【決算プレビュー】データセンター事業の堅調を維持？GSも強気のAMD、日本時間31日(水)引け後に24Q2決算を発表する予定

● $アドバンスト・マイクロ・デバイシズ (AMD.US)$ は日本時間7月31日(水)引け後に24Q2決算を発表する予定。
●市場は同社の売上高が前年同期比6.76%増の57.21億ドル、EPSは前年同期比823.5%増の0.18ドルと予想。
●同社のデータセンター業務の成長は堅調。MI300は23年第4四半期の発売以来、累計売上高が10億ドルを突破。
●AMDは今年後半に288ギガバイトのHBM3Eメモリを搭載したMI325を発表する予定。

$エヌビディア (NVDA.US)$最大のライバルである $アドバンスト・マイクロ・デバイシズ (AMD.US)$は日本時間7月31日(水)引け後に24Q2決算を発表する予定。同社の株価は年初来で1.89%下落したものの、ウォール街の大手金融機関や研究機関の多数は強気で、平均目標株価が194.52ドルとなっている。

好調なデータセンター成長、低調なゲームとエンベデッド
FY24 第1四半期、 $アドバンスト・マイクロ・デバイシズ (AMD.US)$は売上高が2.2%増、調整後営業利益が3.2%増となった。データセンター事業の力強い成長、PC市場の回復、ゲーム事業の伸び悩み、エンベデッド事業の在庫調整などが要因である。

AMDのデータセンター事業の24年度第1四半期の売上高は23億ドルで、前年同期比80％増となった。現在、データセンターが総売上の42％以上を占めている。AMDの最新AIチップであるMI300は、23年度第4四半期の発売以来、累計売上高が10億ドルを突破した。

MI300生産の拡大、AMDと $マイクロソフト (MSFT.US)$ 、 $オラクル (ORCL.US)$ 、 $メタ・プラットフォームズ (META.US)$など主要なクラウド・ハイパースケーラーとの関係の拡大、今年後半に発表予定の288GB HBM3Eメモリーを搭載したMI325によるAI製品ラインナップの拡大などにより、同社のデータセンター事業は将来も成長の勢いが持続する可能性が高い。

さらに、同社の次世代Turin EPYCプロセッサーは今年後半に発売される予定である。Tom's Hardwareが報じたことによると、この3nmチップはAMDのデータセンター・チップ向けZen 5アーキテクチャの登場を意味し、主要なAIワークロードにおいて、競合するインテルの現行世代Xeonチップより5.4倍高速になる可能性があるという。

Silo AIの買収
AMDは7月10日、Silo AIを6億6500万ドルで買収すると発表した。Silo AIは、AMDのコンピュート・プラットフォーム上でAIのトレーニングと推論を行うオープンソースのAIソフトウェア機能を提供する可能性がある。ソフトウェアとハードウェアの組み合わせは、AI分野におけるAMDの主導的地位を強化する可能性がある。

Silo AIはAIの導入において豊富な経験を持ち、200件以上のプロジェクトを成功させている。同社は医薬品や伝統的な製造業など、さまざまな業界でAI技術の応用に成功している。AIのトレーニングと推論のためのソフトウェアは、ソフトウェア・アーキテクチャーとGPUソリューションの両方を提供することで、AMDがより多くの企業顧客を取り込むのに役立つだろう。

リスク
$アドバンスト・マイクロ・デバイシズ (AMD.US)$ にとって最大のリスクの一つは、強力なライバルである $エヌビディア (NVDA.US)$である。データセンター事業における同社の成長率は、エヌビディアに遅れをとっている。また、エヌビディアはソフトウェアレイヤーで先手必勝の優位性を持っており、クラウドとエンタープライズ両方の顧客とより多くのパートナーシップを確立している。さらに、エヌビディアはサーバー、メモリ、AIソフトウェアベンダーを含むエコシステムとAIの成長を共有する態勢を整えている。これらにより、AI分野での両社の差はさらに広がり、最終的にAMDの長期的な成長可能性が損なわれる可能性が高い。

また、同社株は、特に最近の市場のボラティリティの高まりを背景に、現在では割高であると考えるアナリストもいる。同アナリストは、AMDのAIチップがライバルのエヌビディアに遅れをとっていること、様々な大手クラウド・コンピューティング企業が独自のカスタムAIチップに投資していること、そして過去12ヶ月間、同社のインサイダーが同社株を売却していることなどを考慮し、同社の株価は現在過大評価されていると見ている。