主要国のGDP合計に匹敵！次に米国株「1兆ドルクラブ 」に入るのは？

米超大型ハイテク株の時価総額は新たなマイルストーンを更新し続けており、AIがもたらした株式市場のブームがまだ続いていることを浮き彫りにしている。米 $アマゾン ドット コム (AMZN.US)$の時価総額が26日、初めて2兆ドルの大台を突破した。2兆ドルの節目に達したのは4月下旬の米アルファベット（グーグル親会社）に続き米企業としては5社目となる。この時価総額の伸びは、人工知能とクラウド事業の力強い成長によって後押しされている。アマゾンの株価は今年に入ってから27％超上昇しているのに対し、ナスダック指数は同期間に約18％上昇している。

足元では、時価総額が1兆ドルを超える米国企業は6社ある（ $マイクロソフト (MSFT.US)$、 $アップル (AAPL.US)$、 $エヌビディア (NVDA.US)$、 $アルファベット A (GOOGL.US)$、 $アマゾン ドット コム (AMZN.US)$ 、 $メタ プラットフォームズ A (META.US)$）。データによると、この6社全体の時価総額は15兆3400億ドルに達している。これは、「日本株＋欧州株」の時価総額（13兆3000億）を超えている。さらに、「ドイツ＋日本＋インド＋ロシア」の4カ国のGDP合計（15兆500億）にも匹敵することを意味する。

世界的にAIへの関心が高まる中、アマゾンもAIへの大規模な投資を行っている。そのほとんどは、AIモデルやQと呼ばれるチャットボットなど、ビジネスに特化した製品に集中しており、アマゾンは自社のクラウドコンピューティング部門AWSを利用する企業に提供している。「アマゾンはAI革命の主要プレーヤーになるだろう」とウェドブッシュのテック・アナリスト、Dan Ives氏。

アマゾンはコスト削減とリストラも行い、「AIの熱狂をよりうまく活用できるようになった」。一方、アマゾン・ウェブ・サービスは「成長再加速の兆しが現れ、投資家にとって大きな好材料となっている」とブルームバーグは報じている。また、BofAによれば、アマゾンは2018年に達成した目覚ましい高効率のレベルを下回っているかもしれないが、第1四半期には予想を上回り、まだ "効率向上の余地が大きい" という。

AIのリーダーであるエヌビディアは、わずか3ヶ月余りで時価総額が2兆ドルから3兆ドルに急騰し、最大の受益者となっている。アマゾンの時価総額は2020年に1兆ドルに達し、その後4年以上かけてようやく2兆ドルの節目を超えた。これまでのところ、今回のハイテク競争では、グーグル、マイクロソフト、OpenAIがより多くの注目を集め、アマゾンとアップルは遅れをとっている。

$エヌビディア (NVDA.US)$株は最近、株式とオプションの取引量が大幅に減少し、急騰後に調整が見られた。アナリストらは、エヌビディアの株価が上昇し続けた主な理由の一つとして、これまでオプション取引が活発であったことを挙げており、これは市場が株式取引によってポジションをヘッジする必要があったためであり、この現象はガンマ・スクイーズと呼ばれている。しかし、ブルームバーグがまとめたデータによると、先週の金曜日にオプションの期限が切れて以来、コールの契約数は4分の1減少し、今週月曜日には20日平均の半分の取引高にとどまっている。エヌビディアの株価は、5月22日の決算発表と株式分割発表後に約43％急騰し、6月18日には時価総額最高値の3兆3400億ドルに達したが、取引量は5月23日の高値から約3分の2減少している。

6月27日時点で、 $タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSM.US)$（TSMC）（8924.26億ドル）、 $バークシャー・ハサウェイ (BRK.A.US)$（8866.05億ドル）、 $イーライ リリィ (LLY.US)$（8565.62億ドル）、ブロードコム（7410.57億ドル）など、複数の企業が「1兆ドル・クラブ」に接近している。 これらの銘柄の大半は2024年に急騰しており、TSMCは年初来で約67％、イーライリリーは55％以上、ブロードコムは43％以上上昇している。

6月26日、ゴールドマン・サックスのプライム・ブローカー（PB）スペシャリストであるVincent Lin氏は、市場の流れに新たな傾向があることを明らかにするレポートを発表した。 同レポートによると、ヘッジファンドは過去1ヵ月間、エヌビディアを含む半導体および半導体製造装置株を中心に、TMT銘柄（テクノロジー・メディア・通信に属する企業）を大きく売り越している（年初来のトレンドを反転した）。グラフによると、米国のTMT分野におけるヘッジファンドによる今月の売り越し額は、ゴールドマン・サックスのPB記録始まって以来の最高額となった。

カーソン・グループのチーフ・マーケット・ストラテジスト、 Ryan Detrick氏によると、投資家は現在様子見の状態であり、ポジティブな企業業績と緩やかなインフレデータが、ハイテク株から出遅れセクターへの資金シフトを促す可能性があるという。

そして高値圏にある米国株に対して市場は、異なる見解を示している。ドイツ銀行ののストラテジストは、決算シーズンが近づくにつれ、「沈黙期」に入る自社株買いが、史上最高値を更新したS＆P500指数とナスダックに再び短期的な反落をもたらす可能性があると述べている。

それに対してゴールドマン・サックスとUBSの見方は全く異なっている。ゴールドマン・サックスは、S&P500種指数が7月に再び過去最高値を更新すると見ている。 1928年以来、その年の最高値は通常7月の最初の2週間に記録されると述べている。UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのアナリストは、エヌビディアのボラティリティが市場心理を混乱させたにもかかわらず、人工知能（AI）の構造的な投資根拠は変わっておらず、その結果、ファンダメンタルズが堅調な株式市場全体に対して楽観的な見方を示していると指摘した。