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エヌビディア、100ドル回復!SMCI決算ショック乗り越え、悪材料出尽くし?

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ビットバレー投資家 コラムを発表しました · 08/09 03:30
エヌビディアに悪材料出尽くし?
$エヌビディア (NVDA.US)$ が7月中旬から下方トレンドが続き、8月7日は節目の100ドル台を割り込んだ。8月7日はAI株で注目の $スーパー・マイクロ・コンピューター (SMCI.US)$ が決算発表後、2割急落したことが響いた。SMCIはエヌビディア製AI半導体搭載のサーバーを製造しているため、同社の決算はエヌビディア製品に対する需要動向を示すものとして注目された。翌8日、エヌビディア株は6%反発し、100ドル台を回復した。
今回の反発は、悪材料出尽くしを示しているのか?SMCIの決算内容からエヌビディア製AI半導体の需要見通し最新Blackwellの遅延による影響を確認したうえ、その答えを探る。エヌビディアにとってより重要なビッグテックの設備投資計画AI株をめぐる投資環境も併せてチェックする。
SMCIの決算
SMCIは一時エヌビディアより勢いのあるAI株として注目を集めた。同社はエヌビディア製のAI半導体を搭載するサーバーを製造しており、AIデーターセンターにおいて有利とされる「液冷式」に強みを持っているためだ。
AIデーターセンターに対する需要急拡大により、SMCIは市場予想を上回る勢いで業績拡大が続いた。しかし、今回の決算では、利益率と調整後1株当たり利益(EPS)が市場予想を下振れし、ネガティブ・サプライズとなった。
エヌビディア、100ドル回復!SMCI決算ショック乗り越え、悪材料出尽くし?
●売上高拡大も、利益率が予想以上に低下、調整後EPSも予想下振れ
◇24.6期4-6月期(4Q)実績
売上高:53.1億ドル、市場予想の53.2億ドルをやや下回る
調整後EPS:6.25ドル、市場予想の8.25ドルを大幅に下回る
粗利率:11.3%、市場予想の14%を大幅に下回る
(前年同期は17.1%、前四半期は15.6%)
◇25.6期7-9月期(1Q)ガイダンス
・売上高:60億~70億ドル、市場予想の54.7億ドルを大幅に上回る
・調整後EPS:6.69~8.27ドル、中央値で市場予想の7.58ドルを下回る
◇25.6期通期ガイダンス
・売上高:260億ドル~300億ドル、市場予想の236.4億ドルを大幅に上回る
●利益率は中長期的に回復、短期的には圧力続くか
今回の決算説明会で、アナリストから最も質問が多かったのがマージン(利益率)に関するものだった。経営陣は利益率の低下について、「顧客と製品のミックス、および新DLC(直接液体冷却、※)テクノロジーの初期生産コスト」が主因だと説明。サプライチェーン問題やDLCコンポーネントのコスト急騰も利益率を押し下げたという。
※データセンターでは「空冷式」が主流だが、SMCIが強みを持つ「液冷式」の導入が進んでいる。AIデーターセンターは従来に比べて大量な電力を消費するためだ。会社側はDLCにより、データセンターの電力消費量は30%~40%削減できるという。経営陣は今回の決算説明会で、液冷式ラックの導入は今後も加速するとみており、事業チャンスは大きいと強調した。
今後の利益率について経営陣は、DLCとデータセンター・ビルディング・ブロック・ソリューションが今年後半に大量に出荷されるようになれば、短期的なマージン圧力は緩和され、2025年度末までには通常のレンジ(粗利率の目標レンジは14%~17%)に戻ると予想している。つまり、利益率は「中長期的に回復も、短期的には圧力は続く」見込みとなった。利益率の改善が示されるまで、上値の重い展開が続くかもしれない。
投資判断と目標株価の引き下げが目立つ
決算発表後、アナリストたちによる投資判断と目標株価の引き下げが目立った。利益率の低下は多くのアナリストにとってもサプライズとなったもよう。
エヌビディア、100ドル回復!SMCI決算ショック乗り越え、悪材料出尽くし?
SMCIの決算が示すエヌビディア製品への需要動向
SMCIの決算発表後、エヌビディアもつれ安した。下落要因は、SMCIの決算からエヌビディア製品に対する需要の軟調が示されたためだろうか?答えは、「NO」だ。SMCIの決算では、7-9月期および26.6期通期の売上高ガイダンスは市場予想を大幅に上回っている。つまり、エヌビディア製AI半導体搭載のサーバーの売れ行きは、好調さを維持する見込みとなった。
それでもエヌビディア株がつれ安したのは、SMCIの収益性をめぐる疑問から株価が2割も下落したためだ。SMCIのほかにも今回の決算ではわずかな業績下振れで株価が急落している銘柄があったため、AI株をめぐるセンチメントの悪化が懸念された。
エヌビディアのBlcakwellの延期について
一部の報道によると、エヌビディアの最新AI半導体Blackwellは、設計上の欠陥の疑いでリリースがおよそ3か月遅れる可能性がある。これについて問われた際、SMCIの経営陣は、次のように答えた。
「Blackwellがどれくらい延期になるかは正確にはわからない。ただ7-9月期については、間違いなく、Blackwellの数量は期待していない。10-12月期は非常に小規模になるだろう。通常、エンジニアリング・サンプルでは数量は小さい。そのため、実際の(一定規模の)生産は来年の1-3月期になるはずだ。」
上記のコメントからすると、Blackwellの遅れは事実のようだ。そうならば、エヌビディアにとってBlackwellの売上計上も遅れることを意味する。その影響について一部アナリストは、発売が少し遅れたとしても、8-10月期の売上高で約10億ドル、11-1月期でも20~30億ドル程度にとどまると予測している。
ゴールドマン・サックスは、「延期は理想的ではないものの、エヌビディアの2025年の収益力や市場支配力に影響を与える可能性は低い」とみている。担当アナリストは投資家に対し、冷静さを保ち、現在の戦略を継続するようアドバイスしている。また、Blackwellの延期は、ポジションを増やすチャンスだと指摘した。(Bloombergより)
なお、Blackwellの延期報道以降、エヌビディアの目標株価を引き下げたアナリストは1人だった。7人は従来の目標株価を維持すると表明し、4人は目標株価を引き上げた。
ビッグテックの設備投資計画
エヌビディアの主要顧客リストには $マイクロソフト (MSFT.US)$ $メタ・プラットフォームズ (META.US)$ 、スーパーマイクロ、 $アルファベット クラスA (GOOGL.US)$ $アマゾン・ドットコム (AMZN.US)$ が並ぶ。つまり、TOP5はスーパーマイクロ以外ではビッグテックだ。
エヌビディア、100ドル回復!SMCI決算ショック乗り越え、悪材料出尽くし?
上記のビッグテック4社の決算でエヌビディアにとって重要なのは、各社の設備投資見通しで、AI向けの投資計画だ。これについては4社とも、AI向け設備投資を拡大していく意向を示した。たとえば、メタは24.12期通期の設備投資見通しについて従来の350億ドル~400億ドルから370億ドル~400億ドルへと、レンジの下限を20億ドル引き上げた。経営陣は決算説明会で、来年もAIインフラへの投資を大幅に増やす予定だと説明した。
ビッグテック4社の設備投資見通しからすると、エヌビディアのAI半導体をめぐる需要の堅調さは今後も続く見込みとなった。
AI株をめぐる投資環境
ビッグテック4社の設備投資拡大は今回、エヌビディアの株価を押し上げるには至らなかった。前回の決算シーズンと比べて、相場環境が大きく変わったためだ。
まず、AI株をめぐり、収益性がより問われる中、主力企業の決算は強弱まちまちだった。他方、全般的にみて企業業績は必ずしも悪くなく、投資家は今回、わずかな業績下振れにも大きく反応した感は否めない
たとえば、マイクロソフトはクラウド事業のAzureの4-6月期の売上高が29%増と、前期の31%増から伸びがやや鈍化した。AIによる寄与は約8ポイントで、前四半期の7ポイントから増加したが、株価は下落した。マイクロソフトのような安定的に業績拡大を続けてきた企業にとって、売上高の29%増と31%増の差は中長期的にみてそれほど懸念する材料ではないと言えよう。
それでもマイクロソフト株が下落したのは、バリュエーション懸念と米リセッション懸念が背景にある。なお、足元の調整を経て、米テック大手7社「M7」はバリュエーション面で押し目買いの好機となっている可能性があると指摘されている。詳細は「『マグ7』株価、続く乱高下 押し目買いの好機か?」を参照されたい。
次に、米リセッション懸念が強まる中、円キャリートレードの巻き戻しに伴うテック株売りもリスクオフを助長したとみられる。円キャリートレードの巻き戻しについては、およそ4分の3が解消されているとの見方も出ており、それによる影響は低下する見込みとなった。したがって今後、エヌビディアやAI株にとって重要なのは米景気動向とFRBの金融政策となるとみられる。
8月8日にエヌビディア株が6%反発し、100ドルを回復したのは、リセッション懸念が後退したためだ。同日に発表された7月の新規失業保険申請件数が市場予想を下回った。米リセッション入りをめぐっては雇用統計や失業率の悪化を受け、その確率は上昇しているものの、メインシナリオではないというのが足元のコンセンサスとなっている。
今後、リセッション懸念の後退につながるような経済指標が増えれば、エヌビディアやテック株にとってプラス材料となろう。エヌビディアにとっては、8月28日の決算発表が何よりも重要となろう。ビッグテックの設備投資拡大やスーパーマイクロが示した需要の好調さが業績に反映されれば、本格的な見直しにつながるかもしれない。
24年8月9日 マーケットアナリスト Amelia
出所:会社資料およびBloombergよりmoomoo証券作成
免責事項:このコンテンツは、Moomoo Technologies Incが情報交換及び教育目的でのみ提供するものです。 さらに詳しい情報
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