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【AIブームはまだ続くのか】 波乱に満ちた半導体株の決算と株価、&エヌビディア

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moomooニュース米国株 コラムを発表しました · 05/02 04:25
米半導体が決算を受け、波乱の様相を呈している。決算発表序盤ではTSMCやASMLのガイダンス下振れで大幅に調整したが、4月中旬は急反発した。4月末はAMDの決算を受け、再び反落した。AIブームの恩恵で株高が続いた半導体株にとって、足元の波乱は何を意味するのか。決算内容と相場環境を踏まえながら考察してみたいと思う。
【AIブームはまだ続くのか】 波乱に満ちた半導体株の決算と株価、&エヌビディア
主要半導体株の決算と決算直後の株価反応
SOX指数(フィラデルフィア半導体株価指数)構成銘柄のうち、約7割の企業が5月2日時点で決算発表を終えた。うち時価総額が1,000億ドルを超える主力株の調整後EPS(1当たり利益)を確認してみると、いずれも市場予想を上振れした。
【AIブームはまだ続くのか】 波乱に満ちた半導体株の決算と株価、&エヌビディア
$マイクロン・テクノロジー (MU.US)$は決算期が2月・決算発表は3月のため、正確には4月から始まった今回の決算シーズンの該当銘柄でないが、3月末に発表した決算には今年1-2月の業績も含まれているため、併せて載せることにした。マイクロン・テクノロジーは市場予想を大幅に上回る業績を発表した後、翌取引日に株価が14%上昇した。
その後、半導体製造装置大手の $ASMLホールディング (ASML.US)$ とかつての半導体巨人である $インテル (INTC.US)$ 、および $アドバンスト・マイクロ・デバイシズ (AMD.US)$は市場予想を上回る1-3月期の決算を発表したが、翌取引日に株価は7~9%下落した。いずれもガイダンスの予想下振れが嫌気された。ASMLとAMDの場合は、予想PER(株価収益率)が35倍を超えており、業績対比での割高感も売り要因だったとみられる。
AIブームに乗って株高が続いた $スーパー・マイクロ・コンピューター (SMCI.US)$は、実績とガイダンスがともに市場予想を上振れし、予想PERも23倍程度だったが、翌取引日に株価は14%下落した。SMCIの場合は他の銘柄と違って、決算発表前までの株価急騰が利益確定売りの原因だと思われる。過去1年間の株価リターンを確認してみると、SMCIは602%と異常に高い。好決算を織り込んで株価が7倍になっていたため、「事実で売り」が優勢になったと考えられる。
$テキサス・インストゥルメンツ (TXN.US)$ $クアルコム (QCOM.US)$は、市場予想を上回る決算を発表後、株高となった(クアルコムは決算発表後の時間外取引)。両銘柄は、過去1年間の株価リターンでみた場合、少し出遅れ感もあり、それが好業績に株価が素直に反応した要因とみられる。
AIブームはまだ続くのか
主力半導体の決算発表後の株価反応からすると、「AIブームはまだ続くのか」と問いかけたくなるだろう。その答えを探すためには、決算発表直後の株価反応だけでなく、その時の相場環境や決算内容の詳細を確認しておく必要があると思われる。
まず、相場環境を振り返ってみると、過去2週間は政策金利を決定する重要なイベントのFOMCを控え、10年債利回りが大きく動いたことが確認できる。
【AIブームはまだ続くのか】 波乱に満ちた半導体株の決算と株価、&エヌビディア
総じてみると、決算下振れと10年債利回り上昇の組み合わせでは、SOX指数の下落率が顕著だった。決算上振れでも10年債利回りの上昇下ではSMCI大幅に下落したことを踏まえると、FOMCへの警戒と、金利上昇あるいは金利の高止まりも下げ幅を助長したとみられる。
なお、5月1日に終了したFOMCは、市場が懸念していたほどタカ派的ではなかった。それを受け、5月2日のアジア取引時間帯では10年債利回りが低下し、米主要株価指数の先物は上昇した。
4月23日付のレポートで触れたように、2023年7月中旬から10月末までに米10年債利回りが急上昇した局面でSOX指数やAIブームの代表格である $エヌビディア (NVDA.US)$は大きく調整した。ご参考までに、当時示したグラフを再掲する。
【AIブームはまだ続くのか】 波乱に満ちた半導体株の決算と株価、&エヌビディア
ただ、振り返ってみると、エヌビディアは高値から2割下落したが、それ以上崩れることはなく、400ドル~500ドルのボックス圏で推移した後は上昇トレンドを取り戻した。10年債利回りの低下に加え、AI半導体に対する堅調な需要を支えに業績が大幅に拡大したためだ。
前回の経験からすると、10年債利回りの急上昇が続かない限り、AI半導体に対する需要拡大継続(AI投資ブーム継続)は株式相場におけるAIブームを支えると予想される。
企業によるAI投資ブームが続くかどうかは、主力企業の決算内容で確認する必要があろう。下記では主要AI関連の半導体株について、ガイダンスとAIをめぐる経営陣のコメントを中心にまとめた。それに基づけば、AI関連の需要は引き続き、堅調であることが示されている。
$ASMLホールディング (ASML.US)$
目標株価変化率(※1):+4.8%
目標株価との乖離率(※2):26.8%
(※1:決算発表後から5月2日まで、※2:5月1日終値対比、以下同様)

1-3月期の新規受注が36億ユーロとなり、前四半期より61%減少。市場予想の46.3億ユーロを大きく下振れた。経営陣は、「受注フローは(短期的に)凸凹になりやすく(不安定で)、年間を通してみた場合、必ずしも均等にならない」と説明。
「長期的に見ると、マクロ環境に起因する大きな不確実性は依然として存在しているものの、(半導体)サイクルの底は過ぎたように見える。2024年中は業界が回復すると予想している。」
「前四半期と同様に、AI関連アプリケーションからの需要に勢いがある。メモリー需要は、主にDDR5やHBMなどの高度なメモリーをサポートするDRAMテクノロジーのノード移行によって推進されている。」
$台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSM.US)$
目標株価変化率:+4.3%
目標株価との乖離率:18.8%

4-6月期の売上高ガイダンスは196億~204億米ドルと、市場予想の191億米ドルを上振れした。会社側は、同社が業界をリードしている3ナノメートルおよび5ナノメートル技術に対する強い需要がスマートフォン向けによる影響を部分的に相殺する見込みだと説明した。
通年の設備投資計画は280億~320億米ドルで据え置いた。今年の半導体市場(除くメモリー)の成長見通しを従来の「10%強」から「10%」に小幅ながら下方修正した。主にスマートフォンやパソコン、自動車向けなどの販売がなお弱いことを反映している。
経営陣は、「AI関連の需要は引き続き、急増している」と表明。
$スーパー・マイクロ・コンピューター (SMCI.US)$
目標株価変化率:+1.7%
目標株価との乖離率:35.9%

4~6月期の売上高ガイダンスは51億~55億で、市場予想の47億3,000万ドルを上回った。一部項目を除いた1株当たり利益(EPS)予想は8.42ドルで、市場予想の6.97ドルを上振れした。
経営陣は、需要が高まっている同社の最新液体冷却システムの供給が不足していると指摘しつつも、2024年6月期の売上高ガイダンスを従来の147億ドルから151億ドルに引き上げた。AIサーバーに対する強い需要と同社の革新的な液体冷却設計が成長を牽引していると述べた。2025年6月期も強い成長を維持できると表明した。
「AIプラットフォームの人気は高く、競争も激しくなっているが、SMCIは市場投入までの時間が短く、シェアを拡大することができる。」
$アドバンスト・マイクロ・デバイシズ (AMD.US)$
目標株価変化率:-3.9%
目標株価との乖離率:29.0%

2Q売上高ガイダンスは、おおむね市場予想通りでサプライズなし。通期のデータセンター部門のGPU(画像処理装置)売上高見通しは、AI半導体「MI300」の出荷増加を反映し、従来の35億ドルから40億ドルに上方修正。ただ、市場予想の約60億ドルには及ばなかった。
経営陣は、MI300シリーズ製品は、AMD史上で最も急速に成長した製品となり、2四半期未満で総売上高は10億ドルを超えたと明かした。「MI300X(エヌビディアのAI半導体「H100」への対抗製品)の導入はMicrosoft、Meta、Oracleのクラウドで拡大。」
「MI300の導入は順調に進んでいる。ちょうど終わった四半期(1Q)でさえ、四半期開始時の予想よりも少し良い結果が出ている。2Qも大幅な立ち上げになるとみている。今年は四半期ごとに供給を増やす予定だ。」
$クアルコム (QCOM.US)$
目標株価変化率:+5.6%
目標株価との乖離率:7.2%

4-6月期の売上高ガイダンスは88億ドル~96億ドルで、市場予想の90億8,000ドルを上回った。調整後EPSガイダンスは2.15ドル~2.35ドルで、市場予想の2.16ドルを上振れした。
経営陣は、「我々はQCT Automotiveの3四半期連続の最高収益とSnapdragon Xプラットフォームのローンチ、そして複数の製品カテゴリにおける先進のオンデバイスAI機能の実現を含めた成長と多様化の実現に興奮している」と述べた。
「AIがクラウドからデバイスへと急速に拡大する中、オンデバイスAIを含むテクノロジー全般においてエッジでリーダーシップを発揮している当社は、この成長機会を活かす上で非常に有利な立場にある。」
★テック大手はAIインフラ向けの設備投資をさらに拡大へ
今回のAIブームにおいて、AI向け投資で膨大な支出をしているのは $メタ・プラットフォームズ (META.US)$ $マイクロソフト (MSFT.US)$ $アルファベット クラスA (GOOGL.US)$ を代表とする米テック大手だ。いわば半導体企業にとっての「上客」である。
テック大手の決算もほぼ出揃ったが、各社はいずれもAI向けの設備投資を増やすと表明している。 $テスラ (TSLA.US)$も現在3万5,000台の「H100」を導入しているが、今年末までには8万5,000台になる見込みだと示した。
各社が引き続き、AI向けインフラを強化しているのは、それによる業績への貢献が期待できるためだ。たとえば、今回の決算ではマイクロソフトとアルファベット、 $アマゾン・ドットコム (AMZN.US)$がともにクラウド事業が予想より好調だった。いずれもAI向け投資が業績拡大につながった。
【AIブームはまだ続くのか】 波乱に満ちた半導体株の決算と株価、&エヌビディア
AI向け投資がまだ大手クラウドベンダーほど実を結んでいないメタも、AI向け投資を拡大するために、設備投資計画を上方修正した。スマートフォン向け半導体で世界最大手のクアルコムの決算からは、AIの導入がクラウドからデバイスへ拡大していることが伺える。
総合的にみると、主要半導体企業とテック大手の決算からは、AI向け設備投資のブームは続いており、AIの導入も拡大していることが示されている。金利の急上昇には警戒する必要があるかもしれないが、米国経済の堅調さやテック大手の潤沢な資金力からすると、AI投資ブームがにわかに下火になることも想定しづらい。AI投資ブームが続けば、エヌビディアを筆頭とする企業の業績拡大も続くと予想され、AIブームを支えることとなるだろう。

2024年5月2日作成 マーケット・アナリスト Amelia
出所:会社資料、Bloombergよりmoomoo証券作成、市場予想と目標株価はBloomberg集計
免責事項:このコンテンツは、Moomoo Technologies Incが情報交換及び教育目的でのみ提供するものです。 さらに詳しい情報
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  • HONDA N-ONE : 半導体銘柄それぞれ相関性が高いので決算発表はトリガーに過ぎずどのような内容の発表であろうと同じような値動きをしたであろう
    投機的な意味合いが強まるほど値動きと業績の相関性は低くなる