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負け組のアップルとテスラに押し目買い?

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moomooニュース米国株 コラムを発表しました · 03/21 20:05
米株高をけん引してきた巨大テック大手7社のマグニフィセント・セブンに、「負け組」が浮上した。アップルとテスラの2社だ。
マグニフィセント・セブンの年初来パフォーマンス(3/21まで)を確認してみると、 $エヌビディア(NVDA.US)$が85%上昇し、昨年に続き、「勝ち組」の筆頭格を維持した。次いで $メタ プラットフォームズ A(META.US)$ が43%上昇、 $アマゾン ドット コム(AMZN.US)$ が17%上昇、 $マイクロソフト(MSFT.US)$は14%上昇、 $アルファベット A(GOOGL.US)$ は6%上昇した。一方、 $アップル(AAPL.US)$ は11%下落、 $テスラ(TSLA.US)$は30%下落し、下げが際立つ。
マグニフィセント・セブンの株価に明暗
マグニフィセント・セブンの株価に明暗
そもそもなぜ、テスラとアップルの株価は下落したのか?
両社の共通点を探ってみると、下落要因が浮かび上がる。それはつまり、
1)足元の販売不振と成長への懸念
2)AIでの出遅れ感だ。
★足元の販売不振と成長への懸念
テスラの場合は、電気自動車(EV)の需要鈍化と競争激化が背景にある。それを受け、テスラの2023年10-12月期の業績(特に利益率)は市場予想を下回った。会社側が2024年通期の納車台数ガイダンスを示さなかったことも、EV需要の下振れ懸念につながった。テスラはかつて「EV生産台数、年間成長率50%」という目標で成長ストーリーを示してきただけに、今回初めてのガイダンス見送りは伸び鈍化を示唆したことになり、ネガティブ・サプライズだった。
負け組のアップルとテスラに押し目買い?
アップルの場合は、2023年10-12月期の総売上高と主力のiPhone部門の売上高はいずれも小幅ながら市場予想を上回り、底堅い決算となった。決算発表前までは、新型iPhoneの需要低迷やiPhoneの中国でのシェア低下を指摘する調査報道が多かったため、それによる業績への影響が懸念されていた。決算内容は比較的堅調だったと言えるが、iPhone販売をめぐる先行き懸念は消えなかった。中国市場で競合のファーウェイが着実にシェアを拡大しているほか、サムスン電子がアップルに先駆けてAIスマートフォンを打ち出したことが背景にある。
負け組のアップルとテスラに押し目買い?
★AIでの出遅れ、戦略の不透明感を嫌気か
AIでの出遅れ感については、株式市場でのAIブームが2024年も続いたことを鑑みると、株価への影響は大きかったとみられる。
テスラのイーロン・マスクCEOは、EV市場で競合のBYDがテスラに取って代わって世界首位に躍り出た時「テスラは(EVより)AI企業」だとコメントした。実際、テスラのAI戦略は、2022年11月に「ChatGPT」の人気で生成AIブームが起きる前に始動していた。テスラは2021年に初めて「AIデー」イベントを開催し、スーパーコンピューター「Dojo」を発表した。
Dojoはテスラの自動運転システムを支える機械学習モデルの訓練用に作られたもので、いわば自動運転の研究を加速させるためのAIトレーニングシステムだ。Dojoは2022年7月に生産開始し、その後稼働した。Dojoはテスラの完全自動運転(FSD)の基礎を成しており、テスラは既にFSDのベータ版をテスラ車のドライバーに提供している。1月末の決算発表でテスラは、2023年10-12月期に最新のFSDベータ版ソフトウェア(V12)を一部のテスラ社員に、今年初めには顧客にもリリースしたと発表した。FSDベータ版による累計走行距離は増加している。
負け組のアップルとテスラに押し目買い?
他方、FSD はまだ「ベータ版」であり、テスラはFSDに関連する売上やAI事業の業績を公表していない。テスラの決算内容からすると、今は依然としてEV販売が売上の大部分を占める。つまり、テスラはまだ「AI企業」というよりEVメーカーだ。一部のアナリストは、FSDは既に10~30億ドルの売上価値があり、2030年までに750億ドルのアップサイドがあると予想している。ただ、それは「でっち上げの数字」だとの指摘もある。
テスラはAIへの取り組みに焦点を当てた新たなセグメントを創出すべきだとの提案もある。そうすれば、テスラのFSDやロボタクシー、Optimus(人型ロボット)、DojoなどのAIへ取り組みに対し、投資家がより効果的に測定し、分析することができるという。いずれにしても、テスラのAI関連事業は大きなポテンシャルを持っているかもしれないが、現段階では見えづらく、評価しにくいというのが、株価評価に出ているとみられる。
アップルの場合は、テスラほどAI戦略について多くを語ってこなかった。アップルのAI戦略をめぐっては、その大部分が観測記事によるものだ。例えば、Bloombergは2023年7月に、「アップルはオープンAIやアルファベット傘下グーグルなどの製品に対抗できるAIツールの開発をひそかに進めている」と報じた。
AIでの出遅れ感に対する指摘が増えている中、アップルは危機感を感じたのか、ティム・クックCEOは今年2月にAI戦略について重要なシグナルを発した。クック氏は年次株主総会で、同社がAI分野に多額の投資を行っていると明かしたうえ「今年の後半には、私たちが生成AIの新境地を開拓する方法を皆さんと共有できることを楽しみにしていると述べた。
負け組のアップルとテスラに押し目買い?
上記の2つの要因で株価下落が続いた両社だが、ここにきて反発の兆しを示している。
負け組のアップルとテスラに押し目買い?
★アップルの反発要因:「Gemini」のiPhoneへの搭載
アップルが反発したのは、3月8日だ。前日までは続落でテクニカル指標のRSIが売られすぎの30%を下回った。したがって、3月8日以降の反発はテクニカル要因も寄与したとみられる。ただ、その後も見直し買いは続いた。アップルがグーグルの生成AIサービス「Gemini」のiPhoneへの搭載に向けて交渉しているとBloombergが報じ、ポジティブ材料となった。
今回のことが事実で交渉が成立すれば、アップルにとってターニングポイントになる可能性がある。なぜならば、AIブームが1年以上続いてきた中で、アップルはAI戦略に欠けているという印象を市場に与え続けてきたが、ようやく挽回を図るべく動き出したことを示す。グーグル製品の搭載は、アップルのAIの取り組みが期待ほど進んでいない表れかもしれないが、自社の進展を待つだけでは一段と出遅れる可能性もある。したがって、グーグルとのパートナーシップ強化はAIでの出遅れ挽回に役立つとみられる。
★アップル、3月21日は規制リスクで反落
3月21日にアップル株は、米司法省がiPhoneをめぐり反トラスト法違反の疑いでアップルを提訴したことを受け、急落した。規制リスクは当面、上値を抑えるかもしれない。他方、最終的な結論が出るまで時間がかかると想定されるうえ、最悪のシナリオ(罰金+改善策の提示)の際の業績への影響は市場が懸念しているほど大きくない可能性もある。iPhoneユーザーはロイヤルユーザーが多いため、それがアップルにとって「堀」となっている。規制リスクを鑑みると、アップルはロイヤルユーザーを失わないためにも、一段とAI戦略を急ぐ可能性があろう。
★テスラの反発要因:値上げを好感
テスラの株価もRSIが売られすぎの30%を下回った翌日(3月15日)に反発した。したがって、アップル同様、テクニカル要因も反発につながったとみられる。ただ、3月18日の大幅反発は、企業側からのポジティブ材料によるものだ。テスラはこれまで競争激化に対応するため、米欧中で値下げを実施してきたが、3月16日以降、予想外に米中および一部欧州諸国で「モデルY」の値上げを発表した。値上げは需要の堅調さを示すものではなく、同社による「売上を押し上げるための試み」との指摘もある。他方、テスラが値下げを続けてきただけに、値上げは投資家の過度な懸念を払しょくするのに役立つと思われる。3月20日は米バイデン政権が自動車の排ガス規制を強化すると発表し、EV販売の押し上げ期待でテスラは続伸した。
★中長期的には、AI分野でのブレークスルーの可能性に期待
アップルとテスラの見直し買いには、一つの中長期的な共通要因もあると考えられる。つまり、両社に対する「AIでの出遅れ」の挽回期待だ。これはアップルとテスラの強いブランドイメージと技術リーダーシップにおけるこれまでの実績に支えられたものと言える。両社のそれぞれの主力分野におけるデータベースは、機械学習などAIトレーニングにおいて重要な資源であり、それに基づくAIサービスの提供は新たな収益源につながる可能性がある。
つまり、短期的に両社はAIレースにおいて出遅れているが、中長期的にはAI分野でブレークスルーを達する可能性を秘めている。テクニカル要因や一時的な好材料による株価の押上げ効果は限定的かもしれないが、両社がAI分野で着実な進展を示せば、AIブームにおいて「負け組」の汚名返上を実現できるかもしれない。
2024年3月21日作成 マーケット・アナリスト Amelia
出所:会社資料、Bloombergおよび各種資料によりmoomoo証券作成
免責事項:このコンテンツは、Moomoo Technologies Incが情報交換及び教育目的でのみ提供するものです。 さらに詳しい情報
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