【プレビュー】6月の米雇用統計が今夜発表予定　9月に利下げのシナリオは本当か？

米6月の非農業部門雇用者数は日本時間金曜日(5日)の夜09:30に発表される予定。市場では、米6月の非農業部門雇用者数が18.9万人増、失業率が4.0%と予想されている。

米労働省が火曜日(2日)に発表した5月の雇用動態調査（JOLTS）は、求人件数が22万1000件増の814万件と、過去2カ月の大幅な減少から増加に転じた。
関連記事
【速報】米・5月JOLT求人件数は予想を上回り814.0万件

「データは労働力の需給の正常化が進んでいることを示している」とハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ルビーラ・ファルーキ氏は指摘した。「政策の観点から言えば、連邦準備理事会（ＦＲＢ）の今後の課題は、インフレを抑制するだけでなく労働市場への不必要なダメージを防ぐ水準に金利を維持することだ」と述べた。

一方、水曜日(3日)に発表された米国の2つの雇用関連統計は、米労働市場が勢いを失いつつあることを裏付ける新たな証拠となった。ADPリサーチ・インスティテュートのデータは米民間雇用者数の増加ペースが6月に一段と減速したことを示した。また米労働省発表のデータによると、失業保険の継続受給者数が９週連続で増え、2018年以来の長期増加局面となった。再就職が一段と困難になっている状況が示唆された。

さらに、6月の米雇用統計に先立ち公表された2つの統計は労働力に対する需要の低下を表している。 米供給管理協会（ISM）が3日に発表した６月の非製造業総合景況指数はここ4年で最も速い活動縮小ペースを示唆。景気失速の新たな兆候となった。

米連邦準備制度理事会（FRB）のパウエル議長は今週の火曜日(2日)、最初の利下げ時期について具体的なガイダンスの提示は避けたが、「ハト派的」な姿勢を示しているようだ。パウエル議長は、FRBがインフレ率を政策目標まで引き下げるのにかなりの進展があったことも明らかにした。

米連邦準備制度理事会（ＦＲＢ）のパウエル議長は、最新の経済データはインフレが再び鈍化傾向をたどっていることを示唆していると指摘。一方、当局者らは利下げに動く前にさらに多くのデータを目にしたい考えだと付け加えた。「米経済は力強く、労働市場も強いことから、われわれは時間をかけて正しく対応することが可能だ」とし、「それがわれわれの計画だ」と続けた。
関連記事
パウエル議長が「ハト派」発言！FRBの利下げサイクルで注目すべき資産とは？

CMEグループのFedWatchツールによると、FF金利先物のトレーダーは一時、9月までに利下げが実施される確率を66.5％、年内に2回以上の利下げが実施される確率を68.6％とみていた。