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AI相場は終焉?グーグル・テスラ・半導体株の決算を点検!巨額投資は継続か、効果は?

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ビットバレー投資家 コラムを発表しました · 07/26 05:34
米国株の決算シーズンは波乱の幕開けとなった。ビッグテックM7のうち、 $アルファベット クラスA (GOOGL.US)$ $テスラ (TSLA.US)$が決算発表後に急落。両社株の売りはAI期待の剥落が共通要因として指摘されており、 $エヌビディア (NVDA.US)$ $ブロードコム (AVGO.US)$などAI半導体株も大幅安となった。
決算序盤の波乱は、AI相場の終焉を示唆するのか?それとも決算前の急伸による利益確定売りに過ぎないのか?
同じく波乱の序盤となった前回の決算シーズンからは、AI相場が続くかどうかは、下記の2点が重要だと示唆されている。
1)AI向け投資、特にビッグテックの設備投資の動向
2)AI関連収益の動向や見通し
今回は、決算発表を終えたアルファベットやテスラ、主要半導体企業の決算から上記の1)と2)を点検する。前回の決算シーズンを参考に、これからの注目ポイントも併せて確認する。
前回の決算シーズンが示唆するもの、これからの注目ポイントは
3か月前の決算シーズンを振り返ってみると、決算発表が近づくにつれ、市場ではAI投資が成果を生むかどうか疑問が生じていた。序盤で一部企業の業績内容が市場予想を下振れると、それに対する懸念は一段と強まり、主要指数は急落。中でもAI投資ブームの恩恵が高いSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)の下げがきつい。この動向は、今回の決算序盤とかなり似ていると言える
AI相場は終焉?グーグル・テスラ・半導体株の決算を点検!巨額投資は継続か、効果は?
前回の序盤以降の動きを確認してみると、主要指数はV字型回復を遂げ、その後は上昇トレンドを取り戻した。大方の企業の決算内容が総じて堅調で、AI向け投資の拡大計画(特にビッグテック)やAIによる業績押上げ効果が確認できたためだ。AI相場の最先端を走るエヌビディアが好決算を発表した後、主要指数は一段と上昇した。SOX指数の場合は、エヌビディアの決算をきっかけに、決算シーズン前の高値(当時の上値抵抗線)を上抜いた。

今回も前回と同じような展開になるかどうかは、現時点ではわからない。ただ、前回の経験からすると、下記3点が言えそうだ。

決算序盤の波乱は必ずしも下げ相場への突入を意味するものではなく、過度に警戒する必要はない。

序盤の一部企業より、その後の大方の企業の決算が重要。ただ、終盤のエヌビディアは別格で、重要度が高い。

全般的にAI向け投資(特にビッグテックの投資)が続き、企業業績にもその恩恵が示されれば、AI相場は続く可能性が高いかもしれない。

ビッグテックの決算発表は、アルファベットとテスラが発表済で、 $マイクロソフト (MSFT.US)$ $メタ・プラットフォームズ (META.US)$ $アマゾン・ドットコム (AMZN.US)$は来週、エヌビディアは8月末を予定している。そのうち、マイクロソフトやメタ・プラットホームズ、アマゾン・ドット・コムはエヌビディアの上位顧客であり、3社の設備投資の動向やAI関連収益が注目される。したがって、来週が目先の山場になるかもしれない。アルファベットとテスラもエヌビディアの主要顧客リストに入っている。今回はまず、両者に加え、半導体・AI関連株の決算からAI 向け投資と収益状況をチェックする。

★ビッグテックのAI向け投資
エヌビディアの主要顧客リストを確認してみると、マイクロソフト、メタ・プラットホームズ、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、テスラの順と並んでいる。アルファベットとテスラはマイクロソフトやメタほどではないが、エヌビディアから大量のAI半導体を購入していることを示す。したがって、両社のAI向け設備投資の動向も重要と言える。

●アルファベット
◆4-6月期の設備投資額は132億ドルに増加し、市場予想の122億ドルを上回った。会社側はGoogleのAIプログラムとコンピューティングパワーの需要に対応するためだと説明。AI向け投資が拡大したことを示唆する。
◆経営陣は決算説明会で、エヌビディアの最新AI半導体のBlackwell搭載プラットフォームは、2025年初めにGoogle Cloudに導入される予定だと明かした。同時に、「将来的に多くの機会が見込まれることから、我々はAIへの取り組みをサポートする効率的なインフラストラクチャの設計と構築に引き続き、投資していく」と表明。今後も投資を拡大していく意向を示した。

●テスラ
◆4-6月期の設備投資額は全体的に縮小。うちAIインフラ向けは6億ドルと、1-3月期の10億ドルよりは減少した。
◆イーロン・マスクCEOは通期の設備投資額について引き続き、100億ドル強を見込むとした。5万個のGPU搭載クラスターを構築するためだと説明。新しいクラスターにより、FSD(完全自動運転技術)や他のAIイニチアチブを拡大する能力は大幅に向上するだろうと表明した。なお、マスク氏は今年6月に、100億ドル強の設備投資計画のうち、30億~40億ドルはエヌビディアの半導体購入に使用される予定だと明かした。
マスクCEOは、自動運転のために開発したスーパーコンピューター「Dojo」について質問された際、エヌビディアのGPUに対する需要は非常に高く、我々が望む時に最先端GPUを入手できるかどうか、かなり心配していると明かした。Dojoに必要なトレーニング能力を確保するためにもっと努力を払う必要があり、Dojoをさらに強化するつもりだとした。Dojo(自社開発チップ搭載)によって、エヌビディアと競合できる道筋が見えているとコメントした。このニュースも7月24日のエヌビディア株の下げにつながった。なお、エヌビディアの売上高に占めるテスラの比率は約3%。またテスラはDojo強化を示しているが、エヌビディアからの半導体購入計画は今のところ維持される見通し。したがって、エヌビディアに対する影響は今のところ限定的とみられる。
AI関連収益の動向や見通し
AI投資による利益の獲得において、アルファベットとテスラはマイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなどと比べると、やや出遅れ感があった。しかし、前回の決算発表でアルファベットはクラウド事業の堅調な伸びを持って投資家の不安を払拭。テスラはロボタクシー発表公表で投資家の期待をやや取り戻していた。今回の決算発表前までに両社の株高が続いたのは、さらなる進展に対する期待も背景にあった。しかし、決算ではサプライズはなく、一部の決算内容が市場予想を下回り、利益確定売りを誘った。
下記では、決算説明会で両社の経営陣が示したAI導入や取り組みについて、追記する。
●アルファベット
◆経営陣は、エンタープライズAIプラットフォームVertexはドイツ銀行やKingfisher、米国空軍などの顧客が強力なAIエージェントを構築を支援しており、Google検索とのグラウンディングを提供する唯一のクラウドプロバイダーとしてMoody'sやMSCI、ZoomInfoを支援していると明かした。同時に、AIを活用したアプリケーション・ポートフォリオは、新規顧客の獲得とアップセルの促進に役立っていると表明。時間が経つにつれて、クラウドとAIは大きな成長の原動力になるだろうと強調した。

●テスラ
◆決算資料
4-6月期のAIへの取り組みは進展した。北米ではFSDの価格を引き下げ、必要なハードウェアがあれば誰でも無料で試用できるようにした。これらのプログラムは成功を収め、より有意義なFSDマネタイズに向けた基盤を築きつつある。FSDの機能が向上し、FSDがユーザーに提供する利便性と安全性の認知度が高まるにつれ、当社のフリートに対するFSD装着率は上昇すると期待している。

AIトレーニング能力の立ち上げ計画は7-9月以降以降に拡大する見通しだと示した。
出所:テスラの決算資料
出所:テスラの決算資料
◆決算説明会でのイーロン・マスクCEOのコメント
AIトレーニングなど将来のプロジェクト向けに投資している。ロボタクシーの発表延期(8月8日から10月10日)は改良およびいくつかのものを追加するためだ。ロボタクシーの配備のタイミングは技術の進歩と規制当局の承認次第だが、潜在的な価値が非常に大きいため、この事業機会に精力的に取り組んでいる。将来の成長に投資するための十分なキャッシュフローを生み出すことに注力している。
人型ロボットOptimusはすでに当社の工場で作業を行っており、来年初めにはOptimusバージョン1の限定生産を開始する予定。初期製品は自社向けのもので、来年末までに数千台のOptimusロボットが生産され、テスラの工場で作業を行う予定だ。その後、2026年には生産を大幅に増やす予定で、Optimusロボットを外部の顧客に提供する。これがOptimusバージョン2になると思う。
上記からすると、アルファベットとテスラはAI向け投資を今後も拡大する意向で、また中長期的に大きな利益が得られることに自信を示しているようだ。なお、両社の決算発表後、両社に対する平均目標株価はそれぞれ1%、4%引き上げられた。Bloomberg端末から確認できる機関投資家の売買動向を確認してみると、アルファベットは決算後の下落時にポジションを増やしたファンドが圧倒的に多く、テスラの場合は売り買いが交錯した。
なお、ChatGPTを開発したOpenAIがGoogleに対して宣戦布告をし、SearchGPTを打ち出している。マイクロソフトがChatGPT搭載のBingでGoogleに挑戦してきた実績を踏まえる、SearchGPTがGoogleの検索市場における優位性を大きく脅かすことにはならないと予想される。
AI相場は終焉?グーグル・テスラ・半導体株の決算を点検!巨額投資は継続か、効果は?
半導体株やAI関連株の決算
SOX指数構成銘柄のうち、最先端半導体製造装置大手の $ASMLホールディング (ASML.US)$、ファウンドリー世界最大手の $台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSM.US)$、車載半導体事業が主力の $NXPセミコンダクターズ (NXPI.US)$、アナログ半導体大手の $テキサス・インストゥルメンツ (TXN.US)$、検査装置大手の $ケーエルエー・コーポレーション (KLAC.US)$、半導体テスタ大手の $テラダイン (TER.US)$が決算発表を終えている。
そのうち、AI投資ブームの恩恵がより大きい企業(たとえばNXPIやTXNを除く企業)の決算内容は総じて堅調だった。各社ともAI向け投資による恩恵拡大は続くと見込んでいる

半導体企業以外では、テクノロジー大手の $アイビーエム (IBM.US)$が好調な決算を発表。AI関連サービスやソフトウェアの需要が堅調で、業績を押し上げた。同社はAIコンサルティングとソフトウエアの受注が2023年半ば以降、20億ドルを超えた。
AI相場は終焉?グーグル・テスラ・半導体株の決算を点検!巨額投資は継続か、効果は?
総合的にみると、決算序盤の波乱がAI相場の終焉を示唆していると言い切ることは難しく、ビッグテックをはじめ、より多くの企業の決算内容を吟味する必要がありそうだ。すでに決算発表を終えている企業の決算内容だけをみた場合、AI向けの投資拡大は今後も続く可能性が高そうだ。AI関連収益の動向や見通しについては一部企業では若干弱いが、全体としてはそれほど悪くなく、むしろ好調な企業も多い。AIによる業績押し上げ効果に対する期待はまだ崩れていないと言えよう。

24年7月26日 マーケットアナリスト Amelia
出所:Bloombergよりmoomoo証券作成
免責事項:このコンテンツは、Moomoo Technologies Incが情報交換及び教育目的でのみ提供するものです。 さらに詳しい情報
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  • Mackye : 投資をしたらすぐに結果を求める これ、違和感ありませんか アナリスト、マスコミ、市場関係者は皆優れた知性と判断力をもっている方々です 確かに一部の評論家の中には昨年から、AIはインターネットのように社会を変革し大きな利益をもたらすものではない、と主張されている人もいます しかし、そうおっしゃっているのはごく一部の方であり、多くの経営者や知識人は、AIは産業革命に匹敵する社会の劇的変革をもたらすことを信じています それが故に莫大な投資を行っているわけです AIに投資している経営者たちは愚か者ですか? そんなことはないでしょう そして、市場関係者もAI投資の必然性と、それがもたらす利益は莫大でしかし一定の熟成されるだけの時間が必要なことは皆んなわかってるはずです にも関わらず、投資が利益を生まないとの問題提示が頻繁になされるのは、理性からの言葉ではなく煽りの範疇の部類の表現と、申し訳ないが私は思います あくまでも、市場に翻弄され右往左往している私の感想ですから、判断の間違いがあればご指摘、ご教授いただければ幸いです

  • HONDA N-ONE Mackye : 海外では会社は株主のものであるという考えが浸透してるから日本人の感覚とはかけ離れているのは間違いないね

  • かにあるき : 個人投資家の一部は株価の上下に一喜一憂する。
    AI関連はまだこれからであって、将来世界的に大きな影響を及ぼすのは確か。
    だからこそ目先に捉われずに長期的目線での投資をしていきたいと思っています。

  • しげるちろ かにあるき : あなたの言うとおり!!