【プレビュー】FRBが最も注目するPCE価格指数、年内大幅に利下げを後押しするのか?

米商務省は9月27日に、FRBが最も重視するインフレ指標である個人消費支出（PCE）価格指数を発表する予定。

市場コンセンサスによると、8月のPCE価格指数は、前年比2.5%から2.3%に減少、前月比0.2%から0.1%に減少すると予想される。食料およびエネルギーを除いたコアPCE価格指数は、前年比2.6%から2.7%に増加、前月比横ばいの0.2%と予想される。住宅費の予想外伸びが今回コアPCE上昇の要因、また、住宅以外の分野のインフレは緩和しているとエコノミストが見ている。8月のPCE価格指数は、FRBの追加利下げを後押しする可能性がある。

11月利下げへの影響は?
労働市場の悪化リスクが高まる中、FRBが経済の力強さを維持するのが狙いで、投資家がインフレに注目する状況は落ち着いた。しかし、PCE価格指数は依然としてFRBの利下げにある程度の判断材料となる。

住宅は物価指数を最も影響する構成要素の一つである。パウエル議長を含む一部のFRB高官は、住宅価格指数が米国のインフレ率を過大評価していると考えている。一方、インフレが完全に抑制されていないという懸念を表明する高官もある。先週の50bp利下げに反対票を投票したボウマン理事は、「このような劇的な初回利下げは、インフレ圧力を復活させる可能性がある」と指摘した。

セントルイス連銀の最新データによると、米国の5年物ブレークイーブンインフレ率（市場が予想する今後5年間の平均期待インフレ率）は最近2.04%に上昇。それに対して、このデータは今月初めに4年近く低水準の1.86%に達した場面もあった。また、Tradewebのデータによると、24日までに消費者物価指数（CPI）に連動する1年物スワップのインフレ率は2.028%、5年物スワップは2.333%、いずれも9月の最安値から上昇している。上記のデータは、投資家が今後数年間インフレ率がFRBの目標値である2%を上回る水準で推移する可能性があると懸念している。

T. Rowe PricenのTim Murray氏は、「FRBは景気後退を避けるために徐々にインフレを抑制することを目指しているが、その道筋ではインフレリスクが残る。インフレが沈静化するまでに時間がかかるだけでなく、今年後半に近づくにつれて再燃する可能性もある」と指摘した。

CMEのFedWatchによると、25日の金利先物市場では11月の利下げ幅が50bpになるとの見方が60.2％を占め、25bpの39.8％を上回る。

市場はどう動く？
BDSwissのMazen Salhab氏は、27日に発表される個人消費支出（PCE）価格指数にサプライズがある場合、米国債の利回りに影響を及ぼし、ドルの方向性を左右する可能性があると指摘した。

同氏は「インフレ率が予想を下回った場合、債券利回りは低下し、ドルにさらなる圧力がかかるでしょう」、また、「投資家は2025年までに大幅な金利引き下げを予想しているが、債券市場はインフレの変化やFRBからのシグナルに依然として敏感であり、それが来週にかけて債券とドルのパフォーマンスを左右する可能性が大きい」とコメントした。Tradewebによると、2年物米国債の利回りは3.591%で取引され、10年物米国債の利回りは3.784%となっている。