツ開発車種、24年1月29日にトヨタの10車種の出荷を停止した。
●アナリスト19人による評価では、31.58%が強気、21.05%がやや強気、42.10%が中立、5.26%が弱気で、総合評価は「やや強気」となっている。
●2024年3月期の連結業績予想は、売上高が前年度比15.7%増の43兆円、営業利益が65.1%増の4兆5000億円、純利益が61.1%増の3兆9500億円。EPSは292円2銭。足元の第3四半期(10-12月)の市場予想(1/29時点)では、売上高は11兆1880億円、1株当たり純利益は84円16銭、EBITは1兆3530億円。
●想定為替レートは、通期業績見通しを上方修正した中間決算発表時に1ドル=125円から1ドル=141円へ変更した。しかし、第3四半期中は一時的に円高に振れたタイミングを除き、総じて想定レートより円安で推移しており、業績のさらなる上振れ余地がありそう。
●傘下のダイハツ工業、 $日野自動車 (7205.JP)$を加えた第3四半期まで(4-12月)累計のグローバル販売台数は前年同期比8.6%増の856万4077台となり、1138万台の通期販売見通しに対して75.3%の進捗率となっている。このうちEVの販売台数は8万6545台。中間決算発表時に通期販売見通しを20万2000台から12万3000台へ下方修正したが、修正後の7割程度にとどまっている。
●傘下の日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機が2022年3月から24年1月にかけて、それぞれ国の認証取得に関する試験で不正が行われていたことを発表。日野自動車に対して海外で複数の訴訟が提起されているほか、23年12月20日に全てのダイハツ開発車種、24年1月29日にトヨタの10車種の出荷を停止した。
●アナリスト19人による評価では、31.58%が強気、21.05%がやや強気、42.10%が中立、5.26%が弱気で、総合評価は「やや強気」となっている。
円安効果でさらに上振れ余地、前四半期から連続の上方修正がある?
中間決算発表に合わせて上方修正したトヨタ自動車の23年4月期の通期業績見通しでの営業利益は、前年比65.1%増の4兆5000億円。
トヨタ自動車は期初に1ドル=125円の為替レートを想定していたが、円安効果などを踏まえて通期の業績見通しを上方修正するとともに、想定レートを1ドル=141円に変更した。
第3四半期中は、一時的に円高に振れたタイミングを除き、総じて想定レートより円安で推移したことから、業績のさらなる上振れ余地もありそうだ。営業利益は、期初に想定していた3兆円でも国内企業として初めになるが、再度の上方修正があれば5兆円が視野に入ってくる。
中間決算発表に合わせて上方修正したトヨタ自動車の23年4月期の通期業績見通しでの営業利益は、前年比65.1%増の4兆5000億円。
トヨタ自動車は期初に1ドル=125円の為替レートを想定していたが、円安効果などを踏まえて通期の業績見通しを上方修正するとともに、想定レートを1ドル=141円に変更した。
第3四半期中は、一時的に円高に振れたタイミングを除き、総じて想定レートより円安で推移したことから、業績のさらなる上振れ余地もありそうだ。営業利益は、期初に想定していた3兆円でも国内企業として初めになるが、再度の上方修正があれば5兆円が視野に入ってくる。
海外を中心に販売台数が順調に伸びる
傘下のダイハツ工業、日野自動車を加えた2023年の年間ローバル販売台数は前年を7.2%上回る過去最高の1123万3039台となり、4年連続の世界一となった。トヨタ単体でも初の1000万台超えとなる1030万7395台に達した。
第3四半期(10-12月)のグローバル販売台数は前年同期比9.1%増の296万8208台で、10月と12月はグローバル販売および海外販売が過去最高を記録。特に12月の海外販売は単月として最高の販売台数(85万788台)を記録した。
第3四半期まで(4-12月)累計のグローバル販売台数は前年同期比8.6%増の856万4077台となり、年間1138万台の見通しに対して75.3%の進捗率となっている。
傘下のダイハツ工業、日野自動車を加えた2023年の年間ローバル販売台数は前年を7.2%上回る過去最高の1123万3039台となり、4年連続の世界一となった。トヨタ単体でも初の1000万台超えとなる1030万7395台に達した。
第3四半期(10-12月)のグローバル販売台数は前年同期比9.1%増の296万8208台で、10月と12月はグローバル販売および海外販売が過去最高を記録。特に12月の海外販売は単月として最高の販売台数(85万788台)を記録した。
第3四半期まで(4-12月)累計のグローバル販売台数は前年同期比8.6%増の856万4077台となり、年間1138万台の見通しに対して75.3%の進捗率となっている。
株価は絶好調
海外からの日本株への注目が高まる中で、トヨタ自動車の株価も好調に推移している。2022年末と比べると、株価は60%以上上昇している。
1月23日には株式分割を加味した上場来最高値となる3034円を付けるとともに、終値ベースでの時価総額(48兆7981億円)が、バブル期の1987年5月に上場直後の $日本電信電話 (9432.JP)$が記録した時価総額(48兆6720億円)を超え、国内企業の歴代最大記録を更新した(23日付日本経済新聞)。
同じく1月23日に、ブルームバーグはトヨタ自動車の時価総額が2016年以来となる中国テンセント超えを果たし、台湾TSMC、韓国サムスン電子に次ぐアジア第3位の時価総額になったと報じた。
海外からの日本株への注目が高まる中で、トヨタ自動車の株価も好調に推移している。2022年末と比べると、株価は60%以上上昇している。
1月23日には株式分割を加味した上場来最高値となる3034円を付けるとともに、終値ベースでの時価総額(48兆7981億円)が、バブル期の1987年5月に上場直後の $日本電信電話 (9432.JP)$が記録した時価総額(48兆6720億円)を超え、国内企業の歴代最大記録を更新した(23日付日本経済新聞)。
同じく1月23日に、ブルームバーグはトヨタ自動車の時価総額が2016年以来となる中国テンセント超えを果たし、台湾TSMC、韓国サムスン電子に次ぐアジア第3位の時価総額になったと報じた。
グループの相次ぐ不正で再び問われる創業家・豊田会長の手腕
トヨタ自動車の足元の最大の課題は、子会社で相次いだ認証試験に関する不正問題だ。傘下の日野自動車が2022年3月から8月、ダイハツ工業が23年4月から12月、豊田自動織機が23年3月から24年1月にかけて、それぞれ国の認証取得に関する試験で不正が行われていたことを発表した。
日野自動車に対して海外で複数の訴訟が提起されているほか、23年12月20日に全てのダイハツ開発車種、24年1月29日にトヨタの10車種の出荷を停止した(ダイハツは2月以降に一部再開予定)。日野自動車は24年末までにダイムラートラック傘下の三菱ふそうトラック・バスと経営統合する予定で、トヨタ自動車は子会社を失うことになる。
子会社の相次ぐ不正問題に対し、豊田章男会長は1月30日、3社を含めたグループ17社の幹部らを集め、グループビジョン“次の道を発明しよう(Inventing our path forward,together)”を提示。自らがグループの責任者に就くとともに、各社がそれぞれ商品責任者に位置付けられる「マスタードライバー」を選任するなどして「主権を現場に戻す」ことから再出発させるとの考えを明らかにした。
トヨタ自動車の足元の最大の課題は、子会社で相次いだ認証試験に関する不正問題だ。傘下の日野自動車が2022年3月から8月、ダイハツ工業が23年4月から12月、豊田自動織機が23年3月から24年1月にかけて、それぞれ国の認証取得に関する試験で不正が行われていたことを発表した。
日野自動車に対して海外で複数の訴訟が提起されているほか、23年12月20日に全てのダイハツ開発車種、24年1月29日にトヨタの10車種の出荷を停止した(ダイハツは2月以降に一部再開予定)。日野自動車は24年末までにダイムラートラック傘下の三菱ふそうトラック・バスと経営統合する予定で、トヨタ自動車は子会社を失うことになる。
子会社の相次ぐ不正問題に対し、豊田章男会長は1月30日、3社を含めたグループ17社の幹部らを集め、グループビジョン“次の道を発明しよう(Inventing our path forward,together)”を提示。自らがグループの責任者に就くとともに、各社がそれぞれ商品責任者に位置付けられる「マスタードライバー」を選任するなどして「主権を現場に戻す」ことから再出発させるとの考えを明らかにした。
テスラやBYDに先行許した対EV戦略は正しい?
トヨタ自動車の中長期的な課題は、米 $テスラ (TSLA.US)$や中国 $BYD (01211.HK)$に先行を許す形となったEVに関する取り組みといえる。
トヨタ自動車は中間決算発表時に、EVの通期販売見通しを20万2000台から12万3000台に下方修正したにもかかわらず、第3四半期まで(4-12月)累計のEVのグローバル販売台数は8万6545台で、修正後の通期販売見通しの7割程度にとどまっている。
トヨタ自動車は自動車開発に関して、EVに限定せず多様な選択肢を提供する「マルチパスウェイ」戦略を採っている。
豊田会長は1月22日にアップされた自社メディア「トヨタイムズニュース」で、「いくら電気自動車(EV)が進んだとしても、市場の3割まで。7割はハイブリッドや燃料電池、水素エンジン、ガソリン車なりで、(これらは)必ず残ると思う。それを決めるのは政治でなく市場」と語った。
トヨタ自動車の中長期的な課題は、米 $テスラ (TSLA.US)$や中国 $BYD (01211.HK)$に先行を許す形となったEVに関する取り組みといえる。
トヨタ自動車は中間決算発表時に、EVの通期販売見通しを20万2000台から12万3000台に下方修正したにもかかわらず、第3四半期まで(4-12月)累計のEVのグローバル販売台数は8万6545台で、修正後の通期販売見通しの7割程度にとどまっている。
トヨタ自動車は自動車開発に関して、EVに限定せず多様な選択肢を提供する「マルチパスウェイ」戦略を採っている。
豊田会長は1月22日にアップされた自社メディア「トヨタイムズニュース」で、「いくら電気自動車(EV)が進んだとしても、市場の3割まで。7割はハイブリッドや燃料電池、水素エンジン、ガソリン車なりで、(これらは)必ず残ると思う。それを決めるのは政治でなく市場」と語った。
足元ではテスラの失速や価格下落、政府の補助金依存といった問題から勢いに陰りの見えているEVだが、2023年のトヨタ自動車単体での中国での販売台数は前年を1.7%下回った。また、31日付日本経済新聞によると、23年の世界の自動車輸出台数はEVがけん引した中国が首位となり、日本は16年以来の首位陥落となった。トヨタ自動車の戦略が正しかったのかどうかの評価も、今後、市場が決めることになる。
ーmoomooニュースMark
出所:トヨタ自動車HP、日本経済新聞、Bloomberg、moomoo
出所:トヨタ自動車HP、日本経済新聞、Bloomberg、moomoo
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コメント
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kozkoz : 各社に「マスタードライバー」を置く。この施策は成功するのだろうか