【2025年の注目米国株】サイバーセキュリティ5選!”攻撃的”なトランプ氏の再選・AI需要が追い風に
2025年1月に米大統領に就任するトランプ氏とサイバーセキュリティをつなぐワードに、「攻撃」が挙げられそうだ。外部に対し”攻撃的”なトランプ氏が再選された後、サイバー攻撃から企業や組織を守るサービスを提供するサイバーセキュリティ関連銘柄の株価は15%~30%上昇した。その間、S&P500指数の上昇率は7%弱にとどまっている。
株式市場が織り込み始めているのは、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏の再選により、米国政府や企業を狙ったサイバー攻撃が増える可能性があることかもしれない。2025年からは、AIの導入がハードウェアからソフトウェアへ進むことも予想されており、AIをめぐるサイバーセキュリティ需要の拡大も追い風となりそうだ。
今回は、「2025年の注目米国株」第2弾(※)として、サイバーセキュリティ関連銘柄にフォーカスすることにした。業績見通しやバリュエーション、平均目標株価との乖離率から、「サイバーセキュリティ株5選」をピックアップした。
(※第1弾は「【2025年の注目高配当・米国株】連続増配・利回り4.5%強の5銘柄!業績・株価とも堅調」を参照されたい。)
トランプ氏再選確定後、サイバーセキュリティ関連銘柄が好調
サイバーセキュリティ関連銘柄の代表的なETFとして、IHAKと $ファースト・トラスト・ナスダック・サイバーセキュリティ・ETF (CIBR.US)$ 、HACK、 $グローバルX サイバーセキュリティ ETF (BUG.US)$ が挙げられる。トランプ氏の再選が確定された後、それぞれのETFの上昇率は4.6%、7.9%、9.1%、12.2%となり、そのうち3つがS&P500指数の6.5%上昇を上回った(いずれも12月11日まで)。
サイバーセキュリティ関連銘柄の代表的なETFとして、IHAKと $ファースト・トラスト・ナスダック・サイバーセキュリティ・ETF (CIBR.US)$ 、HACK、 $グローバルX サイバーセキュリティ ETF (BUG.US)$ が挙げられる。トランプ氏の再選が確定された後、それぞれのETFの上昇率は4.6%、7.9%、9.1%、12.2%となり、そのうち3つがS&P500指数の6.5%上昇を上回った(いずれも12月11日まで)。
(なお、4つのETFのうち、IHAKとHACKは現時点で取り扱いしておらず、BUGとCIBRは取引扱い銘柄となっている。)
グローバルX サイバーセキュリティETF(BUG)の上昇率がより高いのは、構成銘柄がサイバーセキュリティとの関連性がより高いためと考えられる。同ETFは、構成銘柄の条件に「サイバーセキュリティ活動からの収益が50%以上」が課されている。
グローバルX サイバーセキュリティETF(BUG)構成銘柄の騰落率を確認してみると、うち11銘柄の上昇率が10%を超えた。具体的には $A10ネットワークス (ATEN.US)$ が28.8%、 $フォーティネット (FTNT.US)$ が24.4%、 $クォリーズ (QLYS.US)$ が23.4%、 $クラウドストライク・ホールディングス クラスA (CRWD.US)$ が21.4%、 $サイバーアーク・ソフトウェア (CYBR.US)$ は18.2%とTOP5に並んだ。
続いて、 $オクタ (OKTA.US)$ は16.1%、 $ワンスパン (OSPN.US)$ は13.2%、 $ジースケイラー (ZS.US)$ は12.4%、 $テナブル・ホールディングス (TENB.US)$ は10.5%、 $パロアルト・ネットワークス (PANW.US)$ は10.3%上昇した。
サイバーセキュリティ株5選
グローバルX サイバーセキュリティETF(BUG)構成銘柄の中から、今年度と来年度においておよそ2桁の増収・増益率と、平均目標株価との乖離率が-1.0%以上の銘柄を抽出した結果、下記7銘柄となった。銘柄の順位は、来年度予想PEGレシオの順になっている。
グローバルX サイバーセキュリティETF(BUG)構成銘柄の中から、今年度と来年度においておよそ2桁の増収・増益率と、平均目標株価との乖離率が-1.0%以上の銘柄を抽出した結果、下記7銘柄となった。銘柄の順位は、来年度予想PEGレシオの順になっている。
※PEGレシオは予想PERを長期1株当たり利益成長率で割ったもので、成長性を加味したバリュエーションの評価指標となっている。より広く使用されているPER(株価収益率)と同様に、数字が低いほうが割安感があることを示す。
来年度予想PEGレシオが適正水準とされる2倍以下の銘柄は、オクタ、サイバーアーク、クラウドストライク、テナブルとなった。平均目標株価との乖離率もいずれも10%を超えている。ただし、そのうちテナブルは直近の決算発表後、アナリストたちによる平均目標株価が引き下げられた唯一の銘柄となった。フォーティネットは来年度予想PEGレシオが2倍超となっており、上記4銘柄に比べるとやや割高感がある。平均目標株価との乖離率もマイナスになっている。
ゼットスケーラーとパロアルトは来年度予想PEGレシオが3倍超となっており、上記の銘柄に比べると割高感があると言えそうだ。他方、通期ベースの安定的な業績拡大見通しと平均目標株価との乖離率からすると、一段と上昇余地があるかもしれない。
そこで、決算発表後に平均目標株価が引き上げられた銘柄のうち、業績見通しやバリュエーション、平均目標株価との乖離率を総合的に判断し、サイバーアーク、クラウドストライク、ゼットスケーラー、パロアルト、オクタを「サイバーセキュリティ関連の米国株5選」にピックアップした。
$サイバーアーク・ソフトウェア (CYBR.US)$
◇イスラエルに本社を置く特権ID管理におけるパイオニア企業で、今は世界的リーディングカンパニー。人間やマシン、すべてのアイデンティティ(ID)を保護するアイデンティティ・セキュリティ・プラットフォームを提供している。主要顧客は銀行や製造業、政府機関など。地域別売上構成比は米国が59%、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)が31%、APJ(アジア太平洋日本)が11%(2024年7-9月期)となっている。
◇イスラエルに本社を置く特権ID管理におけるパイオニア企業で、今は世界的リーディングカンパニー。人間やマシン、すべてのアイデンティティ(ID)を保護するアイデンティティ・セキュリティ・プラットフォームを提供している。主要顧客は銀行や製造業、政府機関など。地域別売上構成比は米国が59%、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)が31%、APJ(アジア太平洋日本)が11%(2024年7-9月期)となっている。
◇7-9月期業績は調整後EPS(1株当たり利益)が0.94ドルで、前年同期の2倍以上に拡大し、市場予想の0.46ドルを大幅に上回った。サブスクリプションARR(年間経常収益)が前年同期比46%増加し、好業績を支えた。新規純ARRは季節的に好調の10-12月期を除けば過去最高となった。ARRが50万ドルを超える顧客は375社を超えており、前年同期比で約40%増加した。
◇2024年度通期ガイダンスは売上高が9.83億~9.89億ドルで市場予想の9.40億ドルを上回った。調整後EPSは2.85~2.96ドルで、市場予想の2.31ドルを大きく上回った。会社側はTAM(獲得可能な最大市場規模)が2021年以降、3倍に拡大しているとして、事業機会は大きいとみている。マシンtoマシンに特化したVenafiの買収による相乗効果も今後、業績拡大につながるとみられる。
◇決算発表後、20人以上のアナリストが目標株価を引き上げた。目標株価を引き下げたアナリストは「ゼロ」だった。12月13日現在、平均目標株価は348.36ドル、最高目標株価は400ドル、最低目標株価は316ドルとなっている。(Bloombergより)
$クラウドストライク・ホールディングス クラスA (CRWD.US)$
◇サイバーセキュリティ業界のリーダー。世界トップ銀行20行のうち15行、フォーチュン100のうち65社が顧客となっている。調査会社ガートナーによると、セキュリティソフトウェア市場(2023年、売上高ベース)における同社のシェアは15%で、首位のマイクロソフト(40%)に次いで2位となっている。同社はサイバーセキュリティにAIも活用しており、今年3月にエヌビディアと戦略的パートナシップを締結した。
◇サイバーセキュリティ業界のリーダー。世界トップ銀行20行のうち15行、フォーチュン100のうち65社が顧客となっている。調査会社ガートナーによると、セキュリティソフトウェア市場(2023年、売上高ベース)における同社のシェアは15%で、首位のマイクロソフト(40%)に次いで2位となっている。同社はサイバーセキュリティにAIも活用しており、今年3月にエヌビディアと戦略的パートナシップを締結した。
◇今年7月中旬に、同社が提供したアップデートの欠陥が原因で、マイクロソフトのウィンドウズシステムが世界中で大規模なシステム障害を起こした。それを受け、同社株は4割急落した。ただ、8月以降は戻り歩調となっており、システム障害前の株価水準に近付いている。障害後の迅速対応や業界におけるリーダー的地位の維持の可能性などが株価の回復につながったとみられる。
◇8-10月期業績は売上高が前年同期比29%増の10.1億ドルで、四半期ベースで初めて10億ドルを超えた。市場予想の97億ドルを上回った。ARRも40.2億ドルとなり、市場予想の40.0億ドルを上振れした。7月中旬の事件の影響により、総収入維持率は97%となり、前年同期比より0.5%ポイント減少したが、減少幅は限定的だった。
◇11-1月期ガイダンスは保守的で、年間経常収益(ARR)や新規ARRの純増額は小幅ながら市場予想を下回った。経営陣は「事件後の最初の数週間、アウトバウンド・パイプライン生成活動の大部分が遅れたことは、間違いなく11-1月期に影響を与えている」と明かした。「7月19日のインシデントにより、既存顧客と見込み顧客の両方での販売サイクルが延長されているが、大規模から中規模の取引ではあまり大きな変化は見られておらず、解約率の観点からすると、非常に小規模なMSPの分野では解約率が見られている」と説明。同時に、「2026年1月期下期から(2025年8月以降)は純新規ARRの成長を再び加速させることができる」と表明した。
◇決算発表後、10人以上のアナリストが目標株価を引き上げた。目標株価を引き下げたアナリストは「ゼロ」だった。12月13日現在、平均目標株価は382.13ドル、最高目標株価は420ドル、最低目標株価は300ドルとなっている。(Bloombergより)
$パロアルト・ネットワークス (PANW.US)$
◇ネットワーク用セキュリティプロバイダー大手。同社の「Prisma SASE」は業界で最も包括的なSASEソリューションで、AI搭載SASEで業界をリードしている。SASEはセキュリティとネットワークを一体化して提供するサービス。エンドポイント・セキュリティ市場でクラウドストライクの競合会社として、クラウドストライクの事件後、ある程度の恩恵が受けられる可能性がある。
◇ネットワーク用セキュリティプロバイダー大手。同社の「Prisma SASE」は業界で最も包括的なSASEソリューションで、AI搭載SASEで業界をリードしている。SASEはセキュリティとネットワークを一体化して提供するサービス。エンドポイント・セキュリティ市場でクラウドストライクの競合会社として、クラウドストライクの事件後、ある程度の恩恵が受けられる可能性がある。
◇9-11月期業績は売上高が前年同期比で14%増の21.4億ドルで、市場予想の21.2億ドルを上回った。調整後1株利益も1.56ドルと、市場予想の1.48ドルを上振れした。2025年度通期の売上高ガイダンスを従来の91.0億~91.5億ドルから91.2億~91.7億ドルに小幅ながら上方修正した。中央値で市場予想の91.3億ドルを上回った。
◇AIについて経営陣は、「長期的に考えると、AIは多くの形態で、多くの企業に関連し、普及すると思う。サイバーセキュリティにもAIを適用する必要がある。既存の企業が優位に立つと思う」とコメントした。
◇決算発表後、約20人のアナリストが目標株価を引き上げた。目標株価を引き下げたアナリストは1人だった。12月13日現在、平均目標株価は420.13ドル、最高目標株価は470ドル、最低目標株価は291ドルとなっている。(Bloombergより)
$ジースケイラー (ZS.US)$
◇クラウドセキュリティのリーディングカンパニー。ゼロトラストセキュリティに加え、AIセキュリティ分野も強化している。フォーブス・グローバル2000のうち35%、フォーチュン500のうち45%の企業が顧客となっている。米連邦政府部門は国防総省を含む15の機関のうち14にサービスを提供している。地域別売上構成比は米国が54%、EMEAが30%、APJが16%(2024年8-10月期)となっている。
◇クラウドセキュリティのリーディングカンパニー。ゼロトラストセキュリティに加え、AIセキュリティ分野も強化している。フォーブス・グローバル2000のうち35%、フォーチュン500のうち45%の企業が顧客となっている。米連邦政府部門は国防総省を含む15の機関のうち14にサービスを提供している。地域別売上構成比は米国が54%、EMEAが30%、APJが16%(2024年8-10月期)となっている。
◇8-10月期業績は調整後EPSが0.77ドルで前年同期の0.67ドルより14.9%増加し、市場予想の0.64ドルを上回った。同社製品ポートフォリオの拡大に対する需要や大口顧客の獲得などが寄与した。ただ、11-1月期ガイダンスは売上高が市場予想をわずかに上振れし、調整後EPSは市場予想を下回った。中長期的な業績見通しは堅調だが、短期的にはやや弱い見通しとなった。
◇決算説明会で経営陣は、「ゼロトラストとAIの組み合わせにより、刺激的な新しい機会が生まれている。当社は大規模かつ拡大を続けているプラットフォームでその機会を捉える態勢が整っている」と表明した。
◇決算発表後、10人以上のアナリストが目標株価を引き上げた。目標株価を引き下げたアナリストは4人だった。複数のアナリストはCFOの交代が業績見通しの不確実性をもたらすかもしれないと指摘した。12月13日現在、平均目標株価は228.98ドル、最高目標株価は260ドル、最低目標株価は180ドルとなっている。(Bloombergより)
$オクタ (OKTA.US)$
◇クラウド型ID管理・統合認証サービス大手。フォーチュン100のうち2/3の企業、フォーブス・グローバル2000の40%以上の企業が顧客となっている。地域別売上構成比は米国が79%、海外が21%(2024年8-10月期)となっている。
◇クラウド型ID管理・統合認証サービス大手。フォーチュン100のうち2/3の企業、フォーブス・グローバル2000の40%以上の企業が顧客となっている。地域別売上構成比は米国が79%、海外が21%(2024年8-10月期)となっている。
◇8-10月期業績は売上高が前年同期比14%増加し、市場予想を上回った。調整後EPSは0.67ドルで前年同期の0.44ドルより52%増加し、市場予想の0.59ドルを上回った。受注の15%は新製品によるもので、大型取引も好調だった。トップ10の取引のうち、5つは米連邦政府関連部門からのものだった。経営陣は、「(政府部門は)一部のテクノロジーを近代化する取り組みが長らく遅れている」と指摘し、連邦政府関連は引き続き、重要な成長の原動力だと示した。
◇11-1月期および2025年1月期通期のガイダンスは市場予想を上回ったが、2026年1月期の暫定通期ガイダンスは売上成長率が約7%と、保守的だった。なお、同社は2023年10月の顧客情報漏えい事件以降、保守的的だガイダンスに対し、実績は上振れとなっている。
◇決算発表後、20人以上のアナリストが目標株価を引き上げた。目標株価を引き下げたアナリストは「ゼロ」だった。12月13日現在、平均目標株価は102.69ドル、最高目標株価は129ドル、最低目標株価は90ドルとなっている。(Bloombergより)
24年12月13日 マーケットアナリスト Julie
出所:会社資料およびBloonbergよりmoomoo証券作成
出所:会社資料およびBloonbergよりmoomoo証券作成
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