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【日銀決定会合プレビュー】市場は国債買い入れ減額を想定、円安に歯止めかかるか?

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moomooニュース日本株 コラムを発表しました · 06/10 22:38
日本銀行は13~14日に金融政策決定会合を開く。14日昼頃に決定内容を公表し、午後に植田和男総裁の記者会見が行われる予定。
前回の4月会合では、政策金利は市場の大方の予想通り現状維持だったものの、歴史的水準まで低下した円安に歯止めをかけるアクションへの期待が裏切られたことで、逆に円安が加速財務省が総額約9.7兆円の為替介入に踏み切る事態となった。“悪い円安”論が強まる中で、従来の「円安=株高」の相関が弱まり、日銀の金融政策の不透明感から金利だけが上昇(債券価格は下落)する株価・円・金利の「トリプル安」への懸念も浮上している。
6月の会合では、前回と同じ轍を踏まず、円安の是正に向けて長期国債の買い入れ減額を決定するとの見方が強まっており、3月以来の追加利上げに向けた何らかの布石が打たれるかどうかが注目される。
為替介入招いた4月会合の“失敗”挽回できるか?
4月会合では34年ぶりとなる歴史的な水準まで円安が進行したことへの対策として、長期国債の買い入れ額の減額や追加利上げの見通しに関する示唆など、金利上昇につながる日銀からのアクションが期待されていたが、実質「ゼロ回答」で肩すかしとなった。
それどころか、植田総裁が会合後の記者会見で、「円安の影響が現時点で無視できる範囲にあるか」との問いに「はい」と答えたことで、市場から円安容認と受け止められ、会見中から円安を加速させる結果となった。
折しも米国で年内の利下げ観測が後退して円安圧力が強まったことから、財務省は4月26日から5月29日にかけて約9.7兆円の為替介入に踏み切った。為替介入は4月29日と5月2日の2回とみられている。
植田総裁はその後、5月7日の岸田首相との面会後に「円安については日銀の政策運営上、十分注視をしていくことを確認した」、8日の衆議院財務金融委員会で「過去と比べ為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている」などと、円安への日銀のスタンスに関する発言を修正している。
長期金利(緑と赤、上方が債券安)とドル円レート(白と紫、上方が円安)の推移
長期金利(緑と赤、上方が債券安)とドル円レート(白と紫、上方が円安)の推移
金利上がれども円安止まらず、株価は停滞
円安に歯止めがかからない一方で、金利水準は上昇基調を続けることとなった。
発端は、5月9日に公表された4月会合の「主な意見」の中に、植田総裁の会見内容からは読み取れなかった“タカ派”的なメッセージが少なからず含まれていたことだ。「経済・物価・金融情勢に応じて、緩やかな利上げを行うことで金融緩和度合いを調整することも選択肢として考えられる」「政策金利の引き上げについて、そのタイミングや幅に関する議論を深めることが必要」など、利上げに関する言及もあった。また、「長期国債の買入れについては、どこかで削減の方向性を示すのが良い」「国債買入れの減額も、市場動向や国債需給をみながら、機を捉えて進めていくことが大切」と、国債買い入れの減額に関する意見も出ていた。
さらに、日銀が5月13日に通知した定例の国債買い入れオペ(公開市場操作)で、残存期間が5年超10年以下の国債買い入れ予定額を前回の4750億円より500億円少ない4250億円と通知したことが、市場から「想定外のタイミングでの減額」と受け止められ、金利上昇を招いた。5月24日には10年国債の金利が12年ぶりに1%を超えた
結果的に、日銀の政策見通しに対する不透明感が金利水準を引き上げるという、「長期金利の水準は市場に委ねるべき」との植田総裁の意向に反する形で市場が動くことになった。
この間、日経平均株価は3万8000円台を中心に停滞状態となり、株価・円・金利の「トリプル安」への懸念も浮上することとなった。
円安で見通しが早まった追加利上げ、6月会合で布石打つ?
今回の会合では、政策金利については現状を維持する一方、長期国債の買い入れ減額が決まるとの見方が多い。
QUICKが5月に実施した市場参加者への調査では、65%が6月会合での減額方針の決定を見込んでいる追加利上げの時期に関しては、7月が38%と最も高く、10月が32%、9月が15%となっている。
また、ブルームバーグが5月31日から6月5日にエコノミスト51人を対象にしたアンケート調査でも54%が国債買い入れの減額が決まるとみている。追加利上げの時期に関しては、6月予想はほとんどなく、7月と10月がともに33%で並んだ
4月会合の開催段階では追加利上げは10月を中心に秋ごろとの見方が多かったが、4月会合後の円安の進行により、円安の是正を目的とした追加利上げが前倒しされるとの見方が広がっている。
植田総裁は金融政策の不連続性の発生を避ける方針を掲げているため、仮に7月の利上げが視野に入っている場合は、6月会合で何らかの示唆がある可能性もある。
ただし、植田総裁自身は6月6日の参議院財政金融委員会で、インフレ予想の指標について、「少し上昇してきているが、まだ2%には達しておらず、少し距離がある。これが2%で定着することで現実のインフレ率も2%で持続的に推移することになる」と語り、まだインフレ率2%の物価安定の目標に達していないとの認識を示している。追加利上げに関する市場予想が、日銀の現状認識よりも先走っている可能性もあり、6月会合で日銀が市場にどのようなメッセージで“擦り合わせ”を図るかが注目される。
迫る「金利ある世界」は株価や景気にどう影響する?
市場では金利先高観(債券価格の下落)が広がっており、債券の購入を手控える動きも出ている。多くの生保は今年度の債券運用に関して、金利が一定程度上昇するまで、超長期債の購入を手控える方針を明らかにしている。
国債利回りでは、短い年限の上昇も顕著になっている。1年、2年、5年ものの国債の利回りは5月末から6月初頭にかけて、それぞれ2009年以来15年ぶりとなる0.2%台、0.4%台、0.6%台を付けた。日銀の方針である「緩和的な金融環境の継続」に対し、市場が先行的に方針変更を意識している可能性もある。
ネットニュースなどでは、住宅ローンの過半を占める変動金利の水準の引き上げについての関心も高まってきている。実際に、住信SBIネット銀行とイオン銀行は5月、変動金利の住宅ローンの基準金利を0.1%引き上げた。また、住信SBIネット銀行は同月に、企業などの融資の基準金利になっている短期プライムレートも0.1%引き上げており、企業活動にも「金利ある世界」の足音が聞こえ始めた金利先高観は、「金利上昇銘柄」である銀行関連の好調な株価にも連動している
ただ、一般的には、金利の上昇は景気を抑制する働きがあり、株価や個人消費にマイナスに作用するとされている。カナダやEUが利下げに踏み切るなど、世界の金利が利下げへと向かう中で、利上げを目指す日銀の日本版“ソフトランディング”への道筋がどのように示されるか注目される。
ーmoomooニュースMark
出所:日銀HP、財務省HP、日本経済新聞、Bloomberg、NHK、moomoo
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