英アーム、520億ドル規模で上場へ　評価額が予想下回る

$ソフトバンクグループ(9984.JP)$傘下の半導体設計会社のアームは5日、米証券取引所ナスダックへの上場を申請している米預託証券の公開価格の仮条件を47〜51ドルに設定したと公表した。価格上限の場合、時価総額は約520億ドルとなり、今年最大の上場案件となる。アームは米国預託証券（ADR）9550万単位を公開する。ナスダックに銘柄コード「ARM」で上場する。1ADRは普通株1株に相当する。

アーム上場にあわせSBGは持ち株1割弱を売り出す。米 $アップル(AAPL.US)$ や $アルファベット C(GOOG.US)$ 、 $エヌビディア(NVDA.US)$、韓国サムスン電子など10社がアームADRの取得を検討していると正式に開示した。SBGは人工知能（AI）の普及に伴う半導体の開発・生産需要をにらみ、残りの9割は保有を続ける。

ブルームバーグによると、アームは50億ドルから70億ドルの資金調達を目指しているが、以前の目標である100億ドルよりも低い。評価額も最終的には以前の600億ドルから700億ドルの目標範囲よりも低くなるという。

評価額が予想より低い。 なぜか？
孫正義氏が率いるソフトバンクグループは2016年に半導体設計会社のアームを買収した。 孫氏はこの取引に大いに興奮し、アナリストたちに対して「ほぼ確実に言えることは、5年以内に5倍に成長するだろう」と語った。

アームは依然としてスマートフォン、コンピューター、自動車用のチップ部品の設計でリーディングカンパニーだが、ソフトバンクによる史上最大の買収はその壮大な目標にはほど遠い。2016年以降、アームの売上は65%増加し、半導体業界全体をわずかに上回ったが、業界のトップ企業には大きく遅れている。研究開発費の大幅な増加は、孫正義氏が予想した利益の上昇にはまだつながっていない。さらに、インターネット・オブ・シングス（IoT）への賭けも失敗したという。

近年のアームの増収増益は限定的であるため、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SoftBankVisionFund)のアーム株を取得した価格で上場すれば、収益が当初買収額の2倍になる。 対照的に、2016年9月(買収完了の時点)から、ナスダック総合指数に投資した場合、収益は約2.67倍になる(配当金も再投資の場合)。

アナリストは、この問題の一因がアームのスマートフォン事業が当時すでに業界で圧倒的な優位性を持ち、さらなる成長の余地がほとんどなかったと指摘している。

AIとアーム・チャイナ
アームへの潜在的な投資家にとって重要なのは、AIとアーム・チャイナである。

今年に入り、AIをめぐる市場の熱狂はすでに $エヌビディア(NVDA.US)$などの株価に大きな上昇をもたらしている。

AIブームは、スマートフォンや家庭用コンピューターで使われるチップよりも、サーバー用チップの需要を押し上げると見られており、アームは後者の事業で最も高いシェアを占めている。 それでもアームは、自動運転車などのAI対応システムの開発により、アームの設計を用いたチップの需要が増加する可能性があるとし、自らを受益者と位置づけている。

アームの目論見書によると、アームはこの変革の中核となるという。

アーム・チャイナについて、アストリス・アドバイザリーのアナリスト、カーク・ブードリー氏は彼のレポートで、アームの中国へのエクスポージャーは予想以上に高いと述べた。

目論見書によると、アームは中国事業の大半を独立した部門であるアーム・チャイナを通じて行っており、アーム・チャイナはアームにとって最大の顧客であり、今年3月までのFYの売上高のほぼ4分の1を占めている。

229ページに及ぶ目論見書のリスクセクションで、アームは中国における商業的リスクなどについて詳細に説明した。アーム・テクノロジー（中国）有限公司（アーム・チャイナ）は目論見書の中で208回、「中国」が222回、「PRC」が130回言及されている。

同社によれば、中国市場へのアクセスは、独立して事業を展開し、最大の顧客となっているアーム・チャイナとの関係に依存しているという。

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